AM12:00呂律が回らない俺は袋を拒んだ

小学生の頃、通学路にはセブンがあった。
昼過ぎごろにそのセブンを通るとほぼ毎日お酒を飲んでいる赤ら顔の大柄な男がいた。

お酒がどんなもので、どんな効能があるのかは小学2年生の自分にはまだよくわからなかった。

けど"よくないであろうおじさん"だということだけは理解していたと思う。
だから目を合わせないように、存在していない人として毎日通り過ぎていた。


あれはよくない大人だ。
絶対によくない大人だ。
子供の自分でもわかった。
接してはいけない大人だ。




途方もないほどの時が経ち、陽が気持ちよくなりつつあったある春先。


夜勤の肉体労働のアルバイトがあった。
終わったのは昼11時。


疲れ果てよれよれでファミマへ向かう。
自分とおじさんの群れ。

酒を買い込み、おじさん5人と公園へ。
昼の11時から酒盛り開始。


サラリーマンと学生が絶え間なく横断する公園で汚い服装で高笑いしながら酒を飲む飲む。


白い目を向けてくるサラリーマン、意識をこちらに向けながらも視線を完璧に外し歩くOL。


保育園児達が保育士と共に元気よく遊んでいる。


片手に缶チューハイを握り、大人は酒をあおる。

二度三度とファミマへ向かい酒を買う。



異常者として見ていた通学路の赤ら顔大柄男性。



26年の時を経て、あの人と同じく昼間から酒を欲し、恥も外聞もない心と身体が出来上がっていました。



いや、そんな事はない。
俺はあの場にいて恥ずかしかった。
場所を変えたかった。
出勤通学する人たちに背を向けていた。


あるがまま、思うがままにその場にいれなかった自分はとても中途半端な場所にいた。


正しさが流れるように進む世間と逆行するように昼間から酒を飲むおじさん衆。


そのちょうど間で戸惑い世間を気にしながら酒を飲み、脳を痺れさせ、タガを外さなきゃやってられない小心さ。


小学生の時の自分と同じように、今一緒に飲んでいるおじさん衆を、今一緒に飲みながらも、心では異常者として見ているんだ。


いつも一歩引いて生きている。
ダサいなぁ。

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