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エコ不安の現状:私の身の回り

エコ不安に関する研究報告がこの5年で沢山出てきて、その量はメタ研究できるほどにまでなってきた。でもそれは数字上の話。
ある番組からエコ不安に関する取材を受けるのをきっかけに、身近にいる人に質問してみた。

近所の子

うちの子供2人、子供と同じ学校に通う子、近所の子、友達の子供、11才から16才の8人に、「気候変動って心配?」って聞いた結果がこれ。7人はYes、1人はNo。その内一人は憤りを感じる話しぶり。「自分の生活に問題が出るほど心配?」と聞いたら全員No。「友達と気候変動の話題って出るの?」と聞くとNoと言った1人以外はYes。「気候変動に関して何かしているの?」と聞くと、身近なところではリサイクル、関心のある子はデモに参加したことがあるとのこと。

大人

たまたま話す機会のあった大人6人に聞いてみたら全員「心配している」でも生活に支障は果たしていない。もう少し話してみると、その思いは様々。
1人は5年前の山火事までは、「気にはかけていた」程度だけど、親族の家を火事で失ってからは「非常に心配している」という。このあたりは山火事の被害が大きかったので、同じ思いをしている人に私も何人もあったことがある。

1人は山火事の多いこの地域から、子供を安心して育てれる環境へと引っ越しをした。けれども引っ越し先で観測史上初という大雪の被害に合い、気候変動の影響から逃れられない悲しさを感じていた。

もう一人は科学の先生で、正しい科学の知識を教えることが、気候変動の中で生きていく子供たちのためになると思い、一層力を入れているとのこと。

セラピーの場

セラピスト仲間のメーリングリストで「エコ不安を抱えたクライアントさんを診ていますか」と聞いてみた。するとすぐに数人からYesとの返事が来た。

山火事の後遺症(PTSD)とも思われる人もいれば、もとから心配性の人もいる。それ自体は驚くことではない。けれど今までと少し違うのは、これから世の中が悪くなるとしか思えないので、子どもをもつのをやめるという20代から30代のクライアント。

アメリカではこの数年で人種差別、銃乱射事件、そして中絶禁止など、一人の努力ではどうしようもない社会問題が一層浮き彫りとなった。それらがセラピーの中で出てくることはよくある。セラピストの私としては、エコ不安は個人の中でだけ起きているのではなく、ほかと同じように社会問題の反映として捉えるのが一番しっくりくる。

「エコ不安」の治療がフォーカスではないので、その人達にするセラピーの内容は様々。それでもおうおうにして含まれるのは、その不安と向き合う事、そして今ここにある安心、安全、美しい自然、人とのつながりなどをしっかりと感じること。そして宇多田ヒカルにもうたわれた二―バーの祈り「変えられるものを変える勇気、変えられない事を受け入れる心、そしてその二つを見分ける知恵」に向かう。

生活の場

セラピーはもともとなんらかの悩みを抱えてはじめるけれど、クライアント以外の一般の人でもクライアントさんと似た思いをしている人と結構であう。

自然が豊かなこのあたりは、大きな庭を持ちガーデニングを楽しむ人も多い。けれど長年続く干ばつで、先月には商業でない人は種や苗を新たに植えてはいけない、そして芝生に水をあげてはいけない、プールを持っていても水を足してはいけないという条例が出た。「シャワーは5分まで」のコンセプトを広めるために町役場が防水5分タイマー(写真)をイベントで配っている。

楽しみにしていた事が段々と制限される中で、ストレスが高まる人も増えてくるだろうと思う。コロナ禍が続くなか、窮屈さに我慢できなくなった人がいるように、これからは気候変動に関わるストレスが増えていくんだと思う。

だからこそ、ストレスとの上手な付き合い方や、変化していく世の中での新しい楽しみを見つけていくことが大切になると思う。


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