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あなたの風になって 全てを包んであげたい

結婚式の定番曲、ゴスペラーズの『永遠に』って、別れの曲だということを、知ってますか?

よくよく歌詩(歌詞)(安岡さんの作詞は歌詩と表記)を読むと、愛しいけれどもう一緒にいられない、だからせめて風になって包みたい、一緒にいられないからこそ永遠なのだ、というのが伝わってきます。

とはいえ。『永遠に』というタイトルや印象的なフレーズ、美しい曲で祝福の時を彩りたいと。願う人の気持ちによって、この曲が永く結婚式の定番であることこそが、わたしは尊いと思います。

さて、何のはなしをしてるのでしょう。

事件は14日に起こりました。

大好きな川島如恵留くんのブログ「のえまる」の、定期更新の日。

(ここから、8052文字中、冒頭の6文字、8名のうちの1名の話しかしません。ご興味のない方はブラウザバックを…)(あれ…このフレーズどこかで…)

自宅待機を余儀なくされていた如恵留くんが、その期間をインプットに充てていたことが書かれていました。たくさんの小説を読んだそうです。そんな風に、マイナスに思えるような時間を有効活用し、やがてエンターテイメントで誰かを明るく導くベースにしていくだろう如恵留くんのことを、そのアイドルとしてのプライドを、眩しく思いながら、ブログを読んでいました。

そしてわたしは、その文字を見つけます。

「辻村深月さん」

そう、あの、辻村深月さんです。

わたしの敬愛する、辻村深月さんです。

読んだのだそうです。如恵留くんが尊敬する先輩であり作家の方、愛してやまないと評する作家さんなど並んで、その期間に読んだ8名(以上)の作家の、3番目に、名前が挙げられていました。

うそでしょ、、、

うそでしょ、、、

うそ、やだ、うれしい、、、

どうしよう、すごいうれしい、、、

どうしよう、どうしよう、うれしい、、、

それからずっと、その画面ばかり眺めていました。実は、まだ眺めています。ボーッと眺めては、信じられない気持ちになって、夢かもしれないとまた視線を戻してはニヤニヤして。そんなことを飽きずに繰り返しています。だって嬉しくて。

それまでも知っていました、以前に『かがみの孤城』を読んだことを。そしておそらく、『冷たい校舎の時は止まる』も、読んでいることを。

だけど、この、何をするかを選びたい時期に、きっとその何かを意味のあるものにしたいだろう時期に。辻村深月さんの作品をまた手に取ってくれた。それがとても嬉しかった。そして、3番目に名前を挙げてくれたということは、心に残ってくれたのかな、そうだといいな。

何を読んだか分かりません。おもしろかったのか、どう感じたのか、どこが印象的だったか、引っかかるフレーズがあったのか、読み終わって何が残ったのか、あるいは何も残らなかったのか、他の作品も読みたいと思ったのか。できれば切実に知りたいけど、知らなくても、如恵留くんの心に重なって、表に現れても現れなくても芸能という心の土を耕してくれたらとても嬉しいなと思う。できればタイトルくらいは知りたいけれど。どうだろう?知らない方が全作を味わい尽くせるかな?想像する楽しみがあるのかな?やっぱり、知りたいこと、滲み出ちゃってるかな?

友達ランキングNo.1の虚妄を、日々繰り広げている身としては。同じ本を好きと言えることは、もちろん嬉しい。だけど、もっと嬉しいことがあることを知りました。

それは、わたしが辻村さんの本から受け取るのと同じくらいの温かさを、如恵留くんが、同じ本から受け取る可能性。

本の読み方は自由です。本から何を受け取るかも自由。その感想が幅広いことは、本それ自体の懐の深さであり、人の経験や感性の豊かさであると思う。

それが前提な上で。わたしはそれでも嬉しかった。

誰かに見合う自分になりたいと願い、日常の小さな決断をしていくこと。それでもファンという存在は、表舞台に立つ人の覚悟の前では、守られるものでしかないこと。学ぶことそれ自体や「取り残さない」とは何なのかを考えさせてくれたり、具体的にたくさんのことを教えてくれたりするけど、それが他でもない如恵留くんから教えてもらうことが嬉しいこと。あなたのためではなく、あなたが悲しいとわたしが悲しい、それが嫌なこと。時間をかけて、どんな花が咲くか分からない種に水を与えるのが愛情深さだということ。いただいた全てを覚えていたいし、それを自分の日常に活かしていくことが愛の定義だと信じていること。自分に自信がないと笑う姿がわたしには眩しかったこと。同じニュアンスで言葉が分かるように努力したいと願うこと。目に見える範囲以外を想像することが豊かさであること。如恵留くんとの出会いは、たくさんの中のひとつではなく、ただひとつ巡り合った自分だけの宝物だということ。経験はいずれ自分自身を助けてくれること。エンターテイメントは誰の前にも平等に眩しい存在になり得ること。たぶん、ちゃんと考えれば、他にも沢山。

https://twitter.com/noelheightsofoz/status/1393611558958166016?s=21

如恵留くんに伝えたいことが、辻村深月さんの作品には溢れていて。(わたし調べ)

それを直接伝えられたらどんなにいいかと思うけど、そうもいかないし、わたしの言葉は平坦で重すぎる。けれど、辻村さんの作品ならば、しあわせな温かさだけがふんわり届くと思う。焼きたてのパンの匂いみたいな。そう気付いたとき、天にものぼる気持ちがした。

如恵留くんと辻村深月さんの1対1の時間にわたしは存在しないから、そう感じるのも願うのも、変な話なんだけど。でも。

わたしが実際に、君の友達ランキングでNo. 1になれたとしたら、思ってるけど上手く伝えられない温かさを、間接的に伝えたいという理由で、薦めると思うんですよね、辻村深月さんの本を。むしろ、本に乗せて、伝えたい。あなたのことが大好きだと。

この感じ、なんだろう…と心に浮かんだのが、「あなたの風になって 全てを包んであげたい」というフレーズでした。風で構わない。形のない朧げな温かさを、けれど何度も。本棚に手を伸ばせば何度も感じられるくらいの気軽さで、気紛れに思い出すくらいにいつでも。辻村深月さんの著作の温かさや強さが、如恵留くんを風のように守ってくれたら、そういう存在のひとつになったら、そんなに嬉しいことはないなと思った。一方的だし、わたしは何もできないのにお門違いだし、そもそも烏滸がましいんだけど、それでも。

如恵留くんが愛してやまないという、町田そのこさんの作品、尊敬する先輩であり作家の加藤シゲアキさんの『オルタネート』が、わたしに何を残すのか。その心の城におじゃまさせてもらえることを、とてもワクワクしています。どれを読んだか分からない故の、全辻村作品再読期間が終わったら、如恵留くんの風に、包まれに行かせてください。

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