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システム2の思考を意識して人生を味わう

今回は思考モードを使い分けないと、人生の甘美な部分を心から味わうことができないよ!という話です。

ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者であるダニエル・カーネマンの本に「思考には早い思考と遅い思考の2つのモードがある」という理論があります。

人間の脳は自動的で処理が速い「システム1」と、意識的で処理の遅い「システム2」の2つのモードで思考を処理するという理論で、

システム1:自動車を運転する、赤信号で止まる
システム2:目的地までのルートを考える、夜ご飯の献立を考える

といったようにシステム1は自動的で頭を使っていて意識が介入することなく、対するシステム2は複雑な計算など知的活動に要するものが該当します。

本書ではシステム1に潜む認知バイアス、要はシステム1は自動で便利で生活する上で必要な思考モードだけど、そこに潜む錯覚には注意しようという内容が趣旨で、本書を読んでみた人はさまざまな錯覚の中にいることに驚いたと思います。

シコ助はフツウの毎日を楽しむことについて研究しているのですが、目の前にある楽しみを味わう時に、この2つのモードを使い誤ると人生を損してしまうことについて話をしたいと思います。

システム2からシステム1への移行

今では慣れた自動車の運転も初めて運転するときには、『ここで右ウインカーを出す』『ウインカーはこれ』『ハンドルを戻すとウインカーも止まるんだ』といったシステム2の深い思考パターンが働いていました。

つまり練習を積むことで脳の記憶させ、その記憶のおかげでシステム2の領域をシステム1に移行することができるのです。

量をこなし、経験を積むことでどんどん成長していく理由はこのシステム2→システム1の移行という素晴らしいシステムのおかげなのです。

ただし目の前にある物事を楽しむ場合、そこにシステム1が介在すると、楽しめなくなってしまう場合があるので注意が必要です。

システム1では味わえないこと

今、目の前に卵かけご飯があるのですが、味も知っているし、お箸を持って口に運ぶ作業も30年も生きていれば余裕なのです。

あまりに余裕すぎて、テレビを見たり、スマホを弄りながら食べる事ができます。システム1思考パターンが得意のマルチタスクです。

特に急いでる訳でもないのに、効率良く生活が出来て何となく満足した感じがしています。

ただホントに満足しているのか?というと、疑問です。効率よく生活をして、時間を余らせたところで、余らせた時間は何に使えばいいのか?ふと考えてしまう事があります。

またシステム1に人生をまかせるほど、人生の体感時間は短くなると言われています。やっぱり卵かけご飯の味わいや桜の美しさなど、味わうべき時間には、たっぷりと時間をかけた方がいいわけです。システム1でなく2の思考モードを上手く使うと良いのです。

システム2で人生を味わう

ということで歳を取るにつれて生活の殆どがシステム1に移行されて、『美味しいと思うこと』『綺麗だと思うこと』などに意識が介在しないことが多くなります。

目の前に人生を味わう材料だけがあって、ほとんど調理せずに捨ててしまってたり、時間が進む体感スピードだけが上がっていったり、自分が歳をとって過ぎ去りし日々を振り返ることをイメージするとゾッとしてしまいます。

効率良く時間を使うより、効率良く幸福を生むことが本来の目的ではないでしょうか。

システム2で人生を楽しむ

まず目の前にある卵かけご飯を意識して味わいましょう。匂いを嗅いだり、舌触りを確認しながら楽しんでみます。

認知する意識を持つだけでシステム2へ移行させることができます。

またその味を言語化して、認知の密度を上げていくとより深く味わうことができます。

月を見上げて空想にふけること、風呂上がりに肌にあたる夜風を感じること、寒い朝のアツアツのスープで温まっていくこと、石油ストーブの臭いで懐かしさを感じること、

色んな味わいがフツウの毎日にありふれます。

いま楽しいことといえば、旅行やライブイベントを連想しますが、手間やお金をかけずとも人生を楽しむ方法は思考パターンシステム1から2への移行なのです。フツウの毎日を楽しむことが幸せへの近道だと思っています。

終わりに

夕日が落ちる寸前のブルーに染まる空が好きです。普段であればシステム1の『綺麗だな』で終わるのですが、システム2に移行してから、日の入りを調べてカレンダーに表示させたり、ベランダに椅子を置いて、珈琲を飲みながら空を見上げたり、音楽とお香で雰囲気を盛り上げたり、ちょっとした日常の『好き』という感覚を拡張することが出来ています。
そんな楽しみ方を本にしているのですが、この内容は第1章の『好きをプロジェクト化する』についてのお話でした。
ぜひその他のフツウの毎日を楽しむ方法に興味がありましたら。


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