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グイグイ来る男の子も悪くない?


私が学校で

保乃と話していたとき

それは突然やってきた。



「ひかる!ひかる!ひかるひかるひかる!!!」


私の名前を連呼してる人は

私の友達、天だ。




天は何故か
私の好きな人を探すと言って
毎日、校内を走り回っている。




『今日こそ、私がひかるの運命の相手、探すからっ!』


最後に聞いた一言だと思う。



私に好きな人なんて、つくるつもりは全く無いけどね


だからあまり興味がない


そのうち飽きるだろうと思い放置している




「ひかるの運命の相手見つけたよっ!!」



…放置しないで、縛りつければよかった方がよかった。




天は廊下で私を引きずりながら走る



猫のように、首根っこをつかまないでほしい。




「どこいったぁ〜ひかるの運命の相手。」



…天は、もう運命の相手やらをロックオンしているようだ。



「あ。いた。」



天が指さしたのは背の高い男の人だった。


私が見上げないといけないほどだった。


…私が小さいのかもしれないけど。



そして、背の次に目が行くのが顔だった。


…美形の部類に入ると思う。


女の人なら振り向きそうな顔だ。





そして、その人は
私達のほうに気付いたのか
にっこりと微笑んだ。


「この人が、ひかるの運命の相手!!」



「いや、無理。」



その男の人は私達の方に近付いてきた。




「えーと、ひかるちゃん?面白そうだし、俺と付き合わない?」


そこからは、早かった。



私が断ろうとすると、すかさず天が入ってきて断れなかった。


男の人も、私の断ろうとしようとしてることが分かったのか、どんどんと天と話を進めてしまう。



「ひかるちゃん、ケータイ貸して?」


「知らない人に貸さないようにしてるんで、嫌です。」



すると、天が素早い手つきで私のポケットに手を突っ込んだ。



無理矢理にでもスマホを取るつもりのようなので、私は天の手を全力で押さえた。



「ひかる?その手を離して?じゃないと…」

「…?」

天は、ニヤっとしてから、もう片方の手で、脇をくすぐってきた。


「ひゃっ!」


恥ずかしい悲鳴をあげてしまった。


廊下を歩くほとんど人は、私の方を見ている。



顔がかぁっと赤くなる。

ケータイを盗られてしまったし、やめてほしいところだ。


しばらくすると、ケータイを返された。



画面には、【運命の相手〇〇】とあった。



「じゃあ、俺は行くね?ひかるちゃん、LINEよろしく!」



誰が連絡なんてするもんか。

なんだか悔しいからメールなんてしない。



「あ、あとひかるちゃん。顔、赤いよ?」


クスクスと笑う彼。



…絶対にメールなんてしないっ!!

LINE

****


昨日は、連絡なんかせずに無視してやった。


〇〇?って人も、関わりが無ければ諦めるだろう。





次の日


ガラッ


強く教室の扉が開く音がした。


先生だろうか。


「ひかるちゃん、みっーけ。」


「げ」


昨日の〇〇が扉の前にいた。



〇〇は、私に歩みよってきた。


「ひかるちゃん?なんで返事かえしてくれなかったの?」


「必要性を感じなかったので。」


〇〇の笑顔がひきつった。


「じゃあ、必要性をあげようか?」


名案とばかりに、ニコッと笑う〇〇。


全力で嫌な予感がした。

少しだけ後退りをする。


だけど、腰に手をまわされてて、下がれなかった。


「…離してくれます?」


「どうしよっかなー。」


小さく笑って私を引き寄せる〇〇。


「わっ」


か、顔が近い…!!



