見出し画像

Rickenbacker 4003 の塗装がベタベタしてきた話し

前回 Rickenbacker 4003 のことを書いてから、しばらく経ちました。現在までレンタルスタジオで大きな音を出したりして、リッケンサウンドを楽しんでいます。

今回は前回にも書いたとおり塗装のベタベタ問題を書いてみます。


Rickenbacker 特有の問題らしい

2005年のモデルということで、すでに製造から20年近く経っている個体です。半年ほど前に購入してから気になっていた部分の1つに「塗装のベタベタ」がありました。

ベースを弾いていると、ネック裏がベタつくのです。もちろん、何度もクロスで拭いたりしてるのですが、なんとなくベタつく感じは治りません。そこで困った時のインターネット検索ということで、ググってみたところ結構みなさんも、このベタつき問題で困っているようでした。

Rickenbacker の日本公式サイトによると、現在のモデルはポリエステル系のトップコート、その下にポリウレタン系のカラーコート、そして下地にヴィニール系のものが塗布されているようです。

現在のRickenbackerモデルは、ヴィニール系の下地層の後、ポリウレタン系のカラーコートとポリエステル系のトップコートの組み合わせによる塗装が施されている。

これは、カリフォルニア州の一層厳しくなる環境規制に対応するための工場としての使命と、より美しい塗装を目的とし今までの生産環境とより優れた塗装環境を両立するための、Rickenbackerの塗装に対する揺るぎない考えである。

http://www.rickenbacker-jp.com/brand/factory.php

加水分解?

考えられるのは、このポリエステル系のトップコートが加水分解を起こしているのでは?ということ。エステルという物質は水分に反応して化学的な変化を起こします。私のベースは、まずは空気中にある水分、そして人間の汗も水分です。この加水分解により塗装のトップコートであるポリエステル系の物質が「ゆるく」なってきているのではないか?と考えました(素人の考えなので、間違っていたらご指摘ください)。

加水分解は化学変化なので、水分があれば起きてしまいますので、その化学変化した塗装面をどうするか?を考えることが、塗装のベタベタを解決する方法になるのではないか?と考えました。

無水エタノールを試す

facebook に「塗装のベタつきで困っている」と書いたところ、つながっている友人から

樹脂が経年劣化でベタつきを起こしているときは無水エタノールを布に少量染ませて拭き取っている

私の友人

という情報をもらいました。なんでも、車のダッシュボードや家具などではかなり有効な方法だとのこと。他にもシール糊の残りなども完全に拭き取れるとのこと。ただし、楽器の塗装に有効かどうかはわからないので、一度目立たないところで試してみる必要がありそうです。

探してみたところ、通販ではエーゼットという潤滑剤や洗浄剤を販売している会社で小さめの無水エタノールが販売されていましたので、これを注文してみることにしました。

AZ 無水エタノール

楽器で試してみて、仮に使えないことがわかったとしても、この小さいボトルであれば、自宅でも

●シンク、冷蔵庫、電子レンジ、ドアノブ、鏡、トイレ周りなどの除菌、洗浄
●部品の脱脂洗浄
●実験器具の洗浄
●皮脂などの油汚れの除去
●油性マーカーの除去
●精油の希釈

に利用できるということでこれを選びました。

試してみたところ、ポリエステル系のトップコートを少し溶かしていく印象で、少し拭き取り面が白濁してしまいました。もちろん、これでは困るので作業はここで終了です。

研磨剤入りのポリッシュを試す

インターネット検索をしていると、ベタベタ感を取るのに研磨剤(コンパウンド)入りのギターポリッシュで、ゴシゴシと拭き取るといいという文言に出くわします。

中でもフリーダムカスタムギターリサーチという会社の GLOSSING POLISH はいいぞというブログが複数見つかりました。さっそくサウンドハウスからお取り寄せです。

「超微粒子コンパウンド」を配合した「艶出し専用ポリッシュ」ということで、ベタついたポリエステルをこそぎ落としてしまおうという作戦になります。ボトルの中には超微粒子コンパウンドを攪拌させるためのステンレス製の小さなボールが入っていて、振るとカシャカシャという音がしました。

GLOSSING POLISH

クロスにポリッシュをつけて、ネックの一部分をゴシゴシと擦り、しばらくしたらその部分を拭き上げます。そして、また別の部分をゴシゴシと擦り、拭き上げる。を繰り返します。少しずつ磨いてコンパウンドを拭き上げるという作業です。

少し力のいる作業でしたが、5分ほどで終了です。実際にネックを握ってみるとベタベタ感はかなり収まってる印象です。

その後、時間を見つけては GLOSSING POLISH でゴシゴシと擦ってますが、当初感じていたベタつきはかなりなくなってきて、なんとか弾くのに問題ないぐらいにはなってきています。

ひとまずはこれで対策完了ですが…

ひとまずはこれで弾いてます。ただ、化学変化を起こしてしまう材料でトップコートが塗られている以上、また時間が経ったら同じようにゴシゴシと擦って対応するという対症療法的な対策しかなさそうです。

ただ、これは抜本的な解決にはなってないですよね。役者・ベーシストとして有名な中村梅雀さんは、結局ご自分の 4003S の塗装を剥がしてオイルフィニッシュにして使用されているそうです。

セルバインディグのない 4003S だと、このオイルフィニッシュもかなりいいですよね。まさに Paul McCartney の 4001 みたいな雰囲気です。音も当初とは変わるでしょうけど、あのベタつきの心配がなくなるわけだし、変化していく音も楽しめるのは悪くない選択だと思いました。ただ、塗装を剥いでオイルフィニッシュにしてもらうのは、かなり値段が張るでしょうねぇ。

というわけで、私はコンパウンド入りのポリッシャーで拭き上げるということで、今後はお付き合いしていこうと思っています。

そして、次はどうするか…

少しずつ自分用にしている Rickenbacker 4003 ですが、弦高が少し高いのが気になっています。Jazz Bass や Precision Bass はこのあたりの調整が割と簡単なのですが、 Rickenbacker 4003 だと一筋縄ではいかなさそうです。

ブリッジのコマの台を上下させて弦高を調整させるのですが、1/16インチのアレンキーが必要だということなので、まずはそのレンチを購入するところから始めないと…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?