営業との出逢い②
18歳、青春まっさかりの私、目指すは家庭教師のアルバイト。
理由は単純かつ不純。笑
辿り着いた先は家庭教師の"テレフォンオペレーター”という聞き慣れない仕事の求人。
そして迎えた面接当日。
四条烏丸にある雑居ビルに辿り着いた私は、指定された事務所フロアのインターフォンを押した。
"ピンポーン。"
「どうぞ!」
男性の声で一言。
面接会場として案内されたのはビルの貸し会議室だった。
パーテーションに囲まれ、事務デスク、ホワイトボードしかない無機質な空間。
「初めまして、Nです。」
年齢はおそらく30代中頃...、長身痩身スーツ姿の男性がそう言って名刺を私に渡してきた。
”学習教材E●●”
名刺にはそう書いてあった。
Nが言うには、この仕事は電話を使って一般家庭に学習教材を販売する仕事、
内容には電話担当、絞り、訪問営業の3種類あり、アルバイトは殆どが電話担当だという。
「営業の仕事、やったことあるん?」
Nはとても気安い感じの雰囲気を持っており、今まで経験した仰々しいスタイルよりは雑談に近い面接だった。
営業という職種が存在するのはなんとなく知っていたが、具体的に何をするのか?当時の私には全く想像がつかない。
「ま、ええわ。とりあえず時給払うし、1、2時間ほど体験で今から仕事してみーへん?」
まさかの即採用・即稼働。
一瞬面食らったが、時給も出るということだし、この後も予定が無かった私はNのオファーを受けた。
さっきまでの不純な動機は何処へやら...。
”営業”という言葉の魔力に取り憑かれ、私は事務所へ向かっていた。
「ここやで」
Nがとある部屋の前で立ち止まった。
そこは外観からでも分かるほど小部屋で4畳半くらいしかない...。
”え、ここが事務所??”
そう思ってると、Nがドアを開けて中に私を招いた。
そしてそこには、今まで私が経験したどのアルバイトとも異なる空間が広がっていた。
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