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ノカノ歌 如月の俳句

遠雷や春の到来まだ遥か
 「春雷」とするにはまだ早いなというのと、「春雷」が遠いのであれば春は遠いな、みたいなことを思った。

冬晴れや鳥の鳴かずに風の泣く
 鳥の声がしないなあ、風が強いからかなあ、という話。「泣く」にするのは少々あざとさがある。

男児らの石蹴り高く冬麗
 実際には地を滑ってましたが、イメージです。蹴り上げたら危ないもんね!

雪催ほお杖ついて君を待つ
 季語「雪催」を使いたくてチャンスを待っていた。雪予報にようやく使いながら、雪という君を待ったわけです。

雪催頭上を白く蓋されて
 「雪催」を使いたいキャンペーン続行。使える機会もそうそうないですからね。雪の降りそうな空は白くて重そうだなあと思います。

六花(むつのはな)編んだ花冠の夢
 関東では貴重な雪の機会なので歳時記をめくってよさそうなのを探していたら、ズバリ「雪」の別名として「六花」があったので、感動しながら詠んだ。雪の結晶の花は編むことができないけれど、六花の花冠があったら素敵だろうねえという歌です。

冬の雷(らい)画面向こうの人と聞く
 降雪と雷が合わさるのって世界的に珍しいんですって? 日本海側では日常と聞きますが。ともあれ関東民としては珍しいので、「雷だ!」ってSNSに投稿しては、おっ、フォロワーも聞いてたな! と思ったりしました。

降雪の終わりて祭りの幕引き
 すみません、関東民、雪ではしゃいでしまいまして……雪がやんで雨になると、大騒ぎの祭りも終了です。

雪かいてできた歩道の一人分
 翌朝の歩道は、人ひとりが通れるくらいの幅に雪かきがされている。ありがたいことです。人間同士の離合が起こるのもこのときならでは。

雪上がり惜しんで涙する木々や
 翌朝はすっかり晴れていたけれど、木々に積もった雪が溶けてぽたぽたと。

今朝生まれ雪だるままだ形よし
 でも子供たちが喜んで作ったと思しき公園の雪だるまは、まだまだ形を保ってました。

冬柿の照りと温みを伝ふ色
 万年筆沼に足を踏み入れてしまった話。「冬柿」という色のインクの美しさに惚れ惚れしている図。

冬柿や失いし庭を呼べる朱
 柿の色を見ていると、いまはもうない実家の庭とそこにあった柿の木を思い出すなあ、という句。

道の端残れる雪の未練かな
 雪かきをして寄せられた場所や、日の当たらないところには、数日経ってもまだ雪が残ってるなあ。

我を見て雪を踏むのをやめた人
 そんな残った雪をざくざく踏もうとしていた人がいたんだけど、ちょうど私が角を曲がってきたもんだからやめちゃった。なんかすみませんでした。

萌え袖や先取りが過ぎた春服
 春の服装をしたお嬢さん、寒かったと見えて袖のなかに手をすっぽりと入れてました。

冬日和BGMに合う紅茶
 窓から見える晴れた空、お店のBGMを聞きながら味わう紅茶(イメージ。実際にはコーヒーを飲んでいた)。

冬晴れやひとひらの羽根どこからか
 歩道に落ちていた一枚の羽根。鳩のものにしては大きいようにも思ったが、あれは誰のものだったのかな。

物陰に残れる雪の頑固さよ
 そろそろ十日くらい経ちますけど、日の当たらないところではまだ残ってるねえ。

陽の光まとう枯木の花めきて
 茶色いはずの枯れ木が、日光を浴びて真っ白く光り輝いて見えた。まるで花が咲いたようではないか?(言い過ぎた)


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