医者になって少し学んだことー接待というもの③ー

さて、医師生活二年目は大学病院からほど近い総合病院で過ごすことになりました。そこでは上司が三人いて、トップ二人は仲が悪く、三番目はトップの腰巾着であったため、病院外で接待を受ける場合は、その二人、その二人+私、第二部長単独、第二部長+私、という組み合わせでした。トップ二人に密着しているMRさんは完全に固定されていて、いつもそれぞれ同じメンバーで食事会が行われていました。会話内容はというと、上司の同じ自慢話と、それをまるで初めて聞いたかのようなリアクションのMRさんのヨイショの繰り返しで、当時寝不足過ぎた自分には耐えがたい苦痛な時間でした。なので、数か月経過したころには、仲の良いナースにお願いして、急いで病棟に患者さんを診に来てほしいという内容で、指定時間にポケベル(当時は携帯電話はありませんでした)を鳴らしてもらい、脱出するようにしました。ただ、毎回つまらなさそうに過ごし、少しすると必ず呼び出されることにおかしいと気づかない筈もなく、ほどなくして接待に誘われることもなくなりました。で、暗黙のルールとして、それぞれの部長の担当患者さんの点滴や内服薬は絶対にその癒着相手のものを使用しないといけないのですが、ある日忙しすぎて皮内テスト不要の抗生物質を仲が悪い方に使用したのがバレてしまい(カルテみると簡単にバレるのですが)、激怒されました。通常の業務ではほとんど叱られたことが無かったので、いろんな意味で驚きましたが「俺の患者でこんな薬使うな!お前、業者とつるんでるんか!」とのことでしたが「いやいや、べったり癒着はあんたの方やん?」と思いながらも、「・・・・いえ、すいません、間違いました。」と謝罪しました。抗生剤の選択に関しては、勿論、医学的に間違った使用方法ではありませんでしたけど。


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