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ノカノ歌 弥生の俳句・後半

空き缶を蹴りて楽しむ春疾風
 強風に乗せられ、カランコロンとあとをついてくる空き缶。ちょっと楽しそう。

神々の御霊乗せ吹く春嵐
 突然逝ってしまった、我が世代の神々に捧ぐ。

木の芽晴急転雨の匂い立つ
 昼までとてもよく晴れていたのに、突然日が陰って大雨に。さっきまでの穏やかな様子は何だったんだ。

目借り時猫と昼寝をしちゃおうか
 季語「蛙の目借り時」を使ってみたかった。春に温かくなって睡魔に襲われること。「蛙に目を借りられて眠くなる」んだそうです。何じゃそりゃ。

人のなき坂吹き下ろす春北風
 ちょっとした物寂しさ。

春風の向こうで誰かかくれんぼ
 風に乗って聞こえる「もういいかーい」の声。姿は見えねど、子供たちが楽しんでいるようです。

復習ぞせむと教書を求めける
 古文の文法がうろ覚えのうろなので、ちょっと本など買ってみて、それで確認しながら詠んだよ。合ってるかな。

パンジーと捨てられた菓子の空袋
 花壇の光と影。

雨に濡れ蒲公英はまだ開かない
 もう三月も終わろうとしているけれど、今年の花は遅いねえ。

卒業の「威風堂々」吾も歩く
 中学校から聞こえてくる、卒業式のBGM。好きなんだよねー威風堂々。背筋が伸びる感じがする。

春の闇いまでも君の声を聞く

春風の姿の映る水たまり
 風が水たまりを波立たせる様子を春風の姿としたよ。

春嵐逆さになった傘の咲く
 強風が酷くて、SNSでも傘が壊れた報告が連発。自分の傘も一回ひっくり返ったよ。「さかさ」「かさ」「さく」とK、S音の連発が心地よい……よいかな? どうだろう。

風光る死ぬにいい日であるようだ
 
そんな気持ちになるときもある。

一番に咲いた桜の好奇心
 大きな桜の木、ひとつだけきれいに咲いていたのは、この子だけ早く世界を見たかったのかなあみたいな。


教室でいくつか添削してもらって、どうやら自分にはすぐ擬人化するクセがあるようだとわかった。(今回のだと、「空き缶を蹴りて楽しむ春疾風」みたいなの)
擬人化しようとか思ってなくて素でやってるため、「これは擬人化ですね」と言われて「そういやそうだな」と思う感じなんだけど。

先生曰く、擬人化自体は悪いことではないけど「いい感じにできたと錯覚しがち」であるのと、「写生→擬人化はできるが逆はやりにくい」とのことだったので、なるべく擬人化を控えてみることにした。
(擬人化せずに詠んだあと、擬人化したら面白いな、と判断して変更するのはありとする)

と言いつつ、ラストの「桜の好奇心」は擬人化だよなあ。
枝先にそっと最初の一輪よ みたいなのから変えたことにしますね。


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