ノカノ歌 文月の俳句・後半
片陰や知らぬ誰かと合う歩調
どうしても歩かなきゃならないならみんな日陰を歩きたい真夏の昼。
色づきを知らずに終わる紫陽花よ
白いまま枯れていく花を見て。
満月を妬み隠すかはたた神
正確には十四夜だったかな、すごい嵐だった。
宵涼み月をつまみにしませんか
お月様って美味しそうじゃない?
夏の森歌う小鳥に名は問えぬ
あの美しい歌声は何て鳥だろうな。
冷凍庫底の氷菓を想う昼
冷凍庫にアイスはあるけど仕事場にはない。
車窓から背中を照らす西日かな
美しくもあり、暑くもあり。
ひぐらしや雨の気配の去った町
大雨のあとの夕暮れ。
夏あらし鴉は羽根を落としけり
嵐のなかを飛んで落としたのかなという妄想。
ジグザグに歩く児童は夏休み
ふざけて歩いている少年。いいねえ、はしゃいでるねえ、夏休みだねえ。
待ちぼうけ扇はぬるい風を生む
風を送っても暑い。
おにぎりを並んで食べた夏の夕
電車の座席に並んで座った少女らが、お稽古事前の腹ごしらえであろうおにぎりを食べていた姿。思い出に残るかな。
水筒の茶と合わせ飲む蝉時雨
暑いし、蝉はすごい鳴くし。
夕暮の風鈴いつか聞いた音
どこか懐かしさを感じるよね。
涼風の疲れた人の背を撫でる
疲れた人は私でもあり、あなたでもあり。
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