見出し画像

ハイスペックな兄、転生したら妹の子供だった件 17話


どうも、みなさん。こんにちは

あやめです

6月8日生まれで双子座。ついこの間10歳になった、ピチピチの小学4年生です

今まで、まともな出番がなかった私だけど、今回の物語りは私が主役なんです

それでは、どうぞ!






あやめ:ん.....んんんっ〜!

去年、蓮加ちゃんに新しく買ってもらった目覚まし時計のアラーム音で私は目を覚ました。

時刻は朝の10時をちょっと過ぎたくらい。部屋の窓からは、暖かい陽射しが差し込んでいる。

私は、まだ眠たい目を擦りながらベッドから降りた時、何気なくもう一つのベッドに視線を向けると、そこには誰もいない。

あやめ:あれ? 蓮は?

今日は日曜日。幼稚園も休みだから、普段ならお昼過ぎまで寝てるはずの蓮だけど、今日はその姿がない。

あやめ:もう起きてるのかな?

私はパジャマ姿のまま一階に降りる。リビングに入ると、洗濯物を干している蓮加ちゃんとソファに座ってテレビを見ている魁人がいた。

蓮加:あっ、あやめ。おはよ〜

あやめ:おはよ、蓮加ちゃん

魁人:おはよう、あやめ

あやめ:......ねぇ、蓮加ちゃん。これから、レイちゃんと遊びに行くからお昼ご飯いらない

私がそう言うと、蓮加ちゃんは手を止めて驚くように私を見た。

蓮加:えっ、あやめも出掛けるの?

あやめ:ん? どういうこと?

蓮加:蓮もついさっき出掛けたの

あやめ:そうなんだ。でも、蓮って、遊びに行くような友達いたっけ?

私が見てきた中でだけど、悲しいことに、蓮には友達と呼べる子がいないと認識してる。

蓮加ちゃんの子供なのに、何でかな?

蓮加:んー、友達って感じじゃなかったけど

あやめ:ん? どういうこと?

蓮加:ううん。何でもない! だったら、ほら! 早く準備しないとレイちゃん来ちゃうよ!

あやめ:あっ、たしかに!

その後、私は髪の毛を整えて、服を着替える。そして、小学生なりのお洒落をした私は、再び蓮加ちゃんの前に姿を見せる。

あやめ:蓮加ちゃん、どうかな? 変じゃない?

蓮加:ううん。すごく可愛いよ! 流石、ファッションセンス抜群だね!

あやめ:えへへへへ....///

蓮加ちゃんに褒められて、素直に嬉しがってると家の外から元気な声が聞こえてきた。


「あ〜や〜め〜ん! あ〜そび〜ましょ〜!」


「ケ〜ンジく〜ん!」みたいなノリで私を呼ぶのは、親友にして今日一緒に出掛ける清宮レイちゃん。

あやめ:じゃあ、行ってくるね!

蓮加:は〜い! 行ってらっしゃい!

あやめ:行ってきます!

魁人:車とかに気を付けてるんだぞ!

あやめ:........

いつも通り、蓮加ちゃんにしっかりと挨拶して私は家を出た。

清宮:あっ、あやめん!

あやめ:お待たせ、レイちゃん

清宮:じゃ、行っこっか!

あやめ:いつものショッピングモールでいいよね?

清宮:うん! レイね、欲しい服があるんだ!

あやめ:私も色々と欲しいのあるんだよね

なんて会話をしながら、私とレイちゃんは街中のショッピングモールに着いた。

日曜日ということもあって、めちゃくちゃ人が多い。多過ぎて酔いそうになるけど、そんな私とは反対で、レイちゃんは元気いっぱいで駆け出して行く。

清宮:あやめん! 早く行こうよ!

あやめ:待ってレイちゃん! 迷子になっちゃうから!

レイちゃんが迷子にならないように、私は手を繋ぎながらショッピングモールを散策する。

服屋では、それぞれ欲しい洋服をお互いに試着しながら買っていく。

そして、洋服を買い終わった頃にはお昼ご飯の時間になっていた。

清宮:あやめ〜ん! お腹すいたよぉ〜

あやめ:そっか。もう、お昼だもんね

清宮:レイね、ハンバーガー食べたいっ!

なんてレイちゃんが言うから、私達2人はフードーコートに来た。

レイちゃんは宣言通りハンバーガーを注文。特に何か食べたいって思ってなかった私は、レイちゃんと同じくハンバーガーを頼んだ。

清宮:もぐもぐ.....ねぇ、あやめん。まだ、蓮パパのこと嫌いなの?

