「本当にありがとう」なんて言うな

ライブ動画などを見ているとたまに出くわす。
「本当にありがとう」
「本当にどうもありがとう」
 
ん?なぬ??
 
言いたい気持ちはわかるが、
この表現、違和感を感ぜざるを得ない。
 
 
本当に=veryとかsoって意味で
「ありがとう」を強調したいだけなんだろう。
 
知っている。そんなことは知っている。
 
でも「本当」の反対は「嘘」でもある。
 
 
つまり「一応言っておくか的なありがとう」の時もあるけど、
今回は違うんだよって意味もあるんじゃなかろうかと。
 
もちろん来てくれてありがとう。
聞いてくれてありがとう。
グッズ買ってくれてありがとう。
 
そういうありがとうは
実は心がこもってない時もあって、
立場的に言っているだけの時もあって、
嘘のありがとうの時もあって。
 
 
だけど今回は違うんだよと。
心の底から感動してるんだよと。
本当にありがとうを伝えたいんだよと。
 
だから「本当にありがとう」となるわけだと。
 
いつもと違って、めちゃくちゃ嬉しいから
「本当にどうもありがとう」になるのだと。
 
 
そう考えると「本当に」が付かない
「どうもありがとう」だけのライブに来ている客が
不憫で不憫で仕方がない。
 
そのライブの客だって「本当に」が付くライブの客と
同じぐらい、いや、それ以上に
そのミュージシャン(アーティスト)のことが好きかもしれない。
 
「本当に」が付くライブの客と遜色なく、
いや、それ以上に盛り上がっていたかもしれない。
 
だのに「本当に」が付かない
「どうもありがとう」しか言ってもらえない。
 
不憫だ。不憫だ。かわいそうだ。
 
 
きっと言っている側はそんなに意識してないだろう。
ただただ感謝を伝えたいだけなのだろう。 
 
しかし俺は気になって仕方ないのである。
 
「本当にありがとう」
「本当にどうもありがとう」
 
その言葉を聞くたびに我に返ってしまうのである。