感情を言葉にしようとすると、いつも私の主観が入ってしまう。私の置かれている状況。それに至った経緯。すべて説明しなくては、伝わらない、とどこかで思っているのだろう。

夜の闇と静けさは、昼間、太陽に照らされて誰とも知らない人々と競っているような錯覚を忘れさせてくれる。

夜だけが、私が私であることを、そして私が誰とも競うことなく、ただそのままで、ここに在ることを認めてくれる。

だから私は、夜が好きだ。

私の母は朝型人間で、それこそが正しい姿だと思っている。そうすることで、一日を晴れやかにスタートし、誰よりも早く一日のタスクを終えることができ、心に余裕を持てるのだと。

事実、それは正しいのだろう。彼女には、夜遅くまで起きていることにメリットなどない、と断言出来てしまう、確固たる根拠があるのだ。

ただ、私にとってはそうではない、というただそれだけのことで。

夜は、特別なのだ。長いようで短く、闇は静かで心地よい。皆が寝静まっていることが、焦る気持ちを抑え、安心感を与えてくれる。

夜は、自分が自分らしく居られる唯一の時間。

もしかすると、私は夜を大人の時間だと思っているのかもしれない。子供と大人の狭間に揺れる今、私にとっては大人でありたいという思いが勝ってしまっている。子供に戻れないのなら、この中途半端な自分などやめて早く大人に、自立した人間になりたいと。

それこそが子供の思考だ、と。嗤うだろうか。

それでいい。私は今を生きている。今を生きたい。自分と向き合いたい。否定され、何度侮蔑の言葉を言われようが、私は私だ。私の人生を、私が生きたいように生きている、ただそれだけのこと。

夜は、リセットする時間だ。たとえ昼になって全てを忘れていたとしても、心を元の状態に戻すことのできるこの時間を、空間を、手放すことはできない。