芦辺拓『乱歩殺人事件 悪霊ふたたび』
休筆明けの江戸川乱歩が探偵小説の本舞台「新青年」へ連載を開始した長編「悪霊」、読者の熱狂に迎えられた同作は、しかし、わずか連載三回で中絶してしまう。
奇妙な傷跡の残る死体と密室殺人、謎の紋様が残された紙片、降霊会での不可解な出来事、残された謎の解明に加え、なぜ「悪霊」が未完となったかという、江戸川乱歩を自身巡る謎に迫っていく。
自分が「悪霊」を読んだのは光文社文庫版全集の刊行時なので、20年近く前になる。なんとなく中絶作であることは知ってたように思うが、冒頭の「発表者