日記(11/13)
2021年11月13日
一ヶ月間、照明の壊れた薄暗い部屋にいる。先日、町の電気屋さんでソケットを買って取り替えたのだけど電気は点かなかった。昨日の午後、日頃からお世話になっている業者の方に来てもらい照明自体を付け替えることにした。ようやっと一件落着しそうである。
さて、同人誌制作は佳境を迎えている。新しい試みの写真句集は入稿・入金を終えた。もう一方の新刊のハイカルチャー誌も直に制作完了の運びだ。前者は現金振り込みで、後者は今月の資金難からクレジット払いの算段である。ゆえに取っておいた印刷費から多少の余裕が出たのでこの二日間に本を新刊書店とブックオフでたくさん買ってしまった。旅費に響きかねない散財だ。
ところで十一月に入って制作と買い物に忙しく読書のほうはからっきし。今月はカフカ「最初の悩み」、小島信夫「殉教」、マーガレット・アトウッド「ダンシング・ガール」を読んだなり。これは不味いと焦ってルイス・ブニュエル監督『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(1972・仏)を観た。観るものをあざ笑うかのような決して安心を与えさせない怪作だった。自主映画出身の監督なら絶対に影響を受けてそうな印象を抱いた。映画は面白い。でも連続して視聴する体力は失われて久しい。だから生活のあいまあいまに長めの本を読もうと思う。候補としては小島信夫『抱擁家族』(講談社文芸文庫)だ。いま四十頁まで進んでいる。その間にまた短篇をちまちま選んでいきたい。昨日のブックオフで『谷崎潤一郎フェティシズム小説集』(集英社文庫)を入手した。収録作の「富美子の足」を読みたい。所有している『谷崎潤一郎大正期短篇集 金色の死』(講談社文芸文庫)は組版がキツキツで読みづらい。そういえばかつて本作のテレビドラマを観た覚えがある。「足」といえばブニュエルは足フェチとして有名だ。村上春樹は耳フェチ、大江健三郎は陰毛フェチ。あとはこれも昨日買った瀬戸内寂聴(1922-2021)『夏の終り』(新潮文庫)の表題作がいいだろうか。先日、寂聴は九十九歳の天寿を全うした。謹んでご冥福をお祈りする。『報道ステーション』では大越キャスターが以前「夏の終り」を読んでおり訃報に際して再読したそうだ。文庫にして五十六頁の短篇。本作は、1963年に女流文学賞を受賞している。にしても寂聴はカフカが『城』を執筆した年に生まれた。1922年は『城』の他にはウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(執筆1918年)、T・S・エリオット『荒地』、ジョイス『ユリシーズ』、芥川龍之介『藪の中』が刊行されている。また水平社や日本共産党の結成も1922年だ。熱い時代である。と、あれこれ書いていてもしゃーないのだけれど日記なのでご容赦願いたい。
話を元に戻すと、同人誌即売会の文学フリマが近づいてきた。開催は勤労感謝の日に東京流通センターで行われる。弊サークルは「ソー36」で出店する。よろしくお願いします。宣伝で締めてしまって申し訳ないけどとても疲れているからしゃーなし。
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