おおいに曇り

朝、彼が私の家を出るとき、机の上に飲みかけの缶チューハイが残されていた。
もうそれいらないからあげる。とまだ寝ぼけた私に彼は言う。
パッケージには緩やかなフォントでアイスティーサワーの文字。彼の伸びきった髭には似合わないななんて思いながら、2/3ほど残った缶に口をつける。

ぬるくなってしまったお酒。
気持ち悪いレモンの香りが鼻から抜ける。
また布団の中に潜る。彼の匂いとお酒の匂いが混ざり合う。私はどうしてか面白くなって一人で小さく笑い声を上げた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?