小林 暢子(EY Japanパートナー)

EY Japanでパートナーを勤める戦略コンサルタントです。世界の流れが大きく変わる今、「一見変わらない日本」がどう変わるのか、日本人がどう生きるかに興味があります。コンサルタントの現場感と外からの視点を大切に、幅広いトピックを扱います。

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      日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

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    ポスト・コロナと喜ぶ前に

    政府は今春から、感染症法の分類上、新型コロナウイルスを季節性インフルエンザと同等の「5類」扱いに移行する予定だ。この措置により、濃厚接触者の待機は自主判断となり、「コロナといっても、まあ風邪みたいなものでしょう?」という楽観が当たり前になるだろう。 経済再開に気をもみ、コロナ明けを喜ぶ気持ちは十分わかるものの、パンデミックを「なかったこと」にすることはできない。特に、自然災害の爪痕とは異なり、一見、傷跡が見えにくいからこそ、これから政府、企業、個人のレベルで注意と養生が必要

      • 「女性化する社会」と男性の生きづらさ

        ジェンダーをめぐるアジェンダは、有形無形の差別により社会の傍流に押しやられる女性の視点から語られることが圧倒的に多い。その一方で、経済教室「『らしさ』の呪縛 解き放て」が指摘するように、ジェンダー規範に縛られる男性の生きづらさは見過ごされがちだ。この課題を正面から見据えて、教育を含めた長期的な政策を立てることが必要だろう。 経済教室では、男は「競争に勝つべき」「妻子を養うべき」「弱音を吐かない」などの固定的な「男らしさ」を具現しようにも、社会・経済構造の変化から上級ポストが

        • 日本の得意なローカリズム

          2022年を振り返ると、世界の「動」と日本の「静」との対比が際立つ。例えば、パンデミックからいち早く抜け出そうとした西欧や出口を求めてもがく中国に比べ、日本の情勢は良くも悪くもゆっくりしている。 このことから「変わらない」または「変われない」日本を嘆くことは易しい。しかし、悲観論がまん延する一方で、実は日本の静かな底力をもっと見直してもよいと思う。緩い全国のつながりを持ちながら各地域に深く根差した「ご近所経済圏」とでも呼べるエコシステムが、パンデミックにも不況にもめげずに活

          • DiversityからDE&I、そしてその先は?

            ダイバーシティ&インクルージョン(“D&I”)という概念が、産業界の表舞台に登場して、久しい。組織の多様性を経営に生かすため企業でも盛んに取り上げられるし、啓発セミナーの類いは枚挙にいとまがない。 特にD&IのI, インクルージョンが大切だと言われている。多様性だけあっても、少数派が包摂されず、その視点が活かされないなら片手落ちということだ。確かにその通りなのだが、個人的に「インクルージョン」という言葉にかすかな違和感を持つ。 違和感の奥底を探ってみた。まず、インクルード

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            戦略的リサイクリングの時代

            コンサルティング会社のメニューには、「戦略的調達(ストラテジック・ソーシング)」という、地味ながら手堅い一大分野がある。私自身、何度かプロジェクト経験があるが、単価をベンチマークと比べながら長年の業者との付き合いを外からの目で見直し、場合によっては新しい調達先を開拓する仕事だ。 製造業でいうQCD(クオリティー、コスト、デリバリー)を最適バランスにすることが目的だが、どうしてもコストに対する意識が最も強くなる。自然とソーシング・プロジェクトの成果は、コスト減という形で測られ

            ギフテッドを生かす日本に変われるか?

            中学校の教室で先生の説明を遮り、より汎用(はんよう)性の高い高度な公式を使って、他の生徒がぽかんとするのを尻目に、すらすらと数学の問題を解いて見せる―こんなとがった才能を持つ子どもは、時々いそうだ。しかし、天才は人付き合いや世渡りが苦手なことが多いこともままある。年配の知り合いからは、こんな同級生が「結局、ホームレス同然になっていた」というようなホラーストーリーを聞くことがある。 日本で、「ギフテッド」と呼ばれる特異な才能を持つ児童生徒への支援策が23年度から始まる。長らく

            グローバリゼーションは内から崩壊するのか?

            戦後75年以上という時がたった今、日本社会の中枢にいる大人にとって、グローバリゼーションの進化は、まるで時の流れのように不可逆なものと捉えられてきたはずだ。輸送技術とコミュニケーション技術が進化し続ける結果、世界はよりフラットに、より平和になる・・・はずだった。   ところが、パンデミックとロシアのウクライナ情勢を機に、私たちは急に「グローバリゼーションの逆回転」に直面している。自由貿易を通じたサプライチェーンの最適化よりも自国や同盟国の中でチェーンを終始することが重視され、

            調達は地味だが、役に立つ

            経営トップが、営業秘密にあたる仕入れ情報を、競合会社から不正に持ち出したとされる事件で、調達という普段は日の当たりにくい業務が、クローズアップされている。 調達は、経営にとって、地味ながら重要なレバーだ。苦労して売り上げを上げても、変動コストがあるので、売上増加分がそのまま収益増加になるわけではない。しかし、調達コストを下げれば、そのままボトムラインに効く。また、企業にとって、顧客に対してよりサプライヤーに対する方が、強い態度で交渉に臨みやすい。あまり知られていないが、調達

            男女間賃金格差の開示を機に、女性の労働を適正に評価しよう

            私が米系ファンドのアナリストとして、日本株の分析を受け持っていた2000年代終わりから2010年代にかけて、投資対象として「割安株」を探すことが大きな命題だった。 割安株とは、事業の将来性やバランスシート、類似企業の評価から割り出す「本来の価値」に比べ、市場での「時価」が大きく劣るものを指す。そのような株こそ「お買い得」であり、私たちが投資した後に、市場がそのディスカウントに気が付きさえすれば、株価は必ず本来の価値に近づく、すなわちリターンが生まれるという理屈だ。 この割

            「静かな退職」が問うこと:仕事にパーパスは必要か?

