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#3 言葉の空中戦

言葉って空中を飛び回るんですが、地上には降り立たないですね。

これは、私が長年知的障害や発達障害、自閉症の方と話をしたり、時には就労に向けての訓練上で何か指示をしている時のことを言っています。

相手の言っていることを想像しながら理解するのって意外と難しいですよね。
とても高度な脳の働きです。

過去から想像したことや、まだ知らない未知の事などを実は会話の中では結構しています。

脳の障害を持つ彼らの多くは(全員ではないですし明確な境界線もありませんが)相手の言っていることを想像しながら理解することや、一般常識的な「普通はこうだよね」という抽象的な社会通念の概念を理解するのが苦手で、どうしても、相手との会話の中で言葉だけのやり取りでは双方誤解を生じあうことが多々あります。

私や、私の直属の大好きな上司と良く言うのが、スタッフと利用者さんがこの状態になっているを見ている時です。

「言葉の空中戦になってしまっているね」と話します。

まぁ、そんな時どうするかというと、単純です。
空中戦から地上戦に持ち込みます。

例えばA4白紙一枚用意したりホワイトボードを用意したりして、文字や図や絵に言葉を落とし込んで戦います。

そうすると相手の言っている言葉が空から地上に落ちてそこに留まるので、消えることがありません。
そう。何度も見直すことができます。

言いたいことが合っていなければ、文字を消して合っているまで確認します。

そして最後しっかりと「君の言いたいことは〇〇であっているかい?」と地上に降り立った文字を指して確認します。
伝える側も同様に文字などに落として伝えます。空中には飛び立たせません。

知的障害、発達障害と言われる彼らの多くと、私たちも視覚情報は比較的に一目で直感的に理解ができます。
特に彼らは聴覚情報よりもとても優位に視覚情報が入ります。

ついつい相談のやりとりって言葉だけで頼ってしまうことも多いですが、じっくり相談するときってホワイトボードを使ったり、今ならタブレット端末のメモ機能に書いたりと言葉が空中に行かないようにすることが双方の理解に役立ちます。

これは会社の会議などでも意見が飛び交う時にも使えます。
いわゆる頭の回転が速い人、情報処理が速い人って自分の頭の中には言葉がしっかり順列良く並んでいても、それを言語として周りの人に伝えるときにどうしても周囲とのタイムラグがあります。
ようは周りの人が会話についていけていない状況の時です。

ぜひそんな時は確認の意味も込めて「○○さんの言っていることはこういうことで合ってますか?」とすることをお勧めします。

意外とついていけていない人がほかにも多いこともあります。あと違う解釈をしてしまっている時とかもあります。

相談や会議はそこの参加者が同じ理解度であることが大前提だと思います。

そのためにはちょっとした工夫を取り入れて言葉の空中戦から言葉の地上戦に戦いの場を変えていく事をお勧めします。

近々その例なども挙げてみようかと思います。

ではでは。

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