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自ら道を拓こうとしている卒業生が、本気で挑戦する人の母校に遊びにきた。 【週刊新陽 #14】

札幌もすっかり夏。大通り公園のサンクガーデン(西12丁目)のバラが見頃です。

さて先日、卒業生が「昨日から札幌に帰ってきているのですが、金曜日は学校にいらっしゃいますか?」と連絡をくれたので「います!ぜひ来て〜」とすぐ返信しました。

というわけで、今週は本当に校長室からお送りします。

「行かない」という選択肢はない場所

校長室を訪ねてくれたのは菅原衣織さん。2018年3月に卒業し立命館アジア太平洋大学(APU)に進学、思うところあって2回生の時に退学し、現在は別府市役所で働いています。

これまでも彼女と何度か会う機会がありましたが、今回あらためて、いろいろとお話を聞かせてもらいました。

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- まずは新陽に入学した理由を教えてください!

もともと公立高校に行くつもりだったので、新陽は友達の付き添いでオープンスクールに来ただけ。その時は、特に良くも悪くもない印象でした。

結局、第一志望の公立は落ちてしまって。滑り止めで受けていた新陽は、特進・国際コースの入学金&授業料免除の特典が決め手です(笑)。

- 中学生の時、高校はどういうイメージ?

行かないという選択肢のない場所」ですね。中学の進路指導も「高校いく?いかない?」ではなくて「どこに行く?」だったから、行きたいかどうか考える余地はなくて、どこかに行かなくちゃ、お金かかりそうだなぁ、みたいな感じでしたね。

入学初日からカルチャーショック

- 新陽に入ってみてどうだった?

初日から「やばい!!」(笑)。入学式で他のコースの子たちがちゃんと整列してなくて、動物園に来てしまったと思いました・・・。初日なのに制服を着くずしている人や、おちゃらけてる人がいて初対面同士なのにゆるいっていうか。先輩たちのスカートは短いし、先生から3年生の停学の話を聞いても「そんなことある?」っていう理由だったり。

- なるほど。予想と違った?

みんな同じように義務教育を受けて、同じことを学んできているから差はそんなにないと思うじゃないですか。中学で多少荒れていることはあっても。ちゃんと並ぶことや先生の話を聞くなど小学生レベルの当たり前ができない人がいることに愕然としましたね。。

特進コースは8時間授業なのも衝撃でした。8時間目は眠いしお腹すくし、先生も大変じゃん!って(笑)。何を目指しているのか分からないのに、特進、特進とだけ言われている感じでした。

もともと勉強は好きじゃなくて、学校は居場所だっただけ。理系から文転はできるけど逆は無理と言われたので、得意でもないのに理系科目を選択したりして、授業へのモチベーションも低かったですね。

学校に来るのは部活のため。部活しかしていなかったと言ってもいいくらいです。

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《思い出の書は140cmx490cmという大作!》

荒井優校長との出会いと原体験

- 荒井優さんが来たのは1年生の2月?

はい。それまでいた校長先生と違うラフな人が急に来た、って感じでした。

 直接お会いしたのは少し経ってから。書道部の校外展の宣伝をしてもらおうと顧問に相談したところ、校長に言ってみたら?とアドバイスされ、部員3人で校長室を訪ねたのが最初です。

その後ある日、急に呼び止められて「菅原さんだよね。あとで校長室来てくれる?」と言われたんです。やばい、なんかやったかな・・・とドキドキして校長室に行くと「全国高校生100人委員会があるから夏休みに東京行かない?」と。内容わからないけど楽しそう!ってすぐOKしました。

- 高校生が集まって政策提言をまとめた大きなイベントですね。そういう会に参加する経験はそれまでもあったの?

ぜんぜん!むしろ人前で喋るのは避けたいタイプでした。ファシリテーターを務めるのも初めてで、最初は緊張したけど、参加しているうちに「こういう人たちがいるんだ」って刺激を受けて、最後は代表メンバーにまでなってました。

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※福津京子さんの「札幌人図鑑」でもインタビューされました。

人生を180度変えるきっかけをくれた人

それから、優さんからいろいろとお声がけいただくようになったんです。

なぜ声をかけてくれるか分からなかったけど、楽しかったし、学外で考えたり動いたりする機会は楽しいと気付いたので、ぜんぶ挑戦しました。

課外活動での経験が積み重なって、YOSAKOIと部活も真剣に取り組んでいたため、進路指導の先生からAO(アドミッションズ・オフィス)入試を勧められて、武蔵大学、慶応SFC、立命館APUを受験することに。

- 新陽に入学した時には予想していなかった進路?

