TikTokでバズりたい

TikTokでバズりたいという人は多いだろう。


現在最も注目されているSNSのひとつであり、ファンの気持ちはどうあれボカロP本人にとってはゴールドラッシュならぬTikTokラッシュに乗っていきたいところだろう。

というか私がそうだ。

本当に最速でバズるなら豆知識とかを喋ってる方が早いが、それだと目指す場所がよく分からないのでやりたいことをしながらあわよくばTikTokでバズりたい。


自分自身でなく曲だけでもいいからバズってくれ。

そこで、ケーススタディしていきたいと思う。後付なのは承知だし、これがあれば全てバズってるなら苦労しない。

しかし、自分の楽曲をそこに近づけるために役立つのではと考えた備忘録だ。


①グッバイ宣言

グッバイ宣言 / FloweR 

http://nico.ms/sm36668789 

ボカロ楽曲では(こういう括りもどうかと思うけど)初のTikTokランキング一位、かつ連覇をなしとげた楽曲。

http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/97254/2

http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/97481/2

現状TikTokで最もバズった曲と言っても差し支えないだろう。

ひとつ言えることとして、TikTokでのバズりは基本的に

・曲自体のニコニコやYouTubeでの話題性
・キャッチーな踊ってみたや歌ってみたなどの音楽コンテンツ
・ありとあらゆる雑多な動画のBGMになる

の流れとなる。最初から音楽が関係ないものでバズるのももちろんあるので、ボカロ系統のもので紹介はしておく。

・THE BINARYの「命が泣いていたんだ」はイケてるメンズを紹介する動画(Ayaseさんの楽曲というのは元からかなり話題性としてある)


・yamaさんの「春を告げる」はアニメや景色のMAD(という印象があるんですけどどうなんですかね……???)

・和ぬかさんの「寄り酔い」は弾き語りとラブラブ系動画半々くらいで話題になった印象

脱線したが、それを考えるとグッバイ宣言はまさに適応できるわけだ。

・第1バズ
ニコニコのトップに選出される
YouTubeのアルゴリズムで選出され、伸びる

・第2バズ
「ゆら」氏の原曲PVに沿った振り付け動画が話題となる。重要な事として、氏自身は莫大な影響を持つインフルエンサーという訳では無い。
その後次々と同じ振り付けやアレンジしたものが投稿される。

・第3バズ
もう何にでも使われている。
TV番組が特集に動き出す(グッバイ宣言が3月4日に流れたらしいですね。私は見逃しました。)
面白いことに、ここで大手歌い手さん(るぅと氏、Sou氏、いゔどっと氏など)が乗ってきてその動画もTikTokでもバズる。
「TikTokで話題の曲を歌ってみた」のようなものに入る。ストリーミングやなんやかんやで強すぎてよく分からない。

第3バズはもう正直個人にどうこうできるものでは無い。グッバイ宣言の魅力に「今話題の」がついたらもう無敵だ。

第1バズのニコニコに関しては正直運だし、現環境においてはこれ(いわゆるビジョン等)に選ばれることの善し悪しは分からなく、殿堂入り楽曲のほとんどがこれという本末転倒な状態だ(がこれを批判するnoteではない)

ちなみに私の処女作はニコボトップで再生回数が死ぬほど回った。少し違うパターンだけど

しかし、ランキングにしても何にしてもニコニコで話題になるのは案外重要だったりする。vocaloardのようなYouTubeのランキングサイトなどはあれど、それで無名の曲がYouTubeのランキングで上がり注目されるのは非現実的だからだ。
https://vocaloard.injpok.tokyo/

結論は、ニコニコにもあげよう。

次のYouTubeバズはいい曲を作るに尽きる。でもそれじゃつまらないのでグッバイ宣言がアルゴリズムに選出された経緯を考えよう。

まず曲が短いということは前のnoteに書いた。
これも正直総再生時間を考えると不利なのだが、視聴完了率を考えれば最後まで歌たっぷりなのはアドバンテージだ。
実際Chinozo氏は、「シェーマ」「TAMAYA」あるいは「灯火」などその後短めの尺で間奏を挟まない楽曲にシフトしているし、相当視聴完了率が高かったと予想される。

「引きこもり」を歌詞、しかもサビ頭に使うのはかなりチャレンジングだろう。本人がYouTube配信において「ご時世を考え明るい曲を作りたかった」といった趣旨の発言をしていたことからも、このコロナ禍の状況を意識しているのは明らかだろう。

ではこのパターンがコロナ禍以降応用できないかと言うとそうでは無い。
今に始まったことではないが、ある種のマイノリティであったものを許容するような音楽は今後紹介するように求められ続けるだろう。

これをより印象付けるのが「俺の私だけの」という続く歌詞だ。
主語はどっちなんだろう。
多分どちらでもないし「僕」でも「拙者」でも「まろ」でもなんでも良くて全人類をこの独特な表現で指しているのだと思う。「君」という特定の二人称は出てくれど、決してある程度ジェンダーを狭めるような単語は使わないというのが魅力的かつ現代的である。