どんどん〇〇の顔が迫ってくる。


「ちょっ……やめっ…!」



私は、つい目をつぶってしまった。





だけど、私が予想してた感触はこない。

恐る恐る目を開けた。



そこには、悪い笑顔を浮かべた〇〇がいた。



「あっれー?ひかるちゃん?目なんかつぶってどうしたのー?」



「うー…」

期待した私がバカだった。





「でっもなー…返事返してくれないんだったら、キスしちゃおうかなー?」


ピロン

LINE の着信音がなる。

「ん?」



〇〇はきょとんとした顔で、自分のケータイを確かめた。




「なっ…」


〇〇がさっきの私の姿の画像を送信していた。

目をつぶってまるでキスを待っているような画像を…


キスされるくらいなら、メールしたほうがましだ。



なので、ケータイを後ろにまわした手でいじって、
目の前の〇〇に返信した。



「そんなに嫌がらなくてもいいのに…」



ぶつぶつ呟く〇〇。



「ま、ありがとね?」





すると、意地悪な顔をして、

〇〇はわざとリップ音をたてて、私の頬にキスをした。



「…!?」



顔に熱が集まる。


油断してたから、尚更熱が集まる。



「じゃーね?ひかるちゃん。」




クスクスと意地悪に笑いながら教室から出る〇〇。



クラスの人からの視線に気付いてしまった私はさらに赤くなってしまった。





帰り



ピロン



帰りの支度をしてると、私のケータイがなる。



ケータイの画面には、

『運命の相手〇〇』


『今日、一緒に帰ろ。校門で待ち合わせでいい?』

と書いてあった。



私は当然、

『嫌です』

と返した。



そして、私は〇〇がこの教室に来ることを想定して、誰よりも早く教室から出た。





若干駆け足で、階段を駆けおりると、案の定、足を引っかけてしまった。


「きゃっ…」


体が傾き、小さく悲鳴をあげる。


だけど、そのまま落ちていくんじゃなくて、傾いたまま止まった。



「ひかるちゃん?なんで、そんなに急いでるの?」



その声に反応して、階段から落ちそうになったときよりびっくりしてしまった。


「…ありがとうございます?」



「何故に疑問文。」


〇〇は、呆れたように笑った。



「あ、そうだ。一緒に帰ろうか。」


ニコッと笑って言う〇〇。

外見だけみれば、誰もが惚れてしまうかもしれないが、
生憎、私は別だ。


「…嫌です。」



だけど、〇〇は、私の言葉を無視して、私の手を強引に握り歩きだした。


…私は、惚れませんから。



帰り道をいつもより速く歩く。


「ひかるちゃん、ちょっと待ってよー」



小走りで走ってくる〇〇。

…どこまで着いてくるんだか…。



「私、急いでるんで失礼します。」


そんな急ぐ予定はないけど。



「そーなの?じゃあ…」



素直に信じてくれれば助かるけど…



「俺も急ぐね」




いつの間に私の家の前に着いていた。



「ここなので、さよなら。」



「堅苦しいなぁ…ま、じゃーね!」



そう言うと、〇〇は、私達が歩いてきた道を歩いていった。


わざわざ私の家まで送んなくてもいいのに…




家で、いつものようにグダグダしてるとケータイが鳴った。

ピロン


机の上で振動している。


私は手探りでケータイをとると、
そこには、

【運命の相手〇〇】

とあった。



何気なく、〇〇のメールを
開けると、

『明日、遊ぼ。』

そんな事が書いてあった。


すかさず、

『嫌です』

と返信したが、


『了解!じゃあ明日、10時頃ひかるちゃんの家行く。』



話を聞いてたのだろうか。


どうせ、来ないだろう。


そう結論を出して私は、眠ることにした。




休日


ピンポーン


私が家で、誰かと遊ぼうか…と考えてたとき、突然それはやって来た。


ピンポーン ピンポーン


お母さん、もう出掛けたのか…

やっぱ、私が出るしかないよね…


ピンポーン ピンポーンピンポーンピンポーン


「今、行きま…ピンポーピンポピンピピピピピンポーン…」


ガチャ


ドアを開けると、近所迷惑なチャイムは止んだ。





「おっはよー!」


そういったのは、〇〇だった。


〇〇が着てた服は、昨日みたいに制服ではなく、白の軽めな私服だった。


顔が整ってるせいか、その軽めな服が何故かかっこよくみえた。




「驚いた?」


ニコッと笑って尋ねる〇〇。


「そのしつこさには驚きましたね」


〇〇の笑顔が一瞬で固まった。



とりあえず、私は扉を閉めようとドアノブに手をかけて扉を引いた。



あと、もうちょっとで閉まる所でガッとドアに手がかけられた。


「ひかるちゃん?なんで閉めようとしてるのかな??」


「…。」



今度こそ閉めようとしたとき、ある言葉が聞こえた。



「桜餅があるのにねぇ?」



目の前に置かれた桜餅。


そして横には〇〇。


「どこで知ったんですか…」


階段を上りながら〇〇に問いかける。


「ん?桜餅のこと?天ちゃんが教えてくれたんだよ。」



あいつか…!私の好物を教えたのは…!!


「桜餅が好きなんだってねぇ?かっわいー。」


後ろをチラっと見るとニヤニヤしてる〇〇。


「…別に好きじゃないです。」


少しイラついて強がってみた。


「…へぇ。じゃあ食べちゃおうかなぁ…。」


桜餅をひとつとって、食べようとする〇〇。


「…」


今更、強がりだったとは言えなくて、
そっぽを向く私。


「ひかるちゃん」


「…なんですか?」


少し睨むように振り返る。

「はい、あーん。」


そう言われて、口に桜餅を入れられた。

「んまぁっ」


「これからどうする?」


「どうするも何も…」


「じゃぁ勝手に入っちゃおうかな」


「ちょっ」


「ひかるちゃんなら部屋汚くても大丈夫だよ」



そういう問題じゃないんだけどなぁ


「それじゃ、桜餅の買った店でも行く?」


「いきたい!!」

答えてしまった。

後悔した。

でも…気になる…!


