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祓い、護る者たち 25話


━━○○ VS 生駒

戦いの火蓋を切ったのは、○○だった。


○○:術式展開〝しろ〟ッ!!!


最初から殺す気で、防御不可能の一撃を放つ○○。

しかし、○○が術式の言霊を発すると同時に生駒はその場から飛び退いた。

目標を失った○○の術式は、そのまま生駒の背後にあった木々を水平に真っ二つにしていく。

○○:チッ....

舌打ちをしながら悪態をつく○○は、攻撃の手を緩めることなく術式を乱発する。

しかし、生駒は驚異的な身体能力でその全ての攻撃を躱していく。

その光景を黙って見守る星野と純奈。 

「純奈(さん)!!」

そこに、純奈の指示で一度この場を離れていた美月達が戻って来た。

純奈:なんで戻って来たの?

美月:純奈さんが心配だからです! って、いっても○○さんが来たならもう大丈夫ですね

戦っている○○を見ながら安心した声音でそう言う美月。

蓮加:いや、まだ分からないよ

どこか焦りを感じさせる顔で言う蓮加。

美月:えっ? なんでよ? 蓮加なら○○さんの実力知ってるでしょ?

この中で一番○○と一緒にいて○○の実力を知っているであろう蓮加の発言に疑問を持つ美月。

純奈:蓮加の言う通りだよ

星野のおかげである程度回復した純奈が体を起こして蓮加の意見に賛同する。

美月:どういうことですか?

純奈:美月も何回か、○○の戦い見てきたでしょ?

美月:はい

純奈:その戦いどうだった?

美月:えっと....どれもすぐに終わってました。瞬殺だったのが印象に残ってます

純奈:そう。○○の戦いは術式の能力上、普通はすぐに決着がつく。でも、○○の術式も無敵じゃない。弱点っていうか、攻略法はあるの

美月:攻略法、ですか?

純奈:うん。○○の術式は防御不可能....でも、回避不可能じゃない

美月:えっ、それだけですか?

純奈の話を聞いて拍子抜けな声を上げる。

純奈:まあ、普通はそんな反応になるよね...笑 でも、実際はそんな簡単な事じゃないの。術式発動と同時に放たれる攻撃

蓮加:そんなの、どう頑張っても避けられないでしょ?

美月:た、たしかに.....

純奈と蓮加の説明に納得の声を上げる美月。

純奈:でも、生駒ちゃんはそれを成し遂げてる

美月:そ、そんなのどうやって?

純奈:〝天霊忌人てんれいきじん〟なの。生駒ちゃんは

美月:てんれいきじん?

初めて聞いた言葉に美月の頭には「?」が浮かぶ。


『天霊忌人』

文字通り、「天に忌み嫌われた者」という意味を持ち、霊力を一切持たずに産まれた者をさす言葉。

霊力を一切持たない代わりに、驚異的な身体能力と五感、回復能力を持って産まれる。


純奈:だから、その身体能力と五感のおかげで○○の術式を避けることができてるの

美月:それじゃあ、○○さんは.....

星野:それでも、○○なら大丈夫だよ! なんてったって、最強なんだから!

美月の不安な気持ちを星野が明るい声で吹き飛ばす。

美月:星野さん.....

美月達が見守る先には、生駒と戦う○○がいた。

○○:チッ、ちょこまかと動きやがって!

自身の全て攻撃を躱されて、苛立ちを見せる○○。

○○:この野郎っ!

生駒:綻んだね

○○が焦って生まれたほんの少しの隙を見逃さなかった生駒は持ち前の驚異的な身体能力を駆使して、一気に距離を詰めて黒剣を振り抜く。

美月:○○さーーえっ....?

○○に危険を知らせようとしてた美月から動揺の声が漏れる。

それもそのはず、生駒が振り抜いた黒剣が○○の体をすり抜けたのだ。

よく見ると、○○の体が半透明になっていた。

生駒:あぁ、そういえば、そんな技もあったね

美月とは対象的に驚いた様子も無く、どこか懐かしむような声を上げる生駒。

○○:ああ、お前には一回だけ見せたことあったな

生駒:簡易術式による絶対防御、だっけ?

○○:よく覚えてんじゃねえか


ーー簡易術式〝あか

自らの位相を強引にずらすことであらゆる攻撃を無効化する絶対の防御法。

この時、○○の体はこの空間にはいないため、半透明になる。

故に、全ての攻撃は○○をすり抜ける。

○○が最強と言われる所以の一つだった。


○○:お前に、これを使う羽目になるとはな

生駒:乱発はできないからね

そう、○○の絶対防御の数少ない弱点の一つが霊力の消費が大きいというである。

そのため、多用することができない。

生駒:そろそろ第二段階といきますか

そう呟くと、またもや生駒は姿を消して一気に○○の背後をとる。

○○:だから、効かねぇよ!

そう言って、すぐさま簡易術式〝緋〟を発動させて、防御に入る○○。

しかし、生駒は止まることなく半透明になった○○に向かって刀を振り下ろす。

○○:....っ!!

直前で何かを察知した○○は、咄嗟に生駒の攻撃を避けよう体を動かす。

その直後、○○の半透明の左腕から血が吹き出た。

○○:チッ....

みり愛:嘘.....

純奈:あの状態の○○に攻撃が当たった?

星野:そんな......

目の前で起きた、絶対防御状態の○○が傷を負ったことに驚きを隠せない純奈達。

蓮加:○○.....

美月:どうしたの? 蓮加

蓮加:えっ、ううん。何でもない。ただ、○○が心配なだけだから

美月:そうだよね。でも、大丈夫だよ、○○さんなら

蓮加:.....うん

生駒:慢心はよくないよ、○○

○○:クソっ....そのボロい刀か?

○○は、生駒が手に持っている薄汚れた黒剣に視線を向ける。

生駒:そうだよ。これは〝天行光あまのゆきみつ〟って言って霊具の一つ。能力は空間を斬ること。あの一瞬で察知して避けるなんて流石、○○

○○:空間を斬る....てめぇ、術式の仕組み知ってんな? お前に教えた記憶は無いぞ

生駒:さぁ、どうかな?

○○:まあ、いい。てめぇを倒せば関係ないからな!



……To be continued

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