新たな生理学的ストレス評価法

「動物福祉学」(第4節)より

生理学的ストレス評価の指標としてよく使用されているのは血中グルココルチコイド(コルチゾール)であるが、採血は侵襲的であり、それ自体がコルチゾール値の上昇につながる可能性を考慮する必要がある。
近年、コルチゾールが糞便や尿、唾液、乳汁、被毛などに移行することが明らかになっており、痛みや苦痛を伴わずに採取でき、ストレス評価への検討が注目されている。
一般的に血中コルチゾール濃度から慢性ストレスを捉えることは難しいとされるが、糞便や尿中、乳汁中におけるコルチゾールの排泄は数時間~数日にわたって蓄積されるため、1日単位での評価に使用できるとされている。さらに、被毛では産生される数か月間にもおよぶ長時間のコルチゾールが蓄積されるため、長期にわたるストレスの判定あるいは慢性的ストレスの評価にも使用できる。