ちなみにシェーマは「僕」、カナリヤラメントは「私」であり、ある程度PVの主要人物のイメージがリンクしているように思う。多分グッバイ宣言のPVの子は「俺」とは言わない。(あれ、言っても可愛いな、訂正。)

同音連打のメロディがキャッチーとか、韻やリフレインが良いとか、Chinozoさんもよく使うJust The Two Of Us進行(陰キャ進行は認めんぞ)がとか、ラスサビ転調がとか、音の方では王道なところを踏んで行っているのもバランスとして素晴らしい。

あと楽曲自体のBPMが早いのも後述の「ポッピンキャンディ☆フィーバー!」に共通し15秒の情報量を増やせるという面で良い。高速ロックはボカロの十八番だし、v_flower(FloweR?)はそもそもロックを念頭に作られたものだし、2016年あたりの流行を彷彿とさせる(真新しくこそなくても)耳馴染みのいい楽曲という印象だ。

最後にイラストの話をせねばならない。個人的に、アルセチカ氏とはある程度ご一緒しているしイラストをお借りしたこともある。
時系列的に私はグッバイ宣言あたりでアルセチカ氏を知ったので「すわりよければおべてよし(グッバイ宣言のイラスト)」をお借りする世界線はなかっただろうが、このイラストは強い。

発言からしてアルセチカ氏本人が恐らくこのポーズをして写真から描いており、変なポーズだができないことは無い。
今後こういう不思議なポーズをしているイラストが界隈で量産されるのではないかとすら思う。真似したいというのはTikTokの初動のバズにおいて重要であり、選んだのは勝ち確だ。(これは本人も「なんで誰も使ってないんだろう」と思ったと話している。)

という訳で、後付けしてみると要因が結構見えてきたのではないか。

(いや、これでバズれたら苦労しないよね。言いたい気持ちはわかるよ。この特徴を持ったボカロ曲なんて無数にあるからね。運もあるよ)

②チチンプイプイ

チチンプイプイ / flower 

http://nico.ms/sm36314738

これはそもそも「TikTokの曲」。

本家動画や投稿者(真島ゆろ氏)のフォロワーが伸びてTikTokでバズるのって実は珍しく、あれほど使われてるのに本家がTikTokにあげていない、本家動画がTikTokにおいて全く話題になっていないということもざらだ。
その点でこの楽曲は時系列的に先駆者的な存在であり(2019年9月投稿)、ある種のロールモデルになってるように思う。

というわけで先述のパターンが早速当てはまらない例外だが、ニコニコのスマホトップに載ったりまぁ当てはまらなくもないと思う。あくまでもTikTok先行というのは、繰り返すようにまだ珍しい。(ボカロ外だと前述の「寄り酔い」が近いかもしれない。)

グッバイ宣言が引きこもりというネガティブな単語を題材にしたなら、チチンプイプイは「社会不適合」だし、これに関しては「みんな」が主人公で一人称すら登場しない。今や珍しいPVに登場するflowerは、TikTokの元動画にて吹き出しで歌詞を語っている通り代弁者だ。

悩みを吐露するような、ある種の諦念を感じる歌詞が相まって悩みを語るようなものが多かったが、首を振るという単純な(そしてTikTokユーザーが好むようなキャッチーな)動きのフルバージョンになり、弾き語りに代表される音楽系の派生も増えたように思う。ちなみに派生ではその一つであるayaka.氏の歌唱した音源が使われることも多い。(公式に配信されている音源以外は歌ってみたでも全て「オリジナル楽曲」という表記になるのはどうかと思う。ニコニコのコンテンツツリー、YouTubeのContent IDに似た機能が実はあるのか?)


「ホロライブ」のおちゃめ機能が爆伸びしたのは記憶に新しいが、(これ自体相当古い楽曲なのが面白い)真似できる動きは好まれる傾向にありそうだ。

あと、チープな音作りも素朴さが出ていて好きだ。これは単なる好みだが、弾き語りカバーが出る所以としての「余白」に当たるのかなと思う。

続編と言えるような「でふぉるとなので、」もTikTokでバズってきている。
この楽曲がどう波及していくかは未知数だが、既に派生も出てきているので似たように話題になることもあるかもしれない。

(そう言えばVライバーの森中花咲さんが前述のグッバイ宣言と立て続けにカバーしてるのを見てると、どっちも黄色サムネなのに気づいた。さすがにこじつけだが、注意を引くのか)

③ポッピンキャンディ☆フィーバー!

