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諸君は本学をどのくらい愛していますか。

諸君は本学をどのくらい愛し、どのくらい本気で本学を目指していますか。
('96年・山梨大学)

 すべり止めで受けたりする受験生も多いんだろうから、本気度を問いただしたくなる気持ちもわからなくはない。でも、「本学」にアンダーラインまで引いて、「どのくらい愛し」なんて熱く迫られたら、受験生のほうも引いちゃうよ。

 ところが、そこまで熱く語っておいて、本題は「そこで、今の自分を良く分析して、自然環境や物理的、人的環境も含めて、3年後の自分、10年後の自分と活動状況をなるべく具体的・詳細に描写してください」って、本学うんぬんと全然関係ないんですけど……。本題のほうもそんなこと書かせてどうすんの? って感じだし、どうも独りよがりなんだよね。

 同大学の妙な自校愛ぶりを示す問題はほかにもある。たとえば、'99年の小論文では「今、山梨大学を受験するにあたって、あなたのいちばん大切な人にあてて、手紙を書いて下さい。手紙は、まず誰に対してあてたものなのかを記した上で書き始めて下さい」なんて問題が。合格後に、その喜びと新生活への希望を書くならともかく、「山梨大学を受験するにあたって、あなたのいちばん大切な人にあてて」って、特攻隊に出撃するんじゃないんだから、そんなときにわざわざ手紙なんか書かないだろう。

 そうかと思えば、「次のキーワードをいくつか(3つ以上)組み合わせて、各自のテーマを立て、800字以内で文章を完成させなさい。そして、完成後、100字以内で要約を付けなさい。キーワード:誕生、四季、HIV、金メダル、茶パツ、登山、先生、犬、花、雪」('01年)なんてのも。脈絡あるようなないような、落語の三題噺かよ。

 こんな出題者の自己満足みたいな問題に付き合わされる受験生のみなさん、ホントにご苦労さまです!

(※2005年に某誌より依頼を受けて拙著『笑う入試問題』から抜粋・再構成した記事が先方の都合でボツになりました。そのときの原稿を順次掲載していきます)

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