日記(8/12)

 仮眠だけで早朝からいろいろ活動してしまいへとへとになった一日だった。批評誌『山羊の大学』創刊号が完成して通販を始め、梱包と発送作業などで炎天下の街を幾日も出歩きこれにも疲労した。それでも夏は毎年元気なので問題は疲れが出る秋口だろう。いまから心配である。以下、スーザン・ソンタグ『良心の領界』から引用する。

 人の生き方はその人の心の傾注がいかに形成され、また歪められてきたかの軌跡です。注意力の形成は教育の、また文化そのもののまごうかたなきあらわれです。人はつねに成長します。注意力を増大させ高めるものは、人が異質なものごとに対して示す礼節です。新しい刺激を受けとめること、挑戦を受けることに一生懸命になってください。
 検閲を警戒すること。しかし忘れないことーー社会においても個々人の生活においてももっとも強力で深層にひそむ検閲は、自己検閲です。
 本をたくさん読んでください。本には何か大きなもの、歓喜を呼び起こすもの、あるいは自分を深めてくれるものが詰まっています。その期待を持続すること。二度読む価値のない本は、読む価値はありません(ちなみに、これは映画についても言えることです)。
(「序 若い読者へのアドバイス……(これは、ずっと自分自身に言いきかせているアドバイスでもある)」

 とまだこの序文には続きがあるので興味のある方は図書館などで読んでみてください。ここ数日は保坂についてなにかまとまった文章を残そうと悪戦苦闘している。まずは初期作に当たっておこうと既読の『プレーンソング』の続編である『草の上の朝食』をだらだら読んだり、気になっていた『猫に時間の流れる』をマーケットプレイスで買ったりしていた。「この人の閾」「夏の終わりの林の中」「コーリング」「残響」「揺籃」『小説の自由』『書きあぐねている人のための小説入門』「こことよそ」ぐらいしか保坂は読み終えていない。まだ論考の猶予は一年以上あるので気楽なものだが初期作を中心に論じるつもりだ。今朝、駅前の書店に『三田文学』が届いたと電話があった。メールでは『すべて名もなき未来』『野村喜和夫詩集』『萩原朔太郎詩集』の到着通知があった。別々に頼んだのだがどれも取り寄せで三週間ほどかかり数日の時差のもと溜まってしまった。市駅まで二駅だが正直面倒だ。受取はほかの用事がある一週間後になるだろう。本代と大阪の旅費など遣り繰りのたいへんな夏になる。体調に留意するとともに散財にも気を配りたいものだ。8月は短篇だけでなく一冊くまなく読む本を作りたいが難しそう。敵はYouTubeとTwitter、あと睡眠。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?