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くだらない時間の中に

毎日同じ日々を繰り返している。
家では自分なりのルーティーンを行なって、職場では事務としてひたすら書類処理を行なって。
友達もいないインドア派の一人暮らし。
家ではお喋りする相手がいないので、植物や家電に語りかける日々。
私の性格的に特に不満なく過ごしている。
変化が苦手なので同じことをする方が安心。
そんな事を繰り返していたら、新しい場所へ行ったり新しい事を始める時の緊張感は年々酷くなっているけれど。脳の活性が衰えて、高齢者になった頃にはボケてそうだな〜とも思うけれど。
まあ急には変えられないのでボチボチ脳へ刺激を与えていこうと思っている。

そんな私が先日久しぶりに喋れないほど大笑いした。

家族と食事にいった時のこと。
いつものことながらテンション高く食べたいものをとりあえず注文する母。
明らかに母が食べきれる量ではなく、いつものように一口食べて「あげるー」と押し付けられることが目に見えて、慌てて制止する父。
ということで注文ですったもんだしたので、料理がひとつまだきていないことになかなか気付かなかった。
店員さんに声をかけ、料理が届いたころにはみんな食べ終わっていて、母が熱々の料理をふーふーしながら食べるのをなんとはなしに眺めていた。
「あちっ」と首をすくめた母の姿、クリームが滑らかなドリアをみているとあることを思い出した。
「ジジのミルク粥みたいだね〜」
ジブリヲタクの私にとっては自然と思い浮かんだことだった。
魔女の宅急便で、風邪をひいたキキのためにおソノさんがミルク粥を作ってくれて、おこぼれをちょうだいしたジジが「熱いから気をつけな〜」とおソノさんに声をかけてもらったのに「あっひゅ」と舌を引っ込めるシーンだ。
魔女の宅急便が好きな母にはすぐ伝わって2人で笑いあったが、父は首をかしげた。母の食べ終わるのを待ちつつミルク粥の話を説明していたら、ふっとさらにあることを思い出した。
魔女の宅急便は1989年公開(ヲタクなのでもちろん覚えている)。
ってことはおソノさんが出産した子は…え、もう34歳!?ってキキいくつ??
冷静に考えると何がそんなにおかしかったのかわからないけれど、思いついたとたんに笑いが止まらなくなった。
いつまでもキキは13歳、ジジはまだまだ元気にしっぽをぴんとたてて「にゃぁおーん」と笑っているイメージだったが、もうそんなに時が経っているんだ。いま「ミルク粥」で笑いあっていたのに!
それをわかってくれるだろう母にいますぐ伝えたいけど、笑いがどんどんこみ上げてきて言葉が発せられない。息が吸えなくて苦しいくらいだ。
そんな私の姿をみて、意味はわからないけど涙をうかべて大笑いしている娘を見て、父も母も笑顔になる。
「ちょ、なに?どーしたの?」と言いながらも顔がほころんでいた。

大笑いしたあとは気持ちがすっきりして、顔がほぐされたのか心なしか表情が作りやすかった。特にわだかまりがあったわけでもないのに、それからさらに家族と楽しく過ごせた。
内容は本当にくだらない事だけど、1日の終わりを迎える時に「ああ、最近特に声を出して笑う機会がなくなっていたなぁ」としみじみと思い出して
ほっこりとした。
笑うことってなくても生きていけるけど、人生には必要なものかも。
笑うっていいなぁ。
毎日寝る前にくすっと笑える毎日になるように、日々同じ事をするだけじゃなくて、何か違うところを見付けられる毎日を過ごしたいな。

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