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ハイスペックな兄、転生したら妹の子供だった件 14話


○母:れーん! 準備できた!?

○○:うん、今行く!

前回から一夜明けた今日の昼過ぎ。

ついにやって来た、美月達のライブ当日。

蓮加:蓮、おばあちゃんの言う事聞くんだよ?

○○:はーい!

蓮加とあやめに見送られて、父さんの運転でライブ会場である東京ドームへと向かう。

○父:今更だけど、蓮加に言わなくてよかったのか?

車を運転している父さんが、バックミラー越しに俺を見ながら聞いてきた。

○○:何が?

○父:今日ライブに行くことだよ

○○:あぁ、それか。奈々未と麻衣さんも来るんだ。蓮加がいたら、まともに話せないだろ

○父:なるほどな

○母:○○って、ライブ行くの初めてだったかしら?

○○:いや、高校の時に2、3回行ったじゃん。飛鳥さんに来いって言われて

○母:そういえば、そうだったわね

○父:俺も去年のライブ観させてもらったけど、とにかく凄いぞ

○○:へぇ....それは楽しみだな

○父:俺の推しはみなみちゃんだな。あの天使のような笑顔が堪らん!

○○:父さんが言うと、変態の言葉にしか聞こえねぇよ

○母:そうね、逮捕案件よ

○父:おい、2人して酷すぎだろ!

そんなこんなで、車は今回のライブの会場である東京ドームに到着した。




俺は母さんの案内のもとドームの裏から関係者席へ。

ドーム内はライブ前のスタッフ達が慌ただしく行ったり来たりを繰り返していた。

○○:うわぁ....大変そうだな

俺は他人事のような感想を口にしながら、その光景を見る。

すると、

○母:あっ、○○。私、ちょっと行くわね

○○:.....は? どこにだよ?

○母:お偉いさんに挨拶して来るから、先に行ってて

○○:ちょっ、母さん待ーー

ただ言うことだけ言った母さんは、俺の制止を聞かずにスタッフだらけの人混みの中に消えていった。

○○:おい、嘘だろ.....

初めて来た場所で、まさかの置いてきぼり。

とりあえず、進もうと思った時、俺は重大な事に気づいた。

○○:てか、俺、場所聞いてなんだけど

母さんからライブを見る場所を聞いていなかった俺は、開始数秒で迷子になった。

そして、俺はその場で数秒考えて、

○○:よし、せっかくだから探検するか

開き直って、東京ドーム内を探検することを決めた。

○○:裏って、結構複雑なんだな〜

想像よりも入り組んでいたドーム内に驚きながらも足を進めていると、いい匂いが鼻腔をくすぐってきた。

○○:おっ、これってケータリングってやつか!

目の前には、料理の行列が。

色々な料理を見て、昼飯を食べていない俺の腹は食に飢えていた。

俺は、脚立や台などを上手く利用しながらケータリングを拝借しようとすると、

○○:あ、あれは! ブラックアイボリー! 何で高級コーヒーがこんな所に!?

高級コーヒーを視界に捉える。

俺の意識は、すでに料理から目の前のブラックアイボリーに移っていた。

○○:すでに豆は挽き終わってる。あとは淹れるだけ.....

せっかく見つけた高級コーヒーを飲もうと周りを見渡すが、

○○:チッ、流石にじいちゃんの喫茶店みたいにはいかないか。仕方ない、あれで我慢するか

俺は、渋々、隣にあったコーヒーメーカーに挽き終わっている豆を入れようとする。

その時、

「君、こんな所で何してるの?」

レッスン着姿の美少女に話しかけられた。

○○:あっ、えっと.....

「あっ、もしかして、それ飲みたかったの?」

そう言って、コーヒーを指さす美少女。

俺は目を輝かせて首を縦に振る。

「待ってて、今淹れてあげるから」

おい、この子は神か?

普通なら色々と聞かれるはずの状況に何の反応も示さずに、コーヒーを淹れてくれてる美少女を見て感激する。

「はい、できたよ」

○○:あ、ありがとう。えっと....

「あっ、私、井上和って言うの。一応、アイドルやってます。よろしくね?」

○○:よろしく....お願いします

あっ、ここは5歳児対応でいかないと

和:君、お名前は?

○○:○まーーじゃなくて、蓮です

和:蓮くんか〜、かっこいい名前だね! ところで、蓮くんは何でここにいるの?

○○:関係者席って所を探してたの

和:えっ、一人で?

○○:うん

和:うんって....蓮くんいくつ?

○○:5歳!

