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コンクリートの空気量

コンクリートに含まれる空気

どんなに密に締固められたコンクリートであっても
コンクリート内には空気が取り込まれています。

この空気は生コンクリートを練混ぜる際に取り込まれるものです。

一般のコンクリートの体積に占める空気の割合は3%~6%程度です。
AE剤やAE減水剤などの混和剤を使用することでコンクリート内に空気を含ませる、連行する量を増やすことができます。

出典:コンクリートの圧縮強度に対する骨材の影響について,公益社団法人 日本コンクリート工学会

空気量が増えるとどうなるのか

コンクリート内の空気量が1%増えるごとに材齢28日強度は4%~6%程度低下します。
また、継続的に応力がかかることで生じる変形、クリープの変位量も大きくなります。
コンクリート内が空気でスカスカになるので当然ですね。

一方で空気量が増えることで柔らかさの指標であるスランプが増え、打設のやりやすさであるワーカビリティーが向上します。

耐凍害性の向上

また空気量を増やすとコンクリートの温度が氷点下まで低下することによって生じる凍害に対する抵抗性を高めることもできます。

凍害はコンクリート内部の水が凍結と融解を繰り返すことによって発生します。
水が氷となる際に体積膨張することで生じる水圧の繰り返し応力によってコンクリートを脆弱化させるのです。
このとき微細な気泡があれば水圧に押された水が気泡に逃げ込むことができ、コンクリートへの悪影響が軽減されるのです。

図:気泡があることによる凍害の軽減

耐凍害性をはかる上では気泡間の距離である気泡間隔係数が重要です。
気泡の間隔が短ければ短いほど水が自由に移動しやすくなるため凍害による悪影響を緩和できるのです。

コンクリートの種類と空気量

コンクリートの種類に応じて空気量の許容値が定められています。
(例:普通コンクリート→4.5%)

空気量の許容差はいずれの種類でも±1.5%です。
このコンクリートのJISなどの規定では許容差を変えることはできないことを覚えておきましょう。

2種類の空気-エントレインドエアとエントラップドエア

コンクリート中の空気は2種類あります。
ひとつはエントレインドエア(連行空気)というものです。
この気泡はきわめて微小な球形をしており、粒径は10~200μとなっています。

もうひとつはエントラップドエア(巻き込み空気)というものです。
これは上記のエントレインドエアよりも気泡が大きく、形もいびつなものです。

コンクリートにとって耐凍害性を向上させてくれるのは前者のエントレインドエアです。
この有益な気泡を増やすためにAE剤やAE減水剤などの混和剤を使用します。

参考:生コンクリートの品質 | 生コンクリートのご紹介 | ZENNAMA

まとめ

今回はコンクリートに含まれる空気とその役割について簡単にまとめました。
空気量に関する問題はコンクリート技士や主任技士で毎年必ずといっていいほど出題されるのでしっかり勉強しておきたいと思います。

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