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夏だ!海だ!海洋コンクリートだ!

夏ですね!

夏といえば海!

うみ!

海といえば!

そう!

岸壁、防波堤、消波ブロック!

ファイル:Osenkorogashi01.jpg - Wikipedia(CC BY 3.0)

海岸のいたるところにコンクリート構造物がありますね。

海に近いところにある海洋コンクリートは海水に含まれる塩化ナトリウム・塩化マグネシウム・硫酸マグネシウムなどによって劣化が生じます。

海水の成分で劣化するコンクリート

塩化ナトリウムはコンクリート中の鋼材の不動態皮膜を破壊することによって鉄筋の腐食を促進しコンクリートを劣化させます。
塩化マグネシウムはコンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、水溶性の塩化カルシウムを形成することで組織を多孔質化します。スカスカになるんですね。
硫酸マグネシウムは水酸化カルシウムと反応して水酸化マグネシウムと石膏を形成します。特に石膏はセメントの成分であるアルミネートと反応してエトリンガイトという膨張性の物質を形成します。膨張によってひび割れが発生したり組織が脆弱になったりします。

(※長いので読み飛ばしてもらって大丈夫です)

海水の作用する範囲

コンクリート標準示方書やJASS5では海水による影響について海水の影響の程度によって区分されています。

海水による作用

このうち飛沫帯干満帯は海水がかかったりかからなかったりするため、海水の乾燥・湿潤の繰り返しや波と砂礫による摩耗によって特に海水による劣化が著しくなります。

海洋コンクリートの基準値

海洋コンクリートが受ける海水の作用に対抗するために
製造するにあたっては通常よりも厳しい基準が定められています。

  • 空気量

表:海洋コンクリートの空気量の基準値(%)
(コンクリート標準示方書・施工編)

海水に含まれる塩化ナトリウムは凍害を促進させます
凍害を抑制するためにはコンクリートの単位容積に占める空気量の割合を増やさなければいけません。
そのため、モルタル分の多い粗骨材が20か25mmのコンクリートでは特に空気量を多くするように定められているのです。

まあ、その分強度が低下するんですけどね

コンクリート内の空気量が1%増えるごとに材齢28日強度は4%~6%程度低下します。

参考:コンクリートの空気量|たいらのどか|note
  • 最大水セメント比

空気量の基準値を増やすことで強度と耐久性が低下します。
そのため最低限の強度と耐久性を確保するため通常に比べてセメント質量に対する水質量の割合、水セメント比を小さくしています

表:耐久性から定まるコンクリートの最大水セメント比(%)
(コンクリート標準示方書・施工編)
  • 最小単位セメント量

一般的なコンクリートの最小単位セメント量は270kg/cm3です。
しかし、海水の作用を受ける場合セメントが少ないと耐久性が低下するためこれよりも高い最小単位セメント量が設定されています。

表:耐久性から定まるコンクリートの最小の単位セメント量(kg/cm3)
(コンクリート標準示方書・施工編)

ほかにも

この他に直接海水に当ててはならない保護期間を材齢5日以上設ける必要があったり、最小かぶり厚さを大きくしたり、打継目の位置を飛沫帯と干満帯から60cm離す必要があるなどいろいろな制限があります。

塩害を防ぐため鉄筋には防錆のためエポキシ樹脂塗装を施すこともあるのです。

まとめ

今日は海の日ということで海にまつわる海洋コンクリートについて簡単にまとめました。
海岸は海水や波による衝撃など様々な劣化因子がコンクリートを襲います。
それでも港湾インフラを支えてくれる海洋コンクリートが日本中にあります。

海の日こそ普段、気にすることもない岸壁や防波堤などのインフラに思いを馳せてみてはいかがでしょうか…!

おまけ

(^o^)v


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