            パーパス(目的)が、企業経営の根幹として見直されたのは、新型コロナウイルス感染症前からだった。 社会に新しくモノやサービスを生み出すこと、すなわち企業活動そのものが当たり前に是(ぜ)とされていた高度成長期と異なり、成熟した経済の中で資本主義の行き過ぎを是正し、世の中を良い方向に導くことが企業にも求められる時代となったことが、パーパス重視の背景にある。 もちろん、企業活動の土台をなす資本主義の根幹は不変のため、社会的な公義に重きを置くパーパスと、利潤と成長を求める営利活動の

            ダイバーシティは「個」の単位へ

            私を含め現代日本を生きる大人にとって、自分の生きてきた、たった数十年間の中で大きく変わったことのひとつに、「世の中こうあるべし」という規範が崩れたという事実があるのではないだろうか? もちろん、法の枠組みはあるし、善悪の基準もある程度存在する。しかし、就職先を含む暗黙の序列や社会が目指す将来像は、格段に曖昧になったと感じる。日本の中でさえ異なる価値観が混在し、もはや何が主流なのか定かではない。 この変化には、インターネットの普及とそれに伴うメディアの変化が大きく寄与してい

            世界5都市を回って感じた東京の強み:開かれた移動

            たまたま仕事が重なり、7月に3週間で5都市――ローマ、パリ、ニース、ニューヨーク、サンフランシスコを、駆け足でめぐることになった。パンデミック(世界的大流行)が始まった2020年以来、長期の海外出張とはご無沙汰だったため、かなりの「リベンジ出張」だ。 日本と比べると格段にゆるい欧米のコロナ対策に驚き、すぐに慣れ、移動を重ねながら、徐々に旅の勘を取り戻せたと思う。リモート勤務に慣れると、日常の風景が自宅から半径2キロ圏内にとどまり、単調この上ないものとなってしまう。その点、2

            表面的な「スキル」より、基礎体力が大切

            私が物理学専攻の修士課程に在籍した二十数年前、シミュレーションを行うプログラムはFORTRANという言語で書かれていた。仕方なくFORTRANの基礎を学んだわけだが、もちろんその後、直接的に私にとってはまったく役立たない「スキル」となった。履歴書に記すこともない。しかし、プログラムを組む基本的なロジックや作法をなんとなく体得したおかげで、もしいま新しく学ぶとしたら、「付け焼き刃」アプローチで応用が利くと期待する。 このように、個別のスキル自体が古くなっても、その背後にある考

            ニースにて「観光」を考える

            安倍元首相が凶弾に倒れるという衝撃的なニュースを、出張の合間に訪れた南仏ニースで受け取ることになった。ご冥福をお祈りする。 アベノミクスに並ぶ元首相の功績のひとつは、訪日観光の振興と言われている。パンデミック(世界的大流行)前の2019年には、最高のインバウンド旅行客数3,200万人を記録した一方で、京都など人気の高い観光地ではオーバーツーリズムの弊害が顕著になった。 ニース、カンヌ、サントロペなどの南仏海岸都市は、長くツーリズム命で栄え、世界の「観光ベストプラクティス」

            値上げが示す、日本の進むべき道:豊かな地産地消

            今月半ばにビジネススクールの同窓会で訪れたボストンでは、食事からガソリンまで、現地の価格高騰に驚かされた。さらに円安の折、円換算するたびに軽いめまいを感じていたため、帰路の成田から東京駅までのバスが1,300円という良心的な運賃に、しみじみ帰国したありがたみを感じた。 とはいえ、国内でも4月の消費者物価指数が7年ぶりに2%を上回る上昇率を記録し、食品やエネルギー価格を中心にじわりと値上げが体感されている。値上げの背景を振り返ると、いまを転換点として、値上げ基調が続く可能性が

            意志を伴う「キャリア漂流」のすすめ

            6月も半ば―4月入社の新入社員がそろそろ落ち着く頃だろうか? 実態は、落ち着く人もいれば、ミスマッチを感じる人も少なからずいる。実際、2021年の調査によると、入社後約半年で転職志向を持つ、あるいは離職したと回答した人が4割にものぼったそうだ。 終身雇用がほぼ崩れた今、普通に頑張れば会社が一生キャリアの面倒を見てくれるだろうという甘い期待は持たない方が良い。一方、雇用の流動性が増したので、何度か転職することも十分に可能だ。しかし、選択肢が広がるだけ、キャリアパスは果たしてど