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人をどう捉えるか?

人に対する支援を行うにあたり、まず人をどう捉えるかが重要だと思います。そこでここでは僕の参考にしている考え方を紹介していきます。

①作業遂行と結び付きのカナダモデル(CMOP-E)
「人はモデルの中心の三角で表され、3つの遂行要素、つまり認知、情緒、身体を持ち、スピリチュアリティ(精神性)が中心で核となっている。」
(続・作業療法の視点 エリザベス・タウンゼント/ヘレン・ポラタイコ 編著 p.45)

CMOP-Eのモデル

このモデルでは、人の中心であり核をなしているのはスピリチュアリティです。スピリチュアリティは、V.E.フランクルが言うところの”精神的人格”と同義であると考えています。


②人間作業モデル(MOHO)
「人間作業モデルでは、人間は以下の3つの相互に関係する構成要素からなるとしている。それらは、
意志 volition
習慣化 habituation
遂行能力 performance capacity
である。」
(キールホフナーの人間作業モデル 改訂第5版 Renée R.Taylor編著 p.12)

人間作業モデルにおけるこれら3つの用語を説明していきます。
遂行能力
とは作業を行うための身体的能力と精神的能力のことで、比較的理解しやすいかと思います。

意志とは、作業に対する動機づけをさします。人が何かをできるように支援する作業療法において、この捉え方は重要になります。つまりいくら能力的にできることだとしても、人はやる気にならなきゃやらない。だからその人の意志を理解する必要があるんです。その人にとって、それは価値があり興味があることなのだろうか。また、それができる能力はあるのに、自信がないからできないだけではないか。そういった視点で支援していきます。

習慣化という用語は、私たちの半自動的な行動のパターンをさします。そして人間作業モデルでは、習慣と役割によって私たちの行動はパターン化するとしています(習慣化と習慣は違う用語として使われていることに注意してください)。ある作業ができるように支援するとき、その人にとってその作業が習慣化するまで支援する必要があるかもしれません。
習慣化が崩れることによって今まで当たり前のようにできていたことができなくなってしまうことは、今回の新型コロナウィルスの流行によって学ばされました。

③生物-心理-社会モデル biopsychosocial model
人間という存在は、生物的レベル、心理レベル、社会レベルというそれぞれが深く関連し合うの3つの層で存在しているため、対人支援においてはそれぞれの層の関係を意識した統合的な支援が必要であるという考え方です。
(参考:心理カウンセリング序説ー心理学的支援法ー 大山泰宏 p.20-21)

たとえば、在宅でパーキンソン病で神経内科にかかっている人の場合、何らかの抗パーキンソン薬が処方され(生物的レベル)、訪問看護師や訪問リハビリのスタッフから心理的なサポートを受け(心理レベル)、またときには友人や家族からあたたかい支援を受けることがあるかもしれない(社会レベル)。


以上です。何かしらお役に立てたらうれしいです。


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