フィンランドの教員養成プログラムと学校環境_【教育視察レポート⑤】2019年/Finland編
2019年9月26日:教員養成学校
フィンランドの教育が注目される要因の1つであろう教員養成プログラムを学びにHelsinki Normal Lyceum and Vikki Teacher Training Schoolへ。
1867年設立の高校を起源とするこの学校のモットーが素敵です。
『Non scholae, sed vitae. 』
(ラテン語:学校のためでなく、人生のため。)
さて、フィンランドの教員養成で特徴的なことは
①教育学部の大学院を卒業すると教員になれる
②実習する教員養成学校が限られている
(実習は2回。学部生の時に7-8週間&修士の間にも9週間)
教員養成学校はヘルシンキにはここともう1校のみ。フィンランド全国でも11校しかないそうで、ヘルシンキ大の先生でもある指導教員が子どもたちの担任をしながら実習生のメンターも担います。
①大学院卒でないと教員(小学校以上)になれないというのは特徴の一つとして知られているところではありますが、②をはじめとした教員養成のシステムそのものにこそ、フィンランドの教育の質の高さの秘密があるように思いました。
大学院生2人が実習中の、小学校1年生のクラスを見学させてもらいました。最初は国語、そのあと美術、それから算数。
教育省が示すのはコアカリキュラムだけで、授業は教員の裁量にまかされているのもフィンランドの特徴で、つまり先生の技能や資質が問われるということでもあります。
そんな教員の役割はとても明確で、学ぶための最高な環境をつくり、生徒一人ひとりの成長を助けること。
「教員は尊敬されている以上に信頼されている。」とおっしゃった校長先生の凛とした表情が印象的でした。
フィンランドの学校環境
フィンランドの学校では机が黒板に向かって整列していないとか、職員室がラウンジみたい、とは噂に聞いていたのですが…
本当でした!
まず教室。
小学校はだいたい靴を脱いで入ります。
机は島型になっていることが多いようですが、島の規模は2人から7〜8人まで様々。
スクリーンに近づいているうちに床に座ってしまう子もいる。
そもそも教室によってレイアウトが違うのがフィンランドの普通。
なので、授業や年齢によっては一方向を向いて並んでいることもあります。
あと、教室にソファがあるのがうらやましい(必ずではないものの、かなりの率で見ました)。
それから教科書も文房具も基本は学校のものを共有、というのもリーズナブルですね。
職員室について。
先生のものはだいたい教室にあるので、職員室は、くつろいだり教員同士で話したりするための場所です。
すっきりしたデザインの北欧家具でまとめられているし(当たり前ですが・笑)、wilma という全国共通の生徒管理システムがあるので紙も比較的少なめ。
フィンランド人の大好きなコーヒーとチョコレートやクッキーもあります。
そして教室や職員室に限らず、学校全体にスペース的な余裕というか"あそび"があるように感じました。それは街中やホテルも同じ。
「暮らしや生き方がそのまま教育にも結びついているのかな」と感じた1週間でした。
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