考えもしなかったですね。公立高校に受かっていたらAPUなんて絶対出会わないんじゃないかな。(道立高校の)不合格ありがとうって感じ(笑)。

高校でこんなことができるとは思わなかったし、そもそも入学時の新陽はそうじゃなかった。校長が変わり、先生も変わり、カリキュラムも変わり、学校がどんどん変わっていったんです。

やってみたい、と思ったら挑戦できる学校になった。やめておいた方がいいという先生よりも、とりあえずやってみたらと背中を押してくれる先生が増えました。

早すぎる変化についていけない在校生もいたと思います。自分より前の卒業生はびっくりしてるでしょうね。

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でも優さんが実現したい教育ってこういうことなんだろうな、と思いました。漫然と3年過ごすより、楽しい方がいいし、社会に出た時に必要とされる力がついたほうがいいに決まってる。

そしてそれが社会のニーズなのだろうと。だんだんクラスが減り、私たちの下の学年は5クラスだったのに、入学者が増えて9クラスにまでなったのがその証拠。

優さんには卒業後もいろいろ相談に乗ってもらいました。今は校長を辞められて、また関係性が変わりますが、これからも優さんからいろいろ学ばせてもらえそうとワクワクしています。

本気で挑戦する母校

- 外から新陽はどう見えますか?

自分が学外でやっていたことが、学校のなかでできるようになった印象は強いです。体験の機会がカリキュラムや日常の中に埋め込まれてるというか。後輩たちはすごくラッキーだと思う。

認知度の高まりも感じます。入学した時は、制服で街中を歩きたくないくらいイメージが良くなかったけど(苦笑)、今は良い評判を聞くことのほうが多い。

それから今日感じたのは、先生たちが活気があって和気藹々としてますね。
さっき職員室にいたら数名の先生が何か相談してたんですけど、「こうしよう」「じゃあ僕これやります」って話が決まっていくのにびっくりしました。

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《最近どう?と衣織さんに声をかける先生たち》

- 最後に、新陽が掲げているビジョン『人物多様性』を聞いて、2030年にどんな学校であってほしいと思いますか?

多様性というのは、例えば性別、年齢、国籍関係なく学びたい時に学べるようなイメージですよね。いろいろな人がいる場所だったらいいと思います。

今はできないことも、2030年には法律や制度が変わっているかもしれない。そして、もし国の教育が底上げされているなら、新陽にはもっとその先を行く先駆者でいてほしい!「新陽の卒業生です」と自信持って言える場所であり続けてほしいです。

それから、卒業生の多様性もどんどん活用していいと思う。私の学年で4年制の大学に行った子たちは来年就職。すでに社会人になっている同級生もいるし、面白い道を選んで進んでいる子もいます。

高校生のうちにいろいろな選択肢があることを後輩たちにも知ってもらえたらいいですよね。母校から声をかけられたら嫌な気はしないし、協力しますよ。

この場所を活用して巣立っていった卒業生が、在校生や先生たち、外部の大人たちと混ざって新陽の多様性のコミュニティの一部にいるのもいいですよね。いつでも呼んでください!

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(せっかくの記念写真はマスクを取ればよかったです・笑。過去の貴重な写真は菅原衣織さんから提供いただきました。)

【編集後記】
7月1〜2日、大通り公園で、札幌都心のパブリックスペースをおもしろく活用しようという実証実験が行われました。この「札幌都心プレイスメイキング実行委員会」に荒井優さんと私も参加しています。
防災キャンプがテーマのプレ開催でしたが、8月末にさらにplayfulな本番を迎える予定。札幌日大高校さんと新陽高校の生徒有志も参加し、大人たちが一緒になって本気で実験していきます!ぜひお立ち寄りください。
衣織さんも言ってくれたとおり、新陽生の課外活動はどんどん進化しています!

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