ハイスペックな兄、転生したら妹の子供だった件 8話
「いや〜、あの生意気な○○がこんな可愛い子になってるなんて〜」
「ちょっと、まいやん! 私にも○○貸してよ!」
「うちが先やで、いくちゃん!」
「なぁちゃんはもうしたでしょ」
「玲香だって、どさくさに紛れて二回したじゃん」
「万理華はいいの?」
「相変わらず○○君は人気だね...笑」
美波:やっぱりこうなったか...笑
星野:みなみもしたい〜
美彩:いや〜、さすが○○だね
飛鳥:あれ? 美彩も知ってたんだっけ?
美月:ぶぅ....私の○○なのにっ!
○○:なんで、こうなった......
美月と美波の二人と行った実家訪問。あれから一ヶ月が経った今日。
俺はいま、カオスな状況に身を投じられている。
数時間前
○○:やっぱ、埼スタはデカいっすね
真夏:○○君、離れないでね?
○○:はーい
前回、美波からの提案でとあるファッションショーに行くことになった俺。
五歳児が一人だけでは入れるわけないから、今回も真夏さんに同行してもらっている。
さくら:ぐへへへ...また飛鳥さん達を生でみれる....笑
一人(?)気持ち悪いやつがいるが、無視して会場へ。
真夏:席は...えーと.....あっ、ここだ
○○:ここって関係者席ってやつですよね?
真夏:うん。梅ちゃんが用意してくれたみたいだよ。上からの席だから、全体が見えていいよね
○○:たしかに、いい席ですね
さくら:んー! ここ遠すぎっ! よく見えない!
○○:なら、近くで見てこいよ。お前、誰にも見えないんだからさ
さくら:あっ、そっか。○○、ナイスアイディア!
満面の笑みを浮かべながら、さくらは壁をすり抜けて行った。
真夏:そういえば、終わる時間だいぶ遅いけど大丈夫?
○○:蓮加にはいつも通り、友達の家に泊まるって言ってあるので
真夏:えっ、それ大丈夫? 今日は美彩も出るんだよ?
○○:何かあったら口裏は合わせてくれるみたいです
真夏:それならいいけど
○○:にしても、あの人達ホント凄いですよね
真夏:そうだよね。同級生として鼻が高いよ
○○:真夏さんはよかったんですか?
真夏:ん? なにが?
○○:いや、真夏さんも芸能界とかでやっていけたんじゃないかな、って思って
真夏:私はこのままでいいよ。今の仕事で十分満足してるし
○○:高校の時とは変わりましたね...笑
真夏:ちょっと、それどういうこと?...笑
○○:だって真夏さん。高校の時は目立ちたがり屋だったじゃないですか
真夏:そ、それは否定できないけど.....私だって大人になったんだよ!
○○:わかりましたから。そんなにムキにならないでくださいよ
真夏:あっ、○○君。スマホ鳴ってるよ?
○○:あっ、LINEだ
ロック画面に表示され一件の通知。それを見た俺は、思わず苦笑いを浮べる。
○○:はぁ....あいつ......
真夏:誰から?
○○:美月です。「しっかり見ててね♡」だそうです
真夏:ふふっ、相変わらずだね。美月のそういうとこは高校の時から変わってないね...笑
そんな事を真夏さんと話していると、会場に音楽が流れ始める。
○○:おっ、もしかして
真夏:始まったみたいだね
会場では音楽と共にモデルの人達が次々とランウェイを歩いている。
途中にはMCとモデルのトークタイムとかもあって、順調に進行していた。
が、ファッションに一切興味のない俺は、睡魔というなの強敵と絶賛バトル中。
そして、TGCも終盤に差し掛かった時、会場が今日一の盛り上がりを見せた。
「「「「「キャーーーー!!」」」」」
観客達の黄色い声援が、会場中に響き渡る。
睡魔と戦闘中だった俺も、あまりの歓声に意識が完全に覚醒した。
○○:な、なにごと?
真夏:○○君、あれ!
真夏さんが指をさす方向を見るとーー
○○:みなみさんだ....
視線先にはランウェイを颯爽歩いている可愛いの具現化が。
○○:これって.....
真夏:今回のTGCの目玉企画「最高の世代タイム」だよ!
なんだそれ.....
そんな俺をよそに歓声は次々と上がっていく。
次に出てきたのは、中学からの付き合いの高身長な真面目ちゃん。
真夏:○○君、ほら! 梅ちゃんだよ!
○○:わかってますよ
それにしても、あの美波が堂々とランウェイを歩いている。
ターンの時にバッチリキメてるし...笑
美波の後に出てきたのは、幼馴染で小悪魔なアホ。
真夏:美月も凄いよね
○○:そうすね
アイドルスマイル全開の美月。時折、観客席に向かって手を振ったりなどのファンサービスもしていた。
その度に、客席からは大歓声が湧く。
マジでスゲェな......
