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気づけなかった




ひしゃげてバラバラになったガードレールが
赤い三角コーンに挟まれ黄色いテープを貼られてそこにあるのに
出かける時には気づけなかった
そこは駅に向かって少し急ごうかと気合を入れる場所
踏切ももうすぐ見える 
前ばかり見て進む場所

帰り道、反対側の歩道から見えてぎょっとした
事故はいつあったのだろうかと
こんなにひしゃげているものに気づかなかったのか

二日ほど後で、同じ道を同じように通ったが
やはり目に入ってこなかった
電車の時間が決まっていれば前しか見ないのである
歩く人が他にいればさらに

帰りにも気づかなかっただけで
もう何日もあんなふうにひしゃげたままなのかもしれなかった
人は気づかず気にせず生活している


さらに数日後
電車の時間を決めないで歩いてみたが
見ようと思わなければ探せないのだった
帰り道も
足元しか見ていなければ見つけられない


そんなふうに見えないもの 見えていないものが
どれほどたくさんあるのだろうか


ずいぶんなぶつかりようだったと思う


☆ 前回書いた後、何とも言えない気分だったので何回か検証。
 余裕があるはずの帰り道でも、見ようとしなければ見えなかった。
 
 そんなもんだよねー という軽い見方もできるが
 虐待だのなんだのも見えなかったりするんだろうな と
 重くとらえることもできて、複雑。




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