「それじゃ行こ〜」


「な、待ってぇ〜化粧も何もしてない!」


「大丈夫だよ!そのままでも可愛いから」


「かぁ//」


こんなやつに照れるとは…!


「それじゃレッツゴー!」




デート後日のある朝



「今、なんて言った?笑」



聞き返すと、ひかるは嫌そうな顔をした。



「ごめんごめん笑」

〇〇はニコッと笑う。



謝ると、さらにひかるは不機嫌になる。



「べつに!!」



その姿は小学生そのもので、さらに笑っちゃったし、声も出てしまった。



「あははっ」



ニヤニヤとした目でみてやると、「ふん!」とそっぽを向かれてしまった。





「お前がでかすぎるから、るんの声が聞こえないの!」



「ひかるがちびすぎるんじゃないの~?」



ケラケラ笑ってからかうと、ムッとしたようにほっぺたを膨らましていた。



「……あー、はいはい。〇〇」


まったく、ひどいんだから。



「あーぁ、でっかい〇〇は、態度まででっかいんだなぁ」


ひかるの声は廊下まで響き渡る。



「ちっちゃいひかるは、器も小さいんだねーっ!」



叫び返すと、ひかるはうそ泣きをしながら、走って教室を出ていった。








ひかるが帰ってきた所を、天がひかるに駆け寄る。





昨日の夜にやった英語の課題を、机の中の引き出しにいれようと手に取ったときだ。



『ひかる、どうなの?』



……いきなりそんなことを言われて、思わず、課題を床に落とした。



――――バサッ



派手な音がして、慌てて拾う。





『図星?』

天はニヤニヤした顔で私の方を見てくる。



手から、するりとプリントが落ちる。



こんな紙切れ1枚で、動揺が伝わっちゃうなんて、我ながら恥ずかしい。



『ハハ、ひかる、わかりやす〜い』




『ひかる、可愛いい〜』



まさか、天に言われるなんて……と、顔が爆発する勢いで照れた。



『ハハハッ!!やっぱり、ひかるって、面白いな』






ある日の昼休み




「ひかるーっ!」



「んー」




昼休み、天の大きな声がして、顔をあげる。





「昼飯食べよ〜」



「いいよ」


ひょこり


〇〇が顔を出す。


「ひかるちゃ〜ん、一緒に食べよ〜」


「嫌だ」


「あっ!天今日学食だった」



「あっ!〇〇頑張ってね」




「?」



天はどこかに行ってしまった。




「ひかる、どこで食べる?」

〇〇はニッコと笑う



「えっと……中庭?」


「ついて行こー」




中庭にて



「中庭……って、いっぱいお花が植えてあるよね」


「花好きなの?」



「好きだよ?」



「ふーん」



あれ、素っ気ない返事。


いつもの〇〇とは違う返事




「……どうしたの?」



なんか、変な感じ。



「…いや、今からお前に告白するから、なんか…恥ずかしくって」



「え?」




「えっと……〇〇、今、なんていった……?」




「あのさ、ひかる、付き合って」



まだ足元にあるお弁当箱が、私の心のように、ぼんやりしてみえた。



ちょっと、もやもやする。



私、〇〇が好き。



でもね。“付き合う”って素直に返せない。



「まだ、無理。付き合えない」




「そっか。じゃあ、昼飯食おう」





そそくさとした動きと言葉が、私の心臓の音を加速させる。



ドクドクとした痛みが、全身を駆けめぐる。



「違うの……っ!」



ひかるが両手を使って、ぐっと〇〇を抱きしめる。



「……え?」



困惑する〇〇をさらにぎゅっと、抱きしめる。



「私、〇〇のこと、好き」



「……っ!?」



告白が思いのほか恥ずかしくって、思わずそっぽを向いてしまいそうになる。



だけど、今、そんなことしたら……ちゃんと言えない。



「……だって……っ!だって、すきとか……」



涙が出てきて、声が震える。



「すきとか……」



「ねぇ…抱きしめていい?…」



その言葉から、パッと離す。



「……ん」



〇〇が腕を伸ばし、私の腰あたりに手がまわる。



「……好き」



〇〇の呟きに、



「聞こえなかったから、もう1回言って?」



と答える。



「絶対、嘘だ」



「あはは、バレた?聞きたかっただけ」



愛しさをこめて、ひかるを抱きしめた。





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