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生徒自治の学校を目指して〜第63期生徒会執行部リフレクション録 【週刊新陽 #79】

先週の水曜日、新陽高校の生徒会役員選挙がありました。そして今週、10月5日(水)に行われた後期始業式の中で第64期生徒会役員の認証式があり、前執行部から新執行部へバトンが渡されました。

今号は、「生徒自治」を掲げて生徒会を牽引した第63期執行部のメンバーの1年間をお伝えします。

新陽の生徒会活動

生徒会とは、新陽の全生徒が参加している一つの自治体です。

校内活動・教育課程・課外活動のすべてが生徒会活動ですが、特に行事等の実施が新陽の生徒会のメインとなっています。

《新陽の主な生徒会活動》
4月 新入生歓迎会
5月 壮行会、生徒総会
7月 新陽祭(学校祭)(※)
9月 体育祭(※)

(※)それぞれ『週刊新陽』note記事があります。

生徒会は生徒全員が会員であり、執行部(役員)は会員をまとめ生徒会活動を運営する最高執行機関。会長、副会長、会計、書記の4つの役職の全7名が様々な行事の企画運営を行ったり、学校をより良くするためにどうすればよいか考えたりします。

約700名の生徒を擁する新陽の生徒会を束ねるのはそれだけで大役ですが、第63期執行部は、コロナ禍での活動が見直され様々な行事が対面スタイルに戻るなか「3年ぶり」の大規模な学校祭や体育祭を率いるという大きなミッションを遂行し、さらに「生徒自治」をあらためて掲げて「自分たちで自分たちの学校をつくる」ことに取り組みました。

就任後、玄関すぐのホールに掲示されていた
執行部メンバー紹介イラスト
最大のイベント、新陽祭は大成功!
行事委員や美化委員も協力してくれました。

あこがれの生徒会執行部

そんな第63期執行部にあこがれて、今回の選挙で役員に立候補した生徒もいます。後輩から慕われ先生たちの評価も高いメンバーですが、本人たちはこの1年をどう感じているのでしょう。

退任を間近に控えた9月17日、最後のリーダー研修をやっているというので会場の紅櫻公園に押しかけ話を聞かせてもらいました!

【会長・田浦彩也香さん(3年)】
この1年で、自分自身がめちゃくちゃ成長したと実感しています。

実は執行部に入るのを一度あきらめているんです。でも、とにかく誰かのために何かをやりたいという想いが消えなくて、会長の席があいていた(候補者がいなかったため候補者受付期間が延長された)ので「この機会は逃しちゃいけない」と立候補しました。

以前はプレッシャーや多忙なことがストレスになりやすかったのですが、かなり強くなったと思います。今では多少なにを言われても平気です(笑)。

でもそれは自分一人で成長したのではなくて、執行部のみんながいたから。学校の変化に対して執行部も変わらなきゃいけないという意識を、みんなが持ってやってきた気がします。

結成当時、2年生が2人で残りは3年生と学年が偏っていたことや、部活をやっているメンバーがなかなか会議に参加できなかったことから、どうやったら繋がりを強められるか考えました。私自身、堅苦しい雰囲気だと壁ができてしまうタイプなので、2年生にも「タメ口でいいよ」と。最初は敬語が取れませんでしたがだんだん壁がなくなっていって、今は私がイジられてます(笑)。

執行部の活動は、意外と地味な仕事が多いし他の生徒からの要求もいろいろ受けるので決してラクではありません。でも「たいへんだけど楽しい!」ことをみんなに知ってもらいたいと思います。

この達成感はやった人にしか分からないので、64期の執行部メンバーは諦めずに最後まで頑張ってほしいです!

