#むかいの愛し方【中】

パンサー向井さんを好きになった。
好きで好きでどうしようもないので、私がどういう経緯で向井さんを好きになっていったのか、語らせてほしい。

チョコプラ長田インスタライブ事件

2020年6月ごろ、話題になったドラマがあった。
テレビ朝日とabemaが共同制作した『M 〜愛すべき人がいて〜』だ。

私はこのドラマを見ていなかったのだが、千鳥のノブさんを始め、たくさんの芸人さんがこのドラマを大絶賛していたことは知っていた。

ある日、何気なくInstagramを見ていると、「向井慧さんがLIVEをはじめました」の通知。
見てみると、チョコプラ長田さんとのコラボライブだった。

長田さんといえば、フィルターを使いまくるインスタライブがおもしろいと何かと話題になっていた。
このときは「長田さんと向井さんて絡みあるんだ」くらいの感じの知識しかなく、とりあえずインスタライブを見てみることに。
長田さんと向井さんが『M 〜愛すべき人がいて〜』を、二人で見るという内容のインスタライブだった。

とにかく、そのインスタライブが面白かった。
途中で「これは一緒にドラマを見た方が面白いぞ」と気づいて、テレビをつけた。

ツッコミどころ満載なドラマも面白かったし、向井さんと長田さんのツッコミもめちゃくちゃ面白かった。
そして、仲良くアイスを食べながらゲラゲラ笑ってる向井さんと長田さんが、仲良しの男子中学生2人組みたいでとても可愛らしかった。
のちに長田さんと向井さんの関係性や、長田さんと向井さんのフィルターインスタライブコラボを見て、面白すぎるツッコミ、意外とゲラなとこ、少年のような無垢な表情に、私の向井さんに対する好感度はまたもう一段階上昇した。

コヨーテ号泣事件

9月、『ロンドンハーツ』で事件は起きた。
これは本当に『事件』だったと思う。

以前パンサー尾形さんへのドッキリで、『パンサーにもう1人加えてカルテットにしようと提案されるも、加わるもう1人がキャラ立ちまくりでコント内の自分の役側が奪われる』という内容のものがあった。
その際、尾形さんが新加入するメンバーに想定外に入れ込み、ネタバラシ後に本気でショックを受けるという流れがあった。

そんな中、パンサーに1人加えたカルテット『コヨーテ』を一夜限りで復活させようという企画が始まった。

コヨーテ復活に喜びを隠せない尾形さん。
普段のネタ合わせではほとんど意見を出さないのに、ここぞとばかりにアイデアを出し、ギャグをやり、とてもイキイキしていた。
そんな尾形さんの姿に「そんなに4人がいいのか」と、徐々に寂しさや憤りを露わにし始める菅さんと向井さん。
次第に口論になり、テレビで放送して大丈夫なのかというレベルのマジ喧嘩が繰り広げられた。

そして迎えた復活当日。
無事にネタをやり終えたあと、菅さんと向井さんが尾形さんに向けた手紙を書いてきたと告白した。
手紙を読み上げながら向井さんは、号泣した。
「昔は出待ちナンバーワン芸人と言われ、自分たちでも俺たちは面白いと言い切れなかった。でも、今なら言える。パンサーはなかなか面白い。」

出待ちナンバーワンと持て囃された過去。
共に歩んだ13年。
芸人として飛躍した2020年。

手紙には、向井さんのトリオへの、相方への、お笑いへの熱い愛が溢れ出していた。

そして、子供のように泣きじゃくるその姿は、「冷静でしっかり者のツッコミ」ではなく「パンサーの可愛い最年少メンバー」に変わっていた。

そして私は思い出した。
以前『水曜日のダウンタウン』の「コンビのネタ書いてない方、相方がどんなに面白くないネタを書いてきても文句言えない説」という検証で、全く面白くないネタを書いてきた菅さんとそれに気づかない尾形さんに怒りをむき出しにしていた姿に「向井さんてこんなお笑いに熱くて子供みたいに怒る人なんだ」と驚いたことを。
そして、ネタバラシ後に「よかった、才能って枯渇していくものなのかと思った。菅さんのネタじゃないんだね、よかった。」と、菅さんの才能を信じ、尊敬している様がとても可愛らしくて良いなぁと感じていたことを。

このコヨーテ号泣事件は、「パンサー」というトリオを改めて認識する最高の機会となった。
『パンサー』というドキュメンタリー映画があったとしたら、間違いなくこの一件は「起承転結」の「転」であるに違いない。

向井さんへの愛の種は、今か今かと芽吹く瞬間を待っていた。

続く。
(嘘でしょ。)

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