あやめ:ん? なんで?

清宮:だって、朝お家から出てきた時、蓮パパが手振ってても無視してたじゃん

あやめ:あー、よく見てるね。レイちゃん

清宮:でしょ〜

別に褒めた訳じゃなかったけど、こういうのに対して素直に喜べるレイちゃんが嫌いじゃない。むしろ、好き。

レイちゃんは、言葉と〝色〟が合ってるんだ。

それに、レイちゃんの〝色〟は、嫌な〝色〟じゃない。純粋で綺麗な〝色〟だから、一緒にいて心地良くて安心できる。

蓮とは違って、友達はそれなりにいる方だと思う。だけど、自信を持って親友って言えるのは、レイちゃんだけ。

なんて考えていると、そんなレイちゃんが話しかけてきた。

清宮:ねぇねぇ、あやめん

あやめ:ん? どうしたの?

清宮:あそこにいる人って、親子なのかな?

そう言ってレイちゃんが指さしたのは、私達から少し離れた席だった。

その席に座っていたのは、幼稚園児くらいの小さい男の子とすごく綺麗な20代の女性。

女の人は、眼鏡をかけていて、横顔しか見えないけど、めちゃくちゃ可愛いのが分かるし、着てる服もすごくオシャレだ。

けど、そこまで興味をそそられなかった私は軽く返す。

あやめ:そうじゃない?

清宮:でもさ〜、だとしたら、ちょっと変なんだよね〜

あやめ:と、言うと?

清宮:なんか女の人の方が男の子に敬語なんだよね。親子だったら、普通使わなくない?

相変わらず耳が良いのと、勘が鋭い。レイちゃんがそう言うから、少し興味が出てきた私はその2人の方へと耳を澄ませる。

そこで聞こえてきたのは、

「ほら、言ってみてくださいよ。遥香お姉ちゃんって 」

「言う訳ねぇだろ」

「もう、恥ずかしがらなくてもいいんですよ? リピートアフタミー、遥香お姉ちゃん! さん! はい!」

「はぁ....アホか」

「何でですか!? 年上の命令は聞かなきゃダメですよ! そんな一般常識も知らないんですか!?」

「ふざけんな。俺の方が上だろっ!」

「いやいや、先輩いま5歳児じゃないですか....笑」

「んなもん、関係ねぇ。俺が先輩でお前が後輩。これは一生変わんねぇよ!」

「ケッ....相変わらず面白くないですね、先輩」

「んだと!?」

「何です? 喧嘩しますか?」

「やってやろうじゃねぇか!」

なんて会話だった。

親子かな? っていう推理は、見事に砕け散った。

だって、女性の方が男の子に対して敬語で、しかも「先輩」って言ってたし。なんか仲悪いし。

清宮:ねぇねぇ、話しかけてみようよ!

あやめ:えっ、本気で言ってる?

清宮:もちろん! だって、気になるじゃん!

屈託の無い顔でそう言うレイちゃん。思ったこと、興味を持ったことに素直になれる。そんなレイちゃんが羨ましい。

なんて思ってると、

清宮:レイ、行ってくるっ!!

私の返事を待たずに行ってしまった。



数分後、ようやくレイちゃんが戻ってきた。

あやめ:どうだった?

清宮:男の子に「シッシッ!」って、やられた〜

その男の子の真似なんだろう。「あっち行け!」みたいな仕草をしながらそう言うレイちゃん。

そんなレイちゃんを見て、私は微笑み返す。

レイちゃんが納得しない感じで残ってたポテトを食べ始めたから、私は水のおかわりのために席を立つ。

空の紙コップを持って、一歩踏み出した。

その時、

あやめ:きゃっ....!

何かにぶつかって、私は尻もちをついた。

「ごめんっ、大丈夫?」

慌てた様子で、若い女の人が声をかけてきた。どうやら、私はこの人にぶつかったみたい。

あやめ:だ、大丈夫です

「ほんとごめんね。余所見してて気づかなくて.....。怪我とかしてない?」

あやめ:あっ、はい。何ともないです

「よかったぁ.....」

女の人は、安心した様子でホッと息をつく。

清宮:あやめん、大丈夫!?

あやめ:うん、平気だよ

差し伸べてくれたレイの手を取って、立ち上がり、私は女の人の顔を見た。

眼鏡にマスク、そしてキャップのせいでよく顔が見えないけど、辛うじて見える目元だけでも、目の前にいる人がかなりの美人だということが分かる。

まあ、マスク美人ってだけかもしれないけど

そんなことを思っていると、私はハッとした。

あやめ:あの、服が......

