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学校の先生たちも本気で学んでます!【週刊新陽 #15】

現在、札幌新陽高校の2階廊下には、すべての授業のシラバスが貼り出されています。

シラバス(syllabus)とは、学生が授業を受けるのに必要な情報がまとめられたもの。「教員と学生間の契約書」とも言われます。もともとアメリカの大学で広がり、日本でも20年ほど前から導入されました。

大学では、学生がどの科目を履修するか決めるのにシラバスが使われます。来年度から単位制を導入する新陽高校でもますます授業計画が大切になるので、教務部の先生たちを中心にシラバスの充実に取り組んでいます。

生徒たちにはPDFファイルで共有していますが、壁にも掲示したところ立ち止まって眺めていることがあって、それを見た先生たちはすごく嬉しそうです。

先生を見ない授業研究会

先日、校内の授業研究会が開催されました。
北海道大学の守屋教授から『学びの共同体』の哲学をもとにご指導いただき、教務部の田渕先生が中心となって企画した会です。

「教員がどのように授業するか」という研究会も多いのですが、今回は「生徒一人ひとりの学びの様子を見て取る」ことに焦点を当てました。

コロナ感染対策のため、教室に集まることはせず、教室の前と後ろに設置されたカメラのライブ映像をみんなで観ます。


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一人ずつはっきり見えるわけではないので難しい部分もありましたが、まずは、授業の進行ではなく生徒の活動や様子に目を向けられたのは新たな発見でした。

守屋先生授業研究会1

授業公開のあとは、守屋先生が撮影した動画を使って生徒の様子などの振り返り。どのように生徒を見るのかという視点や、そこから何に気づいて授業の改善に活かすかといった解説は、先生たちに大いに参考になったようです。

終了後のアンケートでも、研究会の意義を感じた先生が多かったようです。

・他教科の授業を見ることは滅多にないので良い機会だった。また、自分の教科では見られない生徒の様子も見ることができた。

・生徒が主体というのはわかっていたつもりだが、それでも授業内容に意識がいってしまうことに気がついた。

・「学びの共同体」には興味があり、そのマインドをもって授業をしているつもりだったが、理論編を聞いて今やっていることとそこまでずれておらず安心した。

・「生徒を見てとる」という授業研究がこんなにも難しいものなのかと痛感した。

・授業をみる観点が180°変わる分析会だった。

・モヤモヤした。が、授業は常にそのようなもので、常に教師と生徒のモヤモヤを解消するために対話していきたい。

年度がスタートしてからの新規企画だったため、準備や周知が十分でなかったりオペレーションの要改善点はあるものの、それが分かったことも含めてやった甲斐があったと思っています。(むしろ4月に守屋先生と最初の打合せをして、6月末に実施に至ったのは見事としか言いようがありません!)

今後、研究会の改善と継続的な実施、それから、それぞれが自発的に「生徒を見て取る授業研究」をしていこうという話もあがっていて、新陽の先生たちの学びへの意欲を実感しています。

実際、この研究会以降、他の先生の授業を覗きに行く先生が増えました!

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学ぶ機会を掴みやすいように

日々の研鑽や校内研修のほか、先生たちが学ぶ場は外にもあります。

教員向け研修や、ファシリテーションやプログラミングなど教員対象でないものも含め案内はたくさん届きます。最近はオンライン講座や無料のものも多く、参加しやすくなっていると思います。

ですが、これまで
・情報が多すぎる
・実際に参加する時の内外の手続きが煩雑
などの理由で、研修機会が必ずしもフル活用されていませんでした。

そこで今年、CC所属の櫻庭彩寧先生が一覧表をGoogleスプレッドシートで作ってくれました。チャットやメールで流れていってしまっていた情報が見つけやすくなったと、一部の先生の中で大好評です。

加えて、例えば研修費は補助が付く場合もあり、その時は総務部に支出を依頼するのですが、このまとめシートがあることで他部署との連携もしやすくなった、と櫻庭先生が教えてくれました。

※新陽独自の分掌「CC」についてはこちらの記事に詳しく書いています↓

世界を広げると挑戦したいことが見えてくる

外部研修案内シートを作った櫻庭先生は、国語科の教員で総合コース1年生の担任。総合文化部の顧問であり、プログラミングも使いこなすスゴい先生です。

だからと言って、このシートに複雑なプログラムが組み込まれているわけではありません。むしろ作りは至ってシンプル。

でも、このアイデア(視点)をカタチにできるかどうかが、みんなの働き方や学びの機会に大きく影響します。櫻庭先生のクリエイティビティの源泉が知りたくて、少しお話を聞いてみました。