俺が知ってる美月とは全く違う美月がそこにいた。
続いては、お口が悪いツンデレ先輩。
○○:あれが、あの飛鳥さんか〜
真夏:いや〜、飛鳥も成長したね。
さくら:きゃ〜〜〜〜っ!! 飛鳥さーん! 可愛いすぎだよ〜っ!!!
一際大きな歓声をあげる人......ではなく、死神。
あいつ、見えないのをいいことにランウェイに上がってる。なんなら、飛鳥さんとの距離は一メートルもない。
アイドル組に続いて出てきたのは、ママさん美人モデル。
○○:いつも幼稚園で見てるけど、その時とは違いますね
真夏:それわかる!
○○:こっからは、ついにあの人達か
真夏:だね。あっ、来たよ!
○○:どれどれ....あっ、玲香さんだ!
最初に出てきたのは、我らが誇る第43代生徒会長だった桜井玲香さん。
リーダーシップがあって尊敬してるけど、ポンコツなのがたまにキズ。
卒業後は舞台女優として、数多くの舞台に引っ張りだこだとか。
続いては、
○○:えっ、あれって、若さん!?
真夏:若ぁ! かっこいいよ〜!!
玲香さんの相棒、若月佑美さん。
高校時代は常に玲香さんと一緒にいたのだが、そのせいで、俺達の間ではデキてるんじゃないかって噂になったほど。
卒業後は、女優として活動していて大河にも出演している実力派。
真夏:そういえば若、今個展開いてるんだって
○○:えっ、個展? あの人女優ですよね?
真夏:女優業の傍らにやってんだって
○○:あー、言われてみればあの人、絵上手かったですよね
真夏:賞とかも取ってたしね。って、いくちゃんじゃん!
○○:えっ、本当だ! てか、なんで日本にいんの!?
今、ランウェイを歩いてるのは生田絵梨花さん。
ただでさえ個性の強い人達の中で、一番個性が強い人。
卒業後は、夢だったミュージカル女優として数々の公演で活躍している。
現在は海外で活動中だったはずなのに.....
○○:出演者リストに無かったですよね?
真夏:たしかに....あっ、○○君ここ!
○○:シークレットゲスト....って、これか!
日本と海外で活躍している超有名なミュージカル女優。
たしかに、シークレットゲストに相応しいな。
ビックゲストの出演もあり、盛り上がりも最高潮に達する。
そのTGCもそろそろ終わりに近づく。
出演モデルもラスト3人。
真夏:○○君! 次来たよ!
○○:おっ、さゆりん!
ラスト3人の一人目として出てきたのは松村沙友理さん。
卒業後はモデルとして活動していたが、持ち前のキャラが受けて、今ではバラエティでも活躍している。
何年か前にCDも出したらしく、それがバカ売れしたとか....
○○:次は....おっ、七瀬さんだ!
真夏:なぁちゃ〜ん!
会場のボルテージがまた一つアップする。
さゆりんの次に現れたのは西野七瀬さん。
たまに恐ろしい部分が垣間見える、可愛い関西弁女子。
卒業後は女優として活動し、ドラマや映画などに多数出演している超人気女優になっていた。
真夏:いよいよ最後だね
○○:そうですね。あっ、来た! 真夏さんの大好きな白石ですよ!
真夏:まいや〜ん!!
会場から最大の歓声を受けて現れたたのは、「最高の世代」筆頭と呼ばれている白石麻衣。
他の人達と違って、なんでこいつだけ呼び捨てなのかというと、それは白石と初めて出会った頃にまで遡る。
閑話休題。
まあでも、あの頃から美の化身って感じで、めちゃくちゃ綺麗だったけど、今でもそれは健在だった。
高校卒業後はモデルやバラエティ、ドラマに映画などマルチに活躍してる。
二年前からは、なんとパリコレに出てるとか。
俺の先輩たちが、いろいろと凄すぎた件。
こうして、TGCは大盛況のなか幕を下ろした。
真夏:いや〜、改めて、本当にみんな凄かったね
○○:そうすっね。なんて言うか....ここまでデッカくなってると....笑えてきますね...笑
真夏:ホントそうだよね...笑
と、ここでまた俺のスマホに通知が届く。
○○:ん? あっ、LINEだ
真夏:もしかして、また美月?
○○:そうです。なになに.....
真夏:美月、なんだって?
○○:えぇーと、「迎えに行くから待ってて!」だそうです
真夏:そっか。なら待機だね
美月の迎えを待つこと30分程。時刻はすでに、夜の10時をまわっていた。
真夏:○○君、大丈夫? 眠くない?
○○:大丈夫っす。前半寝てたんで...笑
「ごめん。お待たせ」
○○:おい、遅いぞ。いつまで待たせんーーって、飛鳥さん!?
星野:みなみもいるよ〜!
飛鳥:へぇ、随分と舐めた口きくじゃん
○○:あっ、いや、すいません。美月だと思ったんで....
真夏:あれ、飛鳥が来たの? 美月は?
