糞喰い

もんじゅうさんもんじゅうさん、どうかお導き下さい。俺は手に握ったもんじゅうにはい・いいえ・50音を委ねた。ピムピムとなにかお告げをしながらもんじゅう様がはねていった先は、カナリヤシードの乗った「はい」の印だ。善は急げ、俺は手に握っていたもんじゅうを硬貨に変えて、フルーツ屋さんに走った。


これがもんじゅうの姿だ。

とはいっても田舎だ。向かったのは激安ドラッグストアだった。ハイカラなお歳暮のフルーツ屋さんなど駅前にしか存在しない。駅に行くのには市電という文化遺産的公共機関に乗らなければならないため、ウンチンバコに150円も入れる義務が発生する。謎の制約から俺のプアーに緊縛されたマゾ金銭には限りがあるので、滅多なことでは駅前になどいけない。

駐車、俺はバック駐車ができない。どこでも前から突っ込む。トランスますらおだからではなく、実際問題ADHDだからである。免許を返納しろと何人にも責められた。俺も責めたその中の一人だ。

涼しい店頭からは独特の匂いがする。田舎のドラッグストアにはなんでもある。肉野菜、変なラーメン、吊るし菓子、酒、タバコ、電子マネー、ドラッグ。どこに建ってもスピークイージーなお店ばかりだ。プライドはないのか。貴様らは「支離滅裂だ」「病院に行け」と思っているだろうね。状況を説明する。

糞喰いが出たのである。貴様らは知らなかったそんなのとカカポ(守ろうね)みたいなかわいい反応を示すかもしれないが、糞とはUNCOと同義である。もんじゅうさんとDOGが犬の糞を喰ったのだ。それだけではない。

もんじゅうさんはクチバシに糞をつけて飛び回り戸建ての壁をUNCOまみれにしてしまった。まるで精神科閉鎖病棟の便どころのよう。これに対応するため、俺にはUNCOをさらに苦くする効果があることで有名なパイナップルを必要としたのだ。なぜパイナップルがUNCOを苦くするのかは知りません。

DOGは趣味で糞喰いをするのでもうどうしようもなく俺は管轄外だ!と諦めの境地にいるが、もんじゅうさんがなぜ糞喰い行為を行うかは自明だ。雑食に近い草食のもんじゅうさんにとって、シード食の毎日では動物性蛋白質が不足しているのである。DOGのUNCOはかなしいかなほとんどドッグフードなので、めざといもんじゅうのみなさんはすきあらば糞喰いと化すのだ。(DOGにも肉とか喰わしてやりたい。)普段は厳重に監視しているのだが、今回は失敗した。トホホ〜

さて、第一の問題である「糞喰って大丈夫なのかよルフィ〜」というウソップ諸君の懸念だが、これは専門医によれば大丈夫らしい。犬はカフェインもアルコールもエフェコデも硫化アリルも青酸カリも鉛も摂取しないからね。毒ウンコを体内に保有しているのはほとんどホモサピエンスだけのようだ。人間が毒に強すぎる。

それにつけてももんじゅうさんは糞喰いをしてもフワフワでかわいいのですごい。それはそれとしてばっちいのでいっぱい水浴びしてください。貴様らが同じことをしたら即死獄門なので気をつけなさい。

──今気づいた。パイナップル効果は味覚がプリミティブなもんじゅう各位にはあんまり意味がないんじゃないかって。きゃつらは苦くてもかまわず糞喰うんじゃないかって。買うべきは干した魚の小さな死骸、ドッキングニボシなんじゃないかって。

了。進路変更。鳥のガキ屋さんへ向かう。

そうやって僕は鋼鉄になって。


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