和:えっ、5歳!? お父さんかお母さんと一緒に来たんだよね?

○○:お母さんと来たんだけど、偉い人に挨拶しに行くって言って、置いてかれちゃった

和:そっか。なら、お姉ちゃんが連れてってあげるよ!

○○:ホント?

和:うん! この和お姉ちゃんに任せなさい!

なんか少し不安だけど、ここは任せてみようかな

○○:じゃあ、お願いします!

和:よし、しゅっぱーつ!

俺は淹れてもらったコーヒーを片手に、和の隣を歩く。

和:そういえば、蓮くんはコーヒー飲めるんだね?

○○:うん。珍しいコーヒーだったから、つい飲みたくなっちゃって...笑

和:そうなの?

○○:うん! 1杯で7、8000円するからね

和:えっ、そんなにするの!?

○○:あっ、飲んでみる?

和:いいの?

○○:もちろん、お姉ちゃんが淹れてくれたんだから

和:それじゃあ、いただきます

そう言って、和は俺からカップを受け取ってコーヒーを一口。

○○:どう?

和:んー、よく分かんない...笑

○○:ふふっ、お子ちゃまだな〜笑

和:なっ! 私は高3だよ!

俺からしたらガキじゃねぇかよ

○○:あっ、ちなみに、それは象のフンだよ

和:ブフォ....!! ゲホッ...ゲホッ.....それ先に言ってよ!

口元を拭きながら睨みつけくる和。

○○:あっ、ごめんなさい

そんな和と一緒に歩いてると、前から新しい子が。

「あれ、和〜! 何してるの?」

和:あっ、さっちゃん!

和が手を振ると、さっちゃんと呼ばれた子がテクテクとやって来た。

まあ、おそらくこの子もメンバーなんだろう

○○:ねぇ、このお姉ちゃんもメンバーさんなの?

和:そうだよ。菅原咲月ちゃん、私の同期で仲良しなんだよ!

ほぉ....

咲月:和、その子誰なの? 和の知り合い?

和:ううん。なんか、迷子になってたから案内してたの

咲月:迷子って....どこに行くの?

和:関係者席だって

咲月:じゃあ、まだ少し時間あるし、私も一緒に行くよ!

何が「じゃあ」だよ、ライブ前だろ?

その後、何故か「私、小さい子好きなの!」と言った咲月に抱っこされて、そのまま目的の関係者席へ。

咲月:さっ、着いたよ! 和、ドア開けてちょうだい

和:おっけー!

元気よく返事をした和がドアを開けて、

和:すみませーん、迷子の蓮くんお連れしました〜

「あれ? 可愛い子が突然」

「ななみん、どうしたの?」

「なんか、○○をお届けだって」

和:えぇえええええっ!!?

和のびっくりする声が響き渡った。

和:ハリウッド女優の、ふ、ふ、深川麻衣さん!?

咲月:嘘っ! 本物じゃん!!

奈々未:ちょっ、うるさっ.....

和:あっ、すみません.....

関係者席で奈々未と深川さんが先に待っていた。

○○:あっ、どうも、お2人さん。数日ぶりですな

深川:もう、○○君! 何してたの?

○○:いや〜、探検してたらこの2人に捕まっちゃって...笑

和:○○....って、誰ですか?

奈々未:き、聞き間違いじゃないかな? うん、きっと聞き間違いだよ

和:いや、でも、さっきーー

奈々未:あっ、2人とも時間は大丈夫なの? 飛鳥とか梅ちゃんに怒られるよ

咲月:あっ、そうだ! 行こう、和!

和:えっ、うん。蓮くん、またね!

○○:じゃあね〜

手を振りながら、部屋を出て行く和と咲月を見送る。

奈々未:で、アンタはホントに何してたの?

○○:母さんと一緒に来たら〜、置いてかれた〜。だから、「よし、探検しよう!」ってそこら辺をうろちょろしてたら〜、あの2人に捕まった〜。以上!

奈々未:うん、異常ね

深川:まあまあ、無事に来れたんだからいいじゃん。ね? ○○君

○○:そうそう

奈々未:でもねぇ....

深川:いくら好きだからって、過保護はダメだよ?

奈々未:なわけないでしょ。いくらまいまいでも怒るよ?

深川:ヒィッ! ごめんなさ〜い!

それから、3人で軽く雑談をしていると会場の明かりが消えた。

奈々未:おっ、始まるね

そして、ライブの始まりを告げる音楽ーー〝Overture〟が会場全体に響き渡った。 


........To be continued

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