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複業する校長、はじめます。

4月より、学校法人札幌慈恵学園 札幌新陽高等学校の校長を務めることになりました赤司展子(あかしのぶこ)です。これまでも自身が創業したWe-Steins(ウィーシュタインズ)の活動だったりアートや教育に関する情報を発信してきましたが、これから校長としてのnoteを綴っていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします!


「本気で挑戦する人の母校」札幌新陽高校とは

新陽高校は、1958年に創設され今年で64周年を迎える札幌市南区にある私立高校です。前身である札幌慈恵女子高等学校は、不足していた医療人材を育てることと女性の自立を目的として、全国初めての准看護師の受験資格を得られる厚生課程をもつ女子校でした。

その後共学化とともに札幌新陽高校となりました。経営的に厳しい時期もありましたが、2016年2月に荒井優(あらいゆたか)さんが民間校長として就任後、「本気で挑戦する人の母校」というスローガンのもと様々な改革が行われ変貌を遂げました。(「東洋経済education × ICT編集チーム」様が取材してくださったゆたかさんの記事はこちら


新陽高校との出会い

実は、新陽高校とはかれこれ3年のおつきあいになります。2018年から札幌慈恵学園(新陽高校のほか幼稚園と保育園もあります)の事業アドバイザーとして、学校や園をサポートさせていただいてきました。

新陽との出会いより遡ること4年、ゆたかさんとの出会いをまずはお話したいと思います。それは2014年8月、福島県双葉郡川内村で行われた双葉郡教育復興ビジョン推進協議会のミーティングでした。

その時、双葉郡教育復興ビジョンの具現化に取り組むため前職のPwCから出向したばかりの私は、当時、東日本大震災復興支援財団 専務理事でビジョン協議会の委員でもあるゆたかさんと初対面しました。話してみると大学同期であることがわかり、共通の知り合いもいたりして、初めての土地で新しい仕事を始める自分にとって心強い存在となりました。(私が出向した話はこちらのnoteで詳しく書かせてもらっています)

その後、PwCを辞めて独立し、教育に軸足を置くと決めたことを報告すると、「双葉郡の教育に関わると、みんな民間から学校関係者に転身するんだよ(笑)。いちど札幌に遊びにこない?」と。

訪れた新陽高校は、オープンで活気がありました。そして校長室にいると「ゆたかさん、ちょっといいですか」と立て続けに生徒が入ってくる。「この人、僕の友だち」と私も紹介してもらい一緒に生徒たちの話を聞きました。アドバイスを求められると、ゆたかさんは生徒を子ども扱いせず本気で答えていて、おもしろい学校だなと思いました。

その頃ゆたかさんは校長3年目で、高校改革に取り組みながら学園の経営体制の構築も進めていたので、第三者の目線で課題を整理し実行を手伝ってほしい、と声をかけてもらいました。


働く人が幸せな職場を目指して

例えば、一緒に取り組んできたのが働き方改革(現在も継続中)。母体である札幌慈恵学園のマネジメント目標「働く人が幸せな職場」を目指して、まずは新陽高校でやれることからやっていこう、というものでした。

働く人が幸せな職場としての学園

教職員の
・心身の健康を第一とする
・知的好奇心を育む
・自己変革に本気で挑戦する姿勢を支援する

そのために、情報共有と相互理解で風通しの良い組織へ

ノー残業デーやタイムカードに始まり、変形労働時間制の導入、就業規則の改定など、労使が協力して進めていったからこそできたことだと思います。働き方を見直す中で、職員室のリノベーションも教職員主導で実現されました。

Before

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After

2019-08-12新陽リノベ執務スペース

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新陽の職員室は大抵ザワザワしてます。スノピエリア(コミュニケーションがしやすいカフェのようなスペース。snow peakさんのアウトドア家具で設えているのでこの名称)では生徒の相談に乗ったり、先生同士で相談したり雑談しているのが日常でした。


本気で挑戦し、自ら道を拓く人の母校であり続けるために

しかし新型コロナウイルスにより一変。全国より少し早く北海道で感染拡大が広がる中、生徒とその大切な人たちの命と健康を守ることを最優先に、卒業式や入学式の規模を縮小し、生徒たちの登校も制限しました。

ただし、全国一斉に休校が要請された後も、新陽の学びが止まることはありませんでした。ゆたかさんが校長になってからICTの活用を教職員も生徒も進めてきたおかげで、オンラインでの授業やホームルームが可能だったからです。(新陽のDX:デジタルトランスフォーメーションについては、また後日触れます。)

そして、校訓「自主創造、この道は自ら拓くべし」の精神と「本気で挑戦する人の母校」のカルチャーが浸透していたからだと思います。できない理由を考えるよりもどうやったらできるか考える、そういう姿勢が新陽にはある気がします。なお現在は、分散登校で密を避けながら、対面とオンラインのハイブリッドでの授業を展開しています。

近隣の高校が全面登校や行事開催している中、活動が制限され高校時代の貴重な思い出が作れなくて残念に思っている生徒もたくさんいると思います。それでも学校の判断を受け入れ、コロナの感染拡大状況に合わせて変わる対応策に臨機応変に行動してくれている生徒たちのおかげで、新陽ではクラスターが発生していません。この尊い行動に心から敬意を表したいです。

校長を拝命してから、自分ができることはなにかずっと考えていました。63年の歴史と伝統、そして前任のゆたかさんをはじめ、歴代の校長や教職員が培ってきたものを引き継ぐ責任の重さも感じています。

とは言えやってみないとわからないのも本音。とにかく私自身が挑戦することから始めてみます。実は、We-Steins代表や非営利法人での役職を残したまま、軸足を新陽に置くつもりです。学校での新しい働き方や社会との繋がり方を自ら探究するためです。まずはいろいろな業界や職種を越境してきたキャリアを活かして「 #複業する校長 」の道を切り拓いてみようと思います。

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ここまで、長文にお付き合いいただきありがとうございました。

次回以降は、徐々に生徒たちの様子もお伝えしていければと思います。どうぞお楽しみに!


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(写真)福島出向時代の上司・秋保さんとゆたかさんと一緒に、双葉郡大熊町前教育長の武内先生を囲んで。

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