ポッピンキャンディ☆フィーバー!/音街ウナ・鏡音リンより 

http://nico.ms/sm35880454 

ご存知ない方もいるかもしれないが、TikTok週間ランキングが創設されてから初めてランクインしたのはこの楽曲だ。

http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/86173/2

ちなみに年間ランキング邦楽20位にも入っている。グッバイ宣言はどこまで行くだろう

http://www.billboard-japan.com/special/detail/3068

パターンに当てはめると、キノシタ氏は投稿時から人気のPであり第1バズは比較的用意で、第2のバスが大きく音楽系コンテンツに比較的終止したという印象を覚える。

「チントンシャン」で刻みたくなるのは言うまでもないが、原曲PVにその振り付けは存在しない。(代わりに耳が動く帽子可愛すぎて私は死亡)

というかニコニコなどにあがってる多くの動画の振り付けでも刻んでない。去年の1/8時点で「mizuki」氏がやっているのを確認したが誰の振り付けなのだろうか?そこが分からないのかいいのか悪いのか……

このような擬音を使った歌詞はキノシタ氏の十八番であり、振り付けと上手くマッチした印象だ。
ところで、BメロからTikTokで使われるというのはかなり珍しく感じて興味深い。

こちらについてもBPMが早く、リズムをとっているだけでもそこそこ様になるためノリの良さと可愛らしさはTikTokに向いていると言えるだろう。

(「ポジティブ(略)」にYouTubeの再生回数において追いつきそうでかなり驚いている。)

なお推し曲はテルミーアンサーとスターリースカイ☆パレードですよろしくお願いします

④回る空うさぎ

回る空うさぎ / feat.初音ミク MV 

http://nico.ms/sm30038738

正直これは死ぬほど驚いた。
Orangestarさんの楽曲はそりゃもう素晴らしいし、アスノヨゾラ哨戒班等も多くの動画に使われていたが、ここに来てバズるというのがTikTokの面白さかつよく分からないところだ。ちなみにバイラルチャートにもくい込んで来た。

Orangestarさんの楽曲はもちろんどれも人気だが、この時期の楽曲でいうと今まで「バズった」と言えるのはもちろんDAYBREAK FRONTLINEの方であろう。

回る空うさぎは比較するとマイナーな楽曲であり、第1バズについてはなんとも言えない。

第2バズは、歌ってみたや弾き語り動画が大量に出たことだろうか。(留意すべきこととして、この楽曲はダズビー氏の歌唱版の方が多く使用されている。)
厳密にはMAD動画が複数個投稿され注目を集めたことがあると思う。

チチンプイプイと共通し、弾き語りに適したシンプルなアレンジは歌を得意とする人がチャレンジするのもわかる……?

いや、でも高い。
めちゃんこ高い。Orangestar氏が「霽れを待つ」を「人間が歌える曲」と称したことの裏返しに、基本的に歌えない。あの優里氏も動画内で語っていた。

https://youtu.be/7MEo4u_bTek

という訳で、平凡なことを言うと「歌ってみたいと思わせるような挑戦的な曲」ということになる。この類のレビューはボカロ系の批評で5万と見た。
弾き語りであればキー変更も用意だし、温かみのある楽曲は

弾き語りは、なんだかんだ香水しかり魔法の絨毯しかり求められるものだし、ピアノのシンプルな編曲はそれをそそる。

あと、面白いことにグッバイ宣言以上に短い。(これは前のnoteの脱線した部分を参照。)曲の構成がかなり大胆で、TikTokで使われるサビの開放感は長いタメがあってこそなのでぜひフルで聴いてもらいたい。


本家が1番なんですよね!(手のひら返し)

⑤メンヘラじゃないもん!

【MV】メンヘラじゃないもん!/勇魚feat.初音ミク&音街ウナ 

http://nico.ms/sm37983849 

今までのものに比べると小規模なバズではあるが、「ライクアゾンビ」あたりから好きだった勇魚氏の大ヒット曲なので……。
あとこれを書く前後にまふまふさんと天月さんの歌ってみたが来て印象的でした(関係ないしまふまふ氏はあまりTikTokにあげない)

をとは氏のPVがもう凄まじい。これが第1バズ。
氏自身、絵師としてのならず有名な活動者であるが相乗効果で凄い作品に仕上がっている(語彙力)。

「引きこもり」「社会不適合」に「メンヘラ」を並べるのは、歌詞の主人公がそうでないと否定しているのではばかられるが、多分一種のメンヘラなので(?)主軸に置くのはかなりチャレンジングに感じる。

かなり今らしさを意識している、狙いが当たった楽曲と言えるのではないだろうか。

それに対して楽曲自体はえげつない展開とハードなサウンドをやるのが非常に面白い。これで単に可愛いと毒味が足りないように思う。

ケーススタディ終わり。


という訳で、ここまで言うとかなり恥ずかしいのですが、狙った曲をもうすぐ出すのでうんともすんともなら嘲笑ってください。
TikTokでとは言わないので伸びてください……協力してとは言いません……(言う)

DECO*27さんもインタビューで仰ってたようにTikTokからの流入でボカロの再生数はもう一段階伸びるでしょうし、グッバイ宣言がそれを体現しています。

結論としては、毛嫌いしなくてもいいんじゃないってことです。


ありがとうございました。


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