女の人の服が濡れていたのだ。

女の人の傍には、私達と同じお店のハンバーガー屋さんのトレーが置かれている。私とぶつかった弾みで飲み物がかかってしまったのは、明白だった。

「あぁ、これくらい全然大丈夫だよ」

優しい声音でそう言ってくれた女の人。

あやめ:で、でも.....

私は全く安心できなかった。

お母さんの仕事の影響で、私は物心ついた時からファッションに興味を持っていた。

だから、分かる。

この女の人が来ている服が、そこら辺のものではないということが。

お母さんのブランドに迫る勢いで、今超人気のブランドーー〝MARRICA〟。その中でも、この人が着てるのはかなりの高級商品を着ていた。

「そんな顔しないの。服はいつでも買えるけど、君に何かあったら大変でしょ?」

優しく、安心する声。

そして、今になって気づいたけど、この人も温かくて純粋な〝色〟をしていた。

こんな〝色〟は、大人だと、蓮加ちゃん以外に初めて見た。

「えっと.....どうかした? 私の顔に何かついてる?」

あやめ:あっ、いや、なんでもないです

つい、女の人の顔を凝視してしまっていた。

清宮:あの〜.....

珍しく大人しいレイちゃんが、恐る恐る声をかけてきた。

「ん? どうしたの?」

清宮:もしかして、Routeの山下美月さんですか?

あやめ:えっ....?

レイちゃんの口から出た言葉に、女の人はビックリしたように目を丸くしていた。

「あちゃ〜、バレちゃったか....笑」

そう言って、マスクを外す女の人ーー改め、山下美月さん。

たしかに、テレビや雑誌で見たことある顔と全く同じだった。

清宮:うわぁ....本物だぁ......

生のアイドルを見て、キラキラと目を輝かせるレイちゃん。

美月:それにしても、よく私だって分かったね

清宮:めちゃくちゃファンです! CDもいつも買ってるし、握手会とかライブも何回か行ったことあります!

美月:ほんとに? ありがとね〜!

推しに会えたという事で、すごくテンションの高いレイちゃん。山下美月といえば、誰もが知るアイドル。

だけど、私の中では、別の存在。

蓮加ちゃんのお兄さんの幼馴染。そして、お互いの初恋の相手ーーらしい。

それが、私の中での山下美月という女性の情報。蓮加ちゃんの家で暮らすことになってから、偶に教えてもらってた。

私がそんなことを思い出していると、

美月:はいっ、大事にしてね

清宮:ありがとうございます!

いつの間にか、レイちゃんが美月さんからサインを貰っていた。

あやめ:ハハッ....流石、レイちゃん...笑 ちゃっかり、サイン貰ってるよ....笑

美月:あっ、ごめんね。私、人待たせてるから、もう行かなきゃ

あやめ:いや、こちらこそ、すみませんでした

その後、「じゃあね〜」と言ってとある席へと向かって行った。

なんの偶然か、美月さんが座ったのは私達から少し離れた席。しかも、さっきレイちゃんが話しかけた人達の所だった。

あやめ:あの人達、美月さんの連れだったんだ

そんな私の感想そっちのけで、美月さんに貰ったサインをまじまじと見て、幸せそうなレイちゃん。

清宮:生の美月ちゃん可愛い過ぎっ!!! あ〜、他のメンバーにも会えたりしないかなぁ〜

すごい贅沢な願望を口にするレイちゃん。私は「流石に無理でしょ」と言おうと思ったその時、一つのアイディアが浮かんだ。

山下美月は、乃木高の卒業生。

しかも、同じグループに同級生の梅澤美波、先輩の齋藤飛鳥と星野みなみがいる。

あやめ:レイちゃん。もし行けたらさ、一緒に乃木高の同窓会に行く?

ちょっと前に、「今年の同窓会には、初めて〝最高の世代〟が全員来る」って魁人が言ってた。

っていうことは、卒業生のRoute46のメンバー4人も来るはず。

そう考えた私の問いかけに、

清宮:行く行くっ! 行きたいっ!!!

レイちゃんは、秒で答えた。

あやめ:じゃあ、蓮加ちゃんに聞いてみるね?

清宮:うん! ありがとう、あやめん!

こうして、レイちゃんとのお出掛けは幕を閉じた。



そして、家に帰って例の件を蓮加ちゃんに聞いてみると、

蓮加:全然大丈夫だよ!

あっという間に、蓮加ちゃんからOKが出たのだった。



……To be continued

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?