【副会長・伊藤瑞樹さん(3年)】
私は、今期メンバーのうち唯一の執行部経験者でした。去年は生徒会長の堺田先輩をはじめ皆さん優しくて仲の良い執行部でしたが、全員が馴染むのは今年のメンバーのほうが早かったように感じています。

新陽祭の時には完全にまとまっていたんじゃないでしょうか。学校祭を成功させようという責任感が強く、自主的に遅くまで残ったり夜にもオンラインで打ち合わせしたりしていました。

そんな中、コパイロツトさんの定例ミーティングはすごくためになったと思います。学校の役に立てたらいいなと活動しましたが、結局自分のためになったことが多かったですね。

ビジョンを掲げ目標を立てて、活動を作っていくことが楽しいと思うようになりました。それに他人の苦労が分かるようにも。たとえば体育祭のとき、体育委員は種目や役割を決めるために動いているけどその頑張りは周りの生徒からは見えません。でも今年は体育委員の立場を想像しようとする自分がいました。以前は自分が楽しいか楽しくないかだけで、運営側の苦労は他人事でしたから・・・。広い視野で全体を見てビジョンを実現するような仕事をしたいと思うようになったので今後経営を勉強したいです。

【副会長・片桐鼓さん(3年)】
とにかく明るくて、個性の強い執行部メンバーだったと思います。最初に全員で集まった時はお互い話せないくらい静かだったんですけど(笑)。私も(田浦)さやかしか知らなくて、そもそも人間関係が広いタイプではないので、どうなるんだろうって思ってました。

でも、だんだん仲良くなって、やっぱり新陽祭に向けたプロセスの中で結束が完全に強まりました。学年が違う(大竹)まひろと夜中までオンラインで話していたこともあります。

執行部はコースも学年もばらばらのメンバーで、その繋がりから知り合いも増えました。友達が増えたこと、そして執行部の仕事を通して企画力やまとめる力がついたことなど、とにかく役員をやって良かったと思っています!

【書記・石井日向さん(3年)】
自分にとって執行部は居場所でした。友人でもあり仕事仲間でもあるような、そういう関係性を高校生のときに経験できたのは大きかったと思っています。

執行部はいろいろなコースから集まっているし個性も強いので、最初は正直、壁を感じるメンバーもいました。でも新陽祭に向かっているうちに、自然とその壁が崩れて。意識してそうなったというよりは気付いたら仲間としてまとまっていた感じです。63期執行部は、色で例えると白っぽくもあり黒っぽくもある。それぞれだと意志が強い「黒」で、全員でいると他を受け入れるまっさらな「白」、みたいな。

新陽の生徒も学年や性別、個性はみんなばらばら。その生徒みんなの共通点をどう見つけるか、その共通に向けてどう盛り上がれるか調整していくのが執行部の仕事だったと思います。

でも、まとめきれなかった部分もありました。この経験からもっとコミュニケーションを学びたいと思うようになりました。解決できなかった課題に向き合い、成長したいです。

【会計・増元麻莉亜さん(3年)】
私は剣道部に入っていて部活が忙しかったので、生徒会室に行けなかったり執行部の会議にもなかなか参加できませんでした。そのうち他のメンバーは仲良くなっていて、ますます行きづらくなっていたのが本当のところなんです。

とは言え新陽祭の準備が始まり執行部全員いても足りないくらいだったので、部活を引退してからちゃんと行くようになりました。でも、なにをやって良いか分からないし、そこまでの経緯が分からないので発言もしづらい。そんな時SuperGoodMeetingsを使ってプロジェクト推進するようになって、自分たちがなにをすべきか目に見えるようになったのは大きかったです。

自分のタスクが分かるようになると、声をかける時も「なにをすれば良い?」から「これ、こうでいい?」という質問に変わりました。主体的に取り組むとみんなともコミュニケーションを取りやすくなって、さらに「手が空いたけど、これやろうか?」と他のメンバーのタスクもサポートできるように。

自分事として捉えるとコミュニケーションや関係性が変わることを実感したので、この経験を活かしていきたいです。

【会計・大竹舞洸さん(2年)】
16年生きてきて、一番成長できた1年だったと実感しています。それは間違いなく執行部の先輩たちのおかげです。

中学まで部活も委員会も習い事もやったことがなくて、先輩と関わるという経験がありませんでした。高校に入って最初に行事委員になり、昨年、友達に誘われて役員選挙に立候補しました。友達は落選してしまって、一人で執行部に入ることになり、人前に立つことが実は苦手だったので不安はありました。

でも先輩たちが声をかけてくれてコミュニケーションが取れるようになったし、困っていたらいつでも助けてくれる人がいる環境のおかげで、自信が持てるようになりました。執行部に入って本当に良かったです。