飛鳥:帰り支度が終わんないから、代わりに私達が来た
星野:ほら、2人とも行くよ!
真夏:う、うん!
○○:はぁ....ようやくかーーって、えっ、ちょっ、みなみさん!?
なんの前触れもなく、俺を抱き上げたみなみさん。
星野:○○君は、私が連れてってあげるからね〜
○○:いや、自分で歩けるから! 降ろして!
星野:だ〜め〜!
くっ....ダメだ
この体だと振りほどけない
仕方ない、ここは大人しく従うか....
○○:はぁ...それじゃあお願いします
星野:うんうん。素直で可愛いね〜
わかったから、頭を撫でないくれ
真夏:飛鳥はいいの?
飛:は、はぁ!? なんで私が!?
真夏:ふふっ、飛鳥動揺しすぎ...笑
飛鳥:おい、真夏.....
真夏:もぉ、怒んないでよ〜
○○:お二人さんや。そろそろ行かないかい? この格好、なかなか恥ずかしいだけど
「「あっ、はい」」
みなみさんに抱っこされながら、待ち合わせ場所へと向かう。
途中、すれ違う人達から好奇の目で見られるのが、これまた恥ずかしい。
"えっ、あの子誰?"
"もしかして星野さんの子供とか?"
ほら、やっぱり誤解されてるじゃん
○○:ちょっと、みなみさん
星野:ん〜? どしたの?
な、なんだその笑顔は.....
そんな笑顔を見せられたら何も言えねぇよ
○○:い、いや、なんでもないっす
星野:かっこいい○○君もよかったけど、可愛い今の○○君もいいね!
○○:ははは....そりゃどうも....笑
そんなこんなで歩いていると、一つの部屋から聞き馴染みのある声が聞こえてくる。
星野:はい、とうちゃ〜く! 飛鳥、ドア開けてちょうだい
飛鳥:自分で開けなよ
星野:○○くん抱っこしてるから無理〜
飛鳥:はぁ....ほら
呆れたような表情で溜め息をつきながら、ドアを開ける飛鳥さん。
美波:あっ、飛鳥さん!
飛鳥:ほら、お望みどおり連れてきたぞ
白石:あっ、真夏〜!
真夏:みんな久しぶりー!
七瀬:久しぶりやな真夏!
桜井:ほんとそうだよね。最後に会ったのって、同窓会以来?
真夏:うん。だから一年ぶりくらいかな?
松村:会いたかったわ〜
真夏:私も〜!
若月:てか、みなみが抱っこしてる子供は誰?
生田:もしかして真夏の子供!? いつ結婚したの!?
飛鳥:違うよいくちゃん。彼氏すらいない真夏に子供がいるわけないじゃん
真夏:ちょっと飛鳥!
若月:ホントに真夏の子じゃないの?
星野:違うもんね〜、○○君?
「「「「「「「○○っ!!!??」」」」」」」
さっきまでワチャワチャしてた白石たちの視線が、一斉に向けられる。
○○:は、ははっ.....ど、どうも〜...笑
松村:って、なにゆーてんねん! どっからどう見ても子供やん!
白石:もう、みなみ。そういう冗談はよくないよ
七瀬:そうやで、みなみ
星野:え、いや、嘘じゃないのに....
結構ガチトーンで注意されたみなみさん。
目にはうっすら涙が.....
○○:あっ、ちょっ、みなみさん泣かないで!
俺は真夏さんに「この場は任せた」とアイコンタクトで伝える。
真夏:任せて! 美彩、手伝ってくれる?
美彩:オッケー!
真夏:まいやん、それにみんなにも話したい事があるの
若月:なに? 話したい事って?
真夏:さっき、みなみが言った事について
白石:その子を○○って呼んだこと?
真夏:うん。実はねーー
白石:ちょ、ちょっと待って真夏.....何言ってんの?
松村:死んだ○○が....転生? で生き返った? そんなん信じられへんやろ!
生田:そうだよ真夏! 漫画じゃないんだから!
桜井:たしかに信じられな。けど、真夏が嘘ついてるとも思えないよ
若月:それに、あの飛鳥があそこまで楽しそうに話すのって、私達以外だと○○しかいないよ
七瀬:美彩も、あの子供が○○やって信じてるん?
美彩:そうだよ
白石:そんな美彩まで......
若月:証拠とかってあるの? ほら、信じた要因とかさ
美彩:証拠っていう証拠はないけど、私達しか知らないことならいくらでも話せるよ
真夏:それに、これまで幼稚園で一緒にいたけど、話し方とか仕草が私達の知ってる○○なの
白石:で、でもーー
「みんなおつかれー!」
シリアスな空気が漂う楽屋に、場違いな元気な声が響く。
○○:誰だーーえっ、高山さん!?
真夏:かずみん!? なんでここにいるの?
楽屋に入ってきたのは、真夏さん達と同級生の高山一実さんだった。
……To be continued
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