【実用作曲講座】単なる丸の内進行じゃつまらない時、どうします?
今回は音楽を作られる方に向けた記事になります。でも、リスナーさんにもためになる話かもしれません!
なお、今回情報収集をあまりしないぶっつけで書いてるので、例とする曲がボカロじゃなかったりします。
ご了承ください。
はじめに
丸の内進行、以前の記事で紹介したと思うんですが、正直その個性が強くあまりにも魅力的だからこそ作る時に正直マンネリ化を感じません?
今年の曲で言っても「キュートなカノジョ」「ヴァンパイア」「エンヴィーベイビー」「ジェラシス」「アブノーマリティ・ダンシンガール」などがその派生。
それぞれに味付けが加えられておりとても好きなのは前提として、曲の雰囲気を支配するコードの選択に幅を持たせるに越したことはありません。
しかし、例えば丸の内っぽいメロディを「王道進行」に乗せたり「小室進行」に乗せたりしてもしっくり来ないことも多いでしょう。
でも変えたいという時の手段をお伝えします。
実用的。
(テンションやセブンス等は必須な場合を除き省きます。本来はオシャレなジャズ風コードなので、セブンスが乗ることは非常に多いです。)
①基本形
ここでは基本形を
1. 436
グッバイ宣言、テレキャスタービーボーイ、ビターチョコデコレーション、聖槍爆裂ボーイなど。
VImのままステイするので、ストレートな印象を受けますね。
(聖槍爆裂ボーイはストレートどころじゃない)
2. 4361
ヴァンパイアなど。
うっせぇわとか第六感とかどろんとか人間界隈でもよく見ます。
というかよく見かける形すぎて、例を挙げるまでもありません。
Ⅰがあるのでドミナントモーションが次のIVに向かってできて、オシャレ。
3. 43651
Ⅴm→Ⅰは半分の長さにして詰め込みます。原典(もちろんそれ以前にもある)の「Just The Two Of Us」や「丸の内サディスティック」がこれです。
Ⅴm→Ⅰ→IVはツーファイブワンと呼ばれるジャズの手法なのでやはりオシャレ。
あと、Ayaseさんの定番コードの後半もこれです。
前半は王道進行。
4. 436から半音ずつ下がる
裏コードを使うなど細かい違いはありますが、アレンジではあるものの非常によく見るので基本編に。
分からないという方は「孤独の宗教」の「愛の飢えを」を聴いてください。
(帝国少女と言いたかったけどちょっと応用みが強いので……)
割とスケールの音じゃない音が入ってるんですが、ごり押して違和感なければそのままでスパイスとして入れてもいいのではないでしょうか。
個人的な感想として毎回やるとくどいので、「2」で紹介したようなものとの併用をオススメします。
②応用編
5. 4362(M)
VIm→Ⅱが強進行で独特の趣があります。
用例としてⅡはメジャーであることが多いんですが、これは少し明るい印象を受けるため「436」の暗さと相まって躁鬱みがある。
今年だとジェラシスが特徴的ですね。
いやあのメロまじやばいんですけど、ここで書くと脱線なので割愛します。
言いたいこととしては半音の下り階段ができて綺麗だよねってことです。
あと煮ル果実さんがよく使われるコード進行でもありますね。「紗痲」「ハングリーニコル」「イヱスマン」などなど。
(前のnoteで紹介した妄想疾患■ガールもこれだ!!!)
ちなみに、「孤独の宗教」の四つ目のコードは「IV♯m7-5」ですがこれも紗痲の「Ⅱ7」の代理コードとして解釈可能。これは「IVM7(次のコードにあたる)」のベースを半音あげたものでとても珍しいコードという訳ではありませんが、不思議さがありますよね。
(前のnoteで紹介した脳漿炸裂ガールもこれだ!!!)
6. 436(M)
えっ、VIをメジャーにしちゃうんですか?
