ノカノ歌 卯月の俳句・後半
眩さも早落ち着きぬ暮の春
きらきらしていた若葉がいつしか普段の色合いへ。風景のことでもあれば、新生活にも少しずつ馴染み出す頃かなあ、というような。あと、「暮の春」を使いたかった。
こっそりとミモザの柄の靴下を
無地のシャツにパンツ、というような地味な格好でも見えないところに花が咲いているんだよ、いいでしょ。
鳥曇漏れたインクのような罪
実際インクが漏れたのを見て、消えない罪のようだと思ったのです。
春深し月のくらげと行く散歩
空を行く月がまるでくらげのようだねとくらげみたいな子が言ったので(短歌)
花曇かたちにならぬもどかしさ
何かこう……もやもやとしたりすることもね……
満天星(どうだん)の花が燻んだ胸を撃つ
そんな気持ちでいるときに目に入った鮮やかな色が胸に響く。(のちに続編(?)とオチあり)
花びらの姿日に日に減る道よ
あんなに舞っていた桜の花びらももう散り終えてしまった。
もう誰も見上げていない桜の木
あんなにカメラを向けられていたのもわずか数日の間。
春愁丸めて捨てて踏んづけろ
何が愁いだ、何がモヤモヤだ、投げ捨てろーッ! うわぁーッ!!
春の日や鳩にモデルを断られ
あっ、シャッターチャンス! とカメラを向けたら向こうに行っちゃった。
なおヘッダー写真が逃げていく様子です。
木の芽映ゆ白きキャンバス曇空
絵を描き始めたこともあって、句にもちょっとそういう目線が増えはじめる。上の鳩を撮ろうとしたのも実は資料にしようとしてた。
イラスト初心者が上達する様はこちら(いつまで続くかな)
「#100日後に猫のかわいいキャラクターができる」
花冷や君の手のない散歩道
君は「いま」いないだけなのか、別れるなどして「もう」いないのか、どちらにも読めてよいと思います(自賛)。
遅桜唇に引く新色よ
春の終わりを感じても、明るく新たな色を手に入れればいいじゃない? 自分への概念的応援も含めて。
春深し耳の形を夢に見る
これは絵の話。猫耳の形がうまくいかなくて試行錯誤してると、目を閉じてもさっき描いた線が浮かんできてですね……。
さっき見た春服売り切れちゃったや
お店を一周してあとで買おうと思ってたやつがなくなってました。まあ、これも縁ですね(悔しさを堪えている)。
春の雨相合傘のおじさんズ
お昼休憩から帰るところかな、急に降り出した雨に傘を持っていた人と持っていなかった人。入れてあげてやさしい。
若人の相合い傘も見ていてきゅんとしちゃいますが、年を重ねた人のそれも微笑ましい気持ちになるものです(年を重ねた側より)。
春霖と背中でカタカタ言う荷物
バラバラと強めの雨のなか、歩くたびに背負ったリュックに何かが当たって鳴っている。孤独や静けさが表れて……ますかね?
春空に白の絵筆で描く瞳
青い空に薄い雲が、まるでイラストに描いた目のように流れていました。絵絡みの句シリーズ。
春竜胆写真の前で萎れ行く
満天星(どうだん)の花の雨夜に燻みけり
続編(?)。あんなに鮮やかだった花が、昨夜の雨で一気にくすんでしまった。あの日はくすんだ心を元気づけてくれた花なのに。ああ、命の儚さよ。
なお、星と夜もかけて、雨夜だったから星も見えなかった、雨の夜では鮮やかな花も見えない、などいろいろな解釈が可能(どや顔)。
と、ドヤったあとで、すごく馬鹿げた間違いに気づく。
懺悔します。
自分、「ドウダンツツジ」って単につつじの正式名称みたいなのだと思ってた……ドウダンツツジと一般的なつつじはチガウ……ドウダンツツジは白い……スズランみたいなやつ……かわいいけど鮮やかとかじゃない……私の見たのは赤とかピンクとかのやつ……
ということで、いい連作ができたけど的外れでした。
なるほどねー、満天星って言うのは確かにドウダンツツジのほうがピッタリだよねーハハハ
今度はちゃんと詠みたい。
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