性格上、自分で動かなかったら何もせずにだらだら過ごしてしまうタイプなので(笑)、1年で成長できたならもう一歩前に進みたい、と思っています。今度は生徒会長として、みんなが楽しく安全に過ごせる学校を作りたいです。(大竹さんは今回の選挙で生徒会長に立候補。念願かなって友人の鈴木慶人さんと一緒に第64期執行部となることが決まりました。)

左から、片桐さん、増元さん、田浦さん、
大竹さん、石井さん、伊藤さん

「生徒自治の学校へ」

最後に、今年4月から生徒会を担当しているCC(Communication Center)の細川先生にコメントを貰いました。

CC生徒会担当・細川凌平先生】
今年度、生徒会顧問を務めるにあたり「生徒自治」をビジョンに掲げました。これは生徒たちが「自分の学校は自分で変えていく」というマインドを持って行動し続けて欲しいという思いからです。このビジョンの実現に向けて、第63期生徒会執行部と半年間ではありますが歩んできました。

生徒自治の学校を目指し、まずは執行部の生徒と「委員会の活性化」と「生徒WG(*)の設立」に着手し、生徒が活躍できる場、やりたいことを実現できる場をつくっていきました。学校祭の近くになると執行部が学校祭WGを設立し、業務の内容も募集要項も執行部が決め、一から十までWGのマネジメントを担っていました。

そして何と言っても、学校祭の運営が執行部の生徒を成長させたと思います。株式会社コパイロツトさんに協力をいただき、3月から学校祭のミーティングをはじめたのですが、最初は出席率も悪く、アウトプットの中身も満足とは言えない状態でした。途中で「生徒自治はまだ早かったかな」「生徒がプロジェクトマネジメントを行うのは無理があるかな」と思い、何度も会議の形式を変えようか悩みました。

ただ、そこから1ヶ月が経った学校祭直前のミーティングでは、生徒が自らファシリテーションを行い、効率的にそして深い内容で会議を進めていました。また、学校祭当日も、執行部の生徒が大人顔負けのスキルを発揮し、学校祭を引っ張りました。2日間を通して私がマイクを握ったのも、最後の時間(執行部の生徒が全員、壇上に上がったタイミング)のみ。全ての内容を生徒が主体的に動かしていました。

(コパイロツトさんのブログにて、プロジェクトマネジメントへの挑戦を詳しく記録していただいています▼)

半年間だけだったのですが、教員と生徒という関係ではなく、同じ業務を担う「仕事仲間」として、いつの間にか生徒と関わってました。どんな仕事でも的確に、そして丁寧に処理することができ、安心して執行部に仕事を任せることができました。まだまだ第63期生徒会執行部と一緒に仕事をしたい、と思えるくらい、素晴らしい7人のメンバーでした

この半年間の活動によって、生徒にも教職員にも「生徒自治」という言葉が浸透してきていると感じてます。ここからは新執行部とともに、ビジョンの更なる実現に向け、そして誰がどう見ても「生徒自治の学校」だと胸を張って言えるような学校づくりをしていければと思います。

ここからが大事な時期になってくるので、63期からの大きなバトンをしっかりと、64期の執行部と共に未来へと繋げたいと思います。

生徒WG(ワーキンググループ)とは:
2022年度の生徒会では、教育目標の達成のため、生徒が様々な学校活動に関わり生徒の個性や強みを活かせるように、プロジェクトワーキンググループを生徒会組織図に置きます。生徒会執行部が、委員会の枠を越えて活動したいプロジェクトを立ち上げ、生徒会担当教員が適宜サポートしながら運用していく形式とします。また、この動きに合わせて、例年募集しているオープンスクールアンバサダー等のCC(コミュニケーションセンター)所管で募集予定のプロジェクトもWGとし、同時期に生徒へ募集を開始していきます。

【編集後記】
認証式当日、第64期執行部の生徒たちがそれぞれの役職のバッジを細川先生から受け取り、役員としての責任と誇りを感じているように見えました。これから「生徒自治」の学校を作っていってくれる7人に期待が高まります。

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