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札幌新陽高等学校 第64回入学式 校長式辞

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。新陽高校を代表して、心から歓迎いたします。また、新入生のご家族、関係者の皆さまにも、心よりお祝い申し上げます。

本日、第64回札幌新陽高等学校入学式を執り行い231名の新入生を迎えることができますことを嬉しく思います。

本校は、今年で開校64周年となる歴史ある私立高校です。建学の精神を引き継ぎ、多くの教職員や保護者、そして生徒たち自身が創りあげた教育が土台となって、今の新陽高校があります。私も、皆さんと同じく今年この高校に迎えられたばかりですので、校訓「自主創造」の意味を一緒に考えてみたいと思います。

初代校長の水沼先生は、「自主創造」という校訓に続けて「この道は自ら拓くべし」という言葉をあげられました。
さて、自分で道を拓く、とはどういうことでしょうか。

まず、主体的に物事に向かい自分で決めることです。皆さん一人ひとりは、新陽高校に入ることを自ら決断し、そして今日ここにいますね。もしかすると友だちに誘われて、あるいは親御さんや中学校の先生に勧められて受験したかもしれません。でも、最終的に新陽を選んでくれたのはあなた自身です。自分で決めるということは、人生のハンドルを自分で握ること、自分らしく生きていくことにつながります。

それから「拓く」という文字には北海道らしさも感じます。明治時代の始め、厳しい自然の中で原野を切り拓いた先人たちのように、自らの意思を持って新しい何かを創り出すこと、それが「この道は自ら拓くべし」という言葉に込められた想いではないかと思っています。

何かを創り出すためには多様性が欠かせません。
あなたという人は、この世に一人しかいない大切な存在です。そして、人は一人では生きていけません。一人ひとりが自分らしく持っている力を発揮し、違いを認め合いながらお互いが助け合っていく、それが共に生きるということです。

この1年、人類はみな「生きる」ことと向き合ってきました。
新型コロナウイルス感染症が世界各地で猛威をふるい、この札幌でも感染が広がり始めたのは皆さんが中学3年生になる少し前のことですね。中学校の最終学年としていろいろな思いがあったことでしょう。

あれから約1年、新型コロナウイルスについてはまだ解明されていないことが多く、感染状況はいまだ予断を許さない状況ですが、一方、人間の行動と感染拡大には関係があること、つまり私たちの行動が人の命を守ることに繋がることも分かってきました。

新陽高校では、命を守ること、安全と健康を第一とし、同時に、学びを止めないことを目標に置いて、オンラインでの授業や分散登校での教育活動を行ってきました。残念ながら中止にせざるを得ない行事や課外活動もありました。活動が制限されたり友達とも会えなかったり、新陽生の中には不安や不満もあったことと思います。でも、皆さんの先輩方はニューノーマルと言われる新しい日常の中で、自分を大切にし互いを思いやりながら、新しい学びを創造してきました。

多様な感性に触れ、お互いが共鳴したりぶつかったりすることから新しい価値が生まれます。新陽高校には、創造のきっかけとなる様々な出会いと原体験があり、多様な仲間や先輩がいます。そして今日からは、皆さん自身が新陽高校の多様性を構成する一員として、個性を発揮していくのです。

以上お話ししてきた校訓の「自主創造」を体現するために、大切にして欲しいことが3つあります。

まず1つ目は『個性』です。自分らしさとは何か。自分は何を大事にしたくて、どんなことでやる気スイッチが入るのか、追求していってください。
2つ目は『共感』。共感とは、他の人の経験や感情を想像し理解しようとする力です。気が合う仲間も貴重ですが、自分とは意見や経験が全く違う人とも関わることで、新しい世界が広がります。
3つ目は『勇気』。新陽高校のスローガン「本気で挑戦する人の母校」に込められた、挑戦する勇気です。失敗するかもしれない恐怖、周りから変だと思われるかもしれない不安を乗り越え挑戦した経験は、その先きっと自分の背中を押してくれます。

そして保護者の皆さまにおかれましては、どうかこの勇気ある挑戦を見守ってください。ご自身の経験したことのないことにお子様が挑戦するのが心配になったり戸惑ったりするかもしれません。その時もどうか、少し待ってみて下さい。もし黙っているのがつらかったら、お子様になぜそれをやっているのか質問してあげてください。

最後に、私が好きな言葉をご紹介します。
20世紀を代表するフランスの画家であるアンリ・マティスの言葉です。

「Creativity takes courage.(創造には勇気が必要だ。)」

好奇心と想像力、そして少しの勇気があれば、自分らしく未来を創造することができる、私はそう信じています。

皆さんはどんな未来を創りたいですか?
新陽での3年間、どうか勇気を持って本気で挑戦し、自ら道を拓いていってください。

あらためて、入学おめでとうございます。皆さんとの出会いに感謝し、また教職員一同、皆さんの231通りの挑戦を全力で応援し支えていくことをお約束して、私の式辞といたします。


2021年4月9日
札幌新陽高等学校長 赤司展子


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