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- 研修案内シートを作ったきっかけを教えてください。

私、すごく面倒くさがりなんです(笑)。だから「面倒くさくないといいな」が原点です。

せっかく研修機会があってもメールやチャットで配信されるだけだと流れていってしまい、どこに行ったかわからない・・・もういいや〜、となってしまうことも多い。参加したいと思った時に手軽に情報が見られたらいいな、と思って作りました。

- 痒いところに手が届く、まさにCCらしい仕事ですね。

そういうリクエストも時々きます(笑)。成績の計算シート作ってほしいとか、学級通信にイラスト入れてみたいけどどうやるの?とか。

ゲームが好きで始めたパソコンでしたが、仕事でも授業でも使えることが分かって、時間が短縮できることや便利になることを実感するうちにどんどん使うようになりました。

でも、新しいツールを使うのがストレスだったり、なにかを始めるのは大変だと思う人もいます。そういう先生には、自分がサポートすることで少しでもハードルが下がれば、と思っています。

- プログラミングも外部研修で勉強したと聞いたのですが、櫻庭さんは外に出たり新しいことに挑戦するのが好きなタイプですか?

実は、もともとは内向きな人間です・・・札幌から出たくないという理由で、新陽高校は私立だから市外への移動はないなと思って就職を決めたくらいですから(笑)。

視野を広げる」というか「踏み出してみる」ことの大切さを意識したのは、教育実習で母校に行った時です。その時、自分の原体験を思い出したんです。

高校2年の時まで教員になるつもりはなくて理系を選択していたのですが、物理が苦手で。そのうち担任だった数学の先生に憧れて、その後文系に転向して国語の教員を目指しました。

教育実習の時に、自分の進路選択について後輩たちに伝えてほしいと言われて思い出したのが、先生は「物理、相当厳しいぞ。」と言ってくれていたこと。それでもなかなか動けなくてグズグズでした。もっと早く動くことはできたのに。

アドバイスしてくれる先生がいても、その手を取らなかったのは自分。言ってくれるのを聞いておく価値があるよ、と後輩に伝えました。と同時に、また自分はやっていなかったな、って気付いたんです。差し出してくれた手は自分で掴む!そう思って行動するようになりました。

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- 面倒くさがりで内向き・・・櫻庭さんのイメージがだいぶ変わりました!

新陽に入ってからは、とりあえずやってみるの精神でここまで来ている気がします。

初任では総合コースの2年生の副担任、翌年に創設されたばかりの探究コース1年生の担任に。そのまま生徒たちと一緒に持ち上がり、昨年度、卒業生を送り出しました。

特に、今の自分になったのは探究コースにいたことが大きいと思います。最初は自分で視野を広げたというより、世界を無理くり広げられた感じでした。

例えば、まだ2年目なのに連携先の偉い方に会いに行くとか、荒井前校長や中原コース長のお知り合いで視察に来られた方を案内するとか・・・そんな機会ばかりで、「できるかできないか」ではなく「やるしかなかった」というのが正直なところです。

気づいたら自分の殻が破れてましたね(笑)。でも、コース長や仲間がいて、やり方を見せてもらいながら学んだおかげで不安はそんなになかったです。

今年5年目で、久しぶりの総合コース。そしてCCは初めてです。でも、ここでも心強い部長や仲間がいるので、のびのびと副部長をやらせていただいています。

CCは組織のハブとなり、フレキシブルに動くためのチームだと思いますが、まだ全体のなかで見えていない部分もあるので、ここから開拓して行きたいと思っています!

学祭演奏

《櫻庭さんのカッコいい1枚 by 生徒》

【編集後記】
櫻庭さんはフットワークが軽くて良く気がつく先生というイメージだったのですが、今回は新たな一面を知ることができました。

インタビューしてから少し経って「対話のあと色々頭の中を整理する中で、ふと私を構成するものとしてある意味欠かせないものが浮かびました。」というメッセージをもらいました。
「ゲーム、その中でも謎解きがかなり好きなのですが、それは『情報やツールを集めて整理整頓しておき、必要に応じて駆使して問題を解決する』というもの。これが、実は自分自身を要約したもののような気がしています。」と。これは、これからの時代に必要とされている創造的問題解決力とも共通するところがあり、生徒たちにもぜひ身につけて欲しい力です。

自分自身の成長を楽しんでいる櫻庭さんのような先生と一緒に学べる生徒たちは幸せだな、と思いました。


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