まぁいわゆるピカルディ終止なんですが、そんな言葉はいいんです。とにかく想定外さが伝わればいい。
(細かく言えば同主調からの借用和音、あるいは同主調への転調になるのでしょう)
「睡魔/缶缶(Ayaseさんの提供)」ではサビに思いっきり使われてます。VIの想定外な明るさが、「君」を失った後の何も起こらないある意味平穏な日々を表してる感じがします。
ここに関しては「ボッカデラベリタ」をどうしても取り上げたい。こちらは基本的に「エバ」と同じ456の進行で436とは異なりますが、「VI」の感覚を掴むにはもってこいに感じました。
「これは真実」(タイトル回収ですね)ではっとさせられるのはこの影響もあります。
「なんですの」とふわっとした解決もこれで、その後VImに行くことで元の世界に戻ってきます。
さすがにメロディを少し変えなきゃいけないので、代理とは行きませんが作曲のアイデアとしてはあり。
ちなみに、今話題の「きらり/藤井風」のサビも「IV→IV→Ⅲ→VI7」ですね(もっと言うと「帰ろう」もそう)。
どちらもその後のコードがⅡmなので二次ドミナント的ではありますが。
7. 4365
「3」で紹介したものの「Ⅰ」を除いるという解釈も、「S→D→T→D」の進行という解釈もできると思います。
解釈によってⅤをマイナーにするかメジャーにするかは変わりますが、単純なそれぞれコードの明暗以外に明確な差を提示できないので省略します。
ベースの動きが小さく滑らかになることもあり、基礎編でも良かった程に使用例が多いなのですが、ぱっと出てくるのは「百鬼祭」ですかね。
Ⅴには緊張感があるので、緩和から再びいきなり緊張に戻ります。
Kawaii Future Bassでも使われます。*Lunaさんの「Heal Me」とかずっとこれです。
EDMだからこそ循環コードが重宝されます。
ミディさんが作り方紹介で使ってるのもこれです。
もちろん随所に「4」で紹介した半音下降のも忘れずに。むしろそれがKawaii Future Bassの肝です。
あと獅子志司さんの印象も強いです。必ずと言っていいほどⅤmで使用されます。
「有象無象も踊る夢」「絶え間なく藍色」「死線」「永遠甚だしい」などなど。
余談ですが「喰らいながら」では5643とずらして使用されています。
(永遠甚だしいだと「売買しよう上等と」で紹介した半音下降が使われてます。エモい。)
というか本人が仰ってるので言うまでもありません。
7. 4351
「43の後に5ってこのnoteのレギュレーション違反では……?」「まだドミナント引っ張るの……?」と思った方、ちょっと待って。
実は4361の代理として割と行けちゃうんですよ。
キーAmだとして、「Am」のコードにラやドを載せると安定するけど味気ない。
「Gm」や「G」に載せるとあら不思議、9thや11thのオシャレな響きがコードと併せて浮かび上がるじゃないですか。
ボカロだとあまり見ない印象があります。
耳が悪い?エモみが強すぎる?
星野源さんは本当に多彩なコードを使われるのですが、これもそのひとつ。なんで星野源さんを紹介するのかと言うと、純粋に好きなのと「うちで踊ろう」が丸の内進行だったからです(ブラックミュージックに精通されているのでそれはそう)。
「恋」だと「カラスと人々の群れ」の所でサラッと使われています。
「くだらないの中に」だと間奏にそのまま使われてます。メロディがあるパートだと、「くだらないの中に愛が」が4356で似た進行になってます(タイトルのめっちゃ重要なところ)。
(余談ですが、4325とかも星野源さんの曲でよく見ます。これを丸の内の代理として使うのは難しいのですが、面白い響きです。)
8. 4367♭
思い当たるものを調べてみたら、どれも違ってビックリしてます。あまり存在しない……?
解釈的なことを言うと、同主調からの借用和音の中でも最も使われるものです。
面白いので「失敗作少女」を聴いてみましょう。
本家は4361ですが、MARETUさんのアレンジは「Ⅴ/Ⅱ」、稲葉曇さんのアレンジはこれじゃないですか……(オンコード分からない芸人)?
なおベノマ収録曲は貼り方が分からない!!!
7♭自体が持っている浮遊感がなんとも言えないのです。
MARETUさんとかね。
「脳内革命ガール」の「名無しさん」のところや「うみなおし」の「ないから」のところです。
9. 4をセブンス(メジャーセブンスでは無い)にする
一応このnoteでらは7thをあまり考慮していないのですが、これはすさまじいので。
尋常じゃないMARETUさん感。
基本的にM7を足すのですが、代理としてもメロディによっては成り立ちそう。
一応Ⅲ7に対する二次ドミナントの裏コードではあるけど二発連続セブンスはやばいです。
「ドクハク」のサビ頭は強烈ですね。サビ後半だとリードギターがこの音を弾いてますね。
「うみなおし」はコード譜のサイトだとセブンス入ってませんが、右のシンセがその音を弾いてるので多分そうです。
判定ミスがあったら申し訳ないんですが、不安定感を残すのは間違いありません。
10. INEさんすきすきコーナー
このnoteがテンション抜きにしてるのでかなり真逆の方向をいってるのですが、借りられるアイデアは借りましょう。
nogiはINEさんのコード進行動画をめっちゃ見てます。
(本家に合わせた表記をします)
ケプラー
IV△7→Ⅲ7♭13→VIm9→VI7♭9
♭13が美味しいらしいです。
ナイトフォール
IV△7→Ⅲ7→VIm7→VIΦ
(この後はⅡに行きたいですね)
共通してる事としては、VIをルートにしたままでメジャーに変位したものが最後のコードになっています。
これについては「6」で触れたものと共通ですね。
テンションについて述べると(十用だけど)ありえないほど時間かかるのでとりあえず拝借しましょう。
11. その他の入れるか悩んだやつ
236(ヲズワルド、たぶん等)
INEさん曰く4がマリオなら2はルイージ。
代理にしても大きな問題はありません。
456
少しだけ触れましたね。
436よりストレートで叙情的です。
4♯436
エモいです。(IV♯m-5とかを初めに使って下さい)
同じメロで代用してみてぶつからなかったら、後半で差し替えるのもありかも。
(noteの進行的に、例としてケプラーが最初に浮かんだ)
IV→IVm→Ⅲm→VIm
これも似た感じのエモ要員です。
IVm自身かなり泣かせるタイプのなので同じく後半に使ってみましょう。
(ツユのぷすさんがよく使いますね。「くらべられっ子」のサビ頭とかかなり感情が現れます。)
IV→VI♭-5→VIm
キリがないと思って!!!
普通にトライトーン代理で行けます。
終わりに
以上!
思い出したら追記します〜〜〜
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