本気で挑戦している人に出会える学校 【週刊新陽 #57】
今年のゴールデンウィーク、皆さんはいかがお過ごしですか。
10連休という方もいるようですが新陽高校はカレンダー通り。5月2日(月)と6日(金)は登校です。
そんな連休中日(なかび)の5月2日、2年生が進路活動のスタートを切るために企画された校内イベントが行われました。
13者13様のキャリア
日頃から、SDGsなどのテーマに基づいた講演会が開かれたり、外部の方が来校した時にホームルームでお話していただいたり、多様な大人に会える機会が多いのが新陽の特徴。
中でも「新陽ならでは」と感じるのが、キャリアガイダンスです。
昨年まで、探究コースで開催していたこのイベント。今年は3コースの2学年全員と探究コース3学年の総勢260名ほどの生徒向けに、対面とオンラインのハイブリッドで実施されました。
講師は、先生たちが生徒に会わせたい友人や知人、生徒が興味を持ちそうな生き方をしている人、普段なかなか知るきっかけがなさそうな職業の方など、新陽のネットワークで繋がった多彩な13名。
生徒は、事前に共有される講師の情報をもとに自分が話を聞いてみたい2人を選んで、当日そのセッションに参加します。多様な顔ぶれの講師陣に、どの2人に絞るかきっと悩んだことでしょう。
1セッションあたりの生徒数は10〜30名程度と少人数。なかには対話型のセッションにしてくださる方もいて、近い距離で「その人となり」を感じることができるのもこのガイダンスの魅力です。
大企業にお勤めの方や起業している方など生徒からはすこし遠い存在の一見「すごい人」も、その人が直接語るストーリーには、実は大失敗したエピソードや葛藤があったり、まだこれから挑戦しようとしていることがあったり、「ひとりの人」の生き方や働き方のドラマが詰まっています。
いくつか教室を覗くと、笑ったりメモを取ったりしながら、ときに和やかに、ときに真剣に、それぞれの感じ方で講師の方からのメッセージを受け取ったようでした。
校長プレゼンツ・進路ワークショップ
「キャリアガイダンスを2学年全員でやろうと思っていて、その週を生徒が自分の進路について考える『進路ウィーク』にしたいんです。校長のワークショップをやってもらえませんか。」と熊谷沙織先生に相談されたのは数ヶ月前。
「よろこんで!」と引き受けたものの、任されたのは月曜日の1・2時間目(3・4時間目がキャリアガイダンス)。どんな時間を過ごしたら生徒一人ひとりにとって充実したキャリアウィークの始まりになるだろう、と悩みましたが、結局、いろいろな視点から「自分」を考えるようなワークショップにすることにしました。
チェックインを兼ねた最初のワークは、それぞれ将来についてどう考えているか。5つの質問に答えてもらいました。
将来は・・・楽しみ/不安?
働くことは・・・楽しそう/たいへんそう?
将来やりたいことが・・・ある/ない?
高校卒業後の道は・・・決まっている/まだ決めていない?
今、夢中になれることが・・・ある/ない?
Yes or Noの2択でなくグラデーションで回答できるようにしたところ、いちばん端のほうに立つ生徒もいれば、真ん中でも端でもない微妙な位置に留まる生徒も。
友達と一緒に移動したり、行ったり来たりしてなかなか決まらなかったり、悩みながら答えてくれている様子が壇上からも見えましたが、生徒たちも、他の子がどう動いているか自分と見比べていたようです。
そのあとはプレゼン。まずは、私の社会人になってからのキャリアを紹介。様々な業種・職種を経験してから校長になったことや、自分のビジョンと新陽のビジョンをつなげて説明した後、突然、2学年担当の先生たちにマイクを渡して「なぜ新陽の教員になったか」を話してもらいました。
担任の先生でも「なぜ教員になったか」は意外と知らないもの。また、今は同じ職場で同じ仕事をしている先生たちも、その道を選んだ経緯や思いはそれぞれ違うことが分かったのはインパクトがあったみたいです。
***
後半は、半分は校長として、半分は24年間いろいろなキャリアを歩んできた一人の社会人として、キャリア観の話を。
キャリアの語源は「轍(車輪の跡)」とも言われていて、つまり結果として自分の後ろにできるもの。これから先のキャリアに「こうでなきゃいけない」とか、思い描いた通りに進まないと失敗なんてことはない。
だからみんなに知っておいてほしい3つのこと。
そして、「これから皆は、将来や進路を具体的に決めていくなかで、どんな仕事に就こうか、どの学校や学部に行こうか考えると思う。そんな時こそ、なった先の自分がどうありたいかという視点を持ってほしい。」と。
最後の15分は4人一組になって感想をシェアしながら、「どういう自分でありたいか」話してもらいました。
誰から学ぶか。誰と学ぶか。
ワークショップとガイダンスの1日を終えて生徒たちが入力した振り返りフォームの回答を見てみると(新陽では、イベントやプロジェクトが終わるごとにリフレクションを行います)、「印象に残っていること」や「進路に活かしたいと思ったこと」など、みんな本当にさまざま。
大人が本気で挑戦する姿に背中を押されたり、様々なエピソードから夢を実現するヒントをもらったり、失敗談や悩みを聞いて安心したというコメントもあり、たくさんの「出会い」があったことが伝わってきました。
そして実は、生徒たちのリフレクションコメントで多かったのが、周りの生徒と自分に関するもの。
例えば、5つの質問について「自分以外にも将来を不安に思っている人がいるんだなと感じた」や、「自分はずっと中間にいたけど、どっちかにはっきり決められる人が多くてすごいと思いました」など。
ワークショップの最後の15分では、「どういう自分になりたいか、グループメンバーの意見も聞けて楽しかった」生徒がいる一方で、「みんなそれぞれ意志とか夢があって、自分が遅れているような気持ちになるなーと思います。」という意見も。でも、そういう生徒も「諦めず挑戦しようと思った」とも書いてありました。
本気で挑戦している人から学ぶだけではなく、本気で挑戦しようとしている仲間と一緒に学ぶから、自分の挑戦を本気で考えることができる、あらためてそんなことを思った1日でした。
そして、本気で挑戦している人から学べるのは生徒だけではありません。私たち教職員も、新陽に関わってくれる方々に刺激を受け、背中を押されています。
今回のキャリアガイダンスの講師をお願いした佐賀の東明館中学校・高等学校の神野校長が、QuizKnockの運営会社CEOの衣川さんを連れて3連休のうちに札幌入りすると聞いて、アウトドアが得意な先生たちが「新陽の本気を見せよう!」(笑)と、当別のキャンプ場でお二人をおもてなし。
お二人のお話を聞かせていただいたり、私たちの今やっていることや、これからやろうとしていることなどお話したり、夜中までたくさん語り合いました。
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