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NPO しんぐるまざあず・ふぉーらむ 事業報告書 令和3年度の助成金支給実績のおかしな点


はじめに

先日ニュースでも報じられた「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の元職員の会計不正が発覚した件について

Twitter(X)にて事業報告書を読み解いてきました。
前回は令和3年度事業報告書の支援費について投稿しましたが、

今回は助成金支給実績の内容についてアニュアルレポートと比較して検証していきたいと思います。
タイトルの通り、助成金支給実績がおかしなことになっているので、そこを見ていきたいと思います。

助成金支給実績

しんぐるまざあず・ふぉーらむの助成金支給実績は東京都のNPOサイトに掲示されています。

事業報告書は令和5年6月30日に差替えられていますが、助成金支給実績は同じタイミングで差替えられていません。
それはそのはずで、前回も話をしました通り、事業報告書が差替えられた際に1億9千万円追加されたのは支援費で、支払助成金は変更がありませんでしたので、助成金支給実績は差替えは発生しないはずですから、当然ではあります。

なお、「助成金支給実績」は助成金の支給を行った団体は報告が義務付けられています。

助成金の報告

なので、東京都のNPOサイトに掲示されています。

アニュアルレポート

また今回は令和3年度の同団体のアニュアルレポートと比較していきます。
アニュアルレポートは以下リンクから確認できます。

https://www.single-mama.com/wp/wp-content/uploads/2022/07/SMF_2021_All_0708_01.pdf


それでは、次項から令和3年度の助成金支給実績とアニュアルレポートを比較しながら見ていきましょう。

令和3年度の助成金支給実績

0.助成金支給額実績の「@」の使い方

まずは重箱の隅的な話ですが、全体的に「@」の使い方がおかしいんですよね。「@」は会計では通常「単価」に対して付与するものです。

「@」の使い方

でも、何故か解りませんが「人数(世帯)」の前に「@」を付けるという謎仕様。
いちばん上の「年越し応援するよ!プロジェクト」で記載するなら
「@20,000円 2400世帯」 または
「2400世帯 @20,000円」
になると思いますが・・・。

まさかとは思いますが・・、「@」を「×」と勘違いしていたりしませんかね? 
大丈夫かな・・・。
その不安は後述からどんどん膨らんでいくことになるのですが・・。

1.新入学お祝い金

新入学お祝い金ですが、アニュアルレポートを確認すると

新入学お祝い金 アニュアルレポート

①1598人に贈呈されたお金が¥68,950,000-
②90人にバックパック
③21人にランドセル
④75人の¥3,000-のQuoカードを贈呈しているようです。

一方で、助成金支給実績を確認すると
①1598人に贈呈されたお金が¥61,895,000-
②90人の¥5,000-がバックパック
③22人の¥33,000-がランドセルだとすると
④75人の¥2,000-がこれがQuoカードかな?

新入学お祝い金 助成金支給実績

そして、記載されている金額をすべて足すと¥63,221,000-でアニュアルレポートで1598人に贈呈した¥68,950,000-とだけと比較すると、約570万円不足していますね

また個別にも、アニュアルレポートではQuoカードは¥3,000-ですが、助成金支給実績では¥2,000-で、1,000円違いますね。
額面が違っているから受け取った人からの指摘とかありそうですが、どう対処したんだろうか・・。

また、③ランドセルの人数もあってないですね・・・。

2.高校生応援するよ!プロジェクト

高校生応援するよ!プロジェクトですが、アニュアルレポートを確認すると

校生応援するよ!プロジェクト アニュアルレポート

1606人に1人3万円で¥48,180,000-助成していることになっていますが、
助成金支給実績では以下のように記載されています。

校生応援するよ!プロジェクト 助成金支給実績

まず、単純に計算がおかしくて、②ですが
5000円×35人=175,000円
ですよね。何故¥185,500-? 500円単位じゃないですよね・・・。

また、①の1606人に1人3万円で¥48,180,000-以外に②③がありますね。
これはアニュアルレポートにはないですね。
団体HPの2021/9/3のTopic「1606人の高校生に学習支援金をお贈りします!」を確認すると、
https://www.single-mama.com/topics/koukouseiouen/

校生応援するよ!プロジェクト Topic2021/9/3

②選外となった人にクオカードを配っていて、これが5000円分のクオカードなのかな?
で、③「教育費サポートブック」ですかね、
サポートブックは助成金なの?という疑問はありますが・・・。

3.年越し応援するよ!プロジェクト

相談支援事業の「年越し応援するよ!プロジェクト」ですが、アニュアルレポートだと「2446世帯にQuoカード2万円を支援」となっています。

年越し応援するよ!プロジェクト  アニュアルレポート

でも助成金支給実績だと2400世帯にしか配っていませんね。

年越し応援するよ!プロジェクト 助成金支給実績

46世帯92万円分は何処に行ったのかな?

4.令和3年度の厚生労働省ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業

令和3年度の厚生労働省ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業。
これは厚生労働省からの補助事業ですがアニュアルレポートでは23団体¥34,397,000-ですが、

厚労省ひとり親補助事業 アニュアルレポート

助成金支給実績(1・2枚目)だと、23団体で合計は¥33,681,000-ですね。

厚労省ひとり親補助事業 助成金支給実績

見にくいのでExcelにまとめました。

厚労省ひとり親補助事業 助成金支給実績Excel

アニュアルレポートでは23団体¥34,397,000-
助成金支給実績だと、 23団体¥33,681,000-
差額の¥716,000-は何処に?
というか、これ厚生労働省にはどっちで報告してたんでしょうか・・・。

5.だいじょうぶだよ!基金助成金第四次助成先

だいじょうぶだよ!基金助成金は第三次と第四次があって、第三次は問題ないのですが、第四次がおかしくて。
アニュアルレポートでは18団体¥16,224,130-ですが、

だいじょうぶだよ!基金第四次助成 アニュアルレポート 

助成金支給実績だと、17団体¥15,224,130-ですね、

だいじょうぶだよ!基金第四次助成 助成金支給実績 

こちらも見にくいのでExcelにまとめました。

だいじょうぶだよ!基金第四次助成 助成金支給実績 Excelまとめ

1団体100万円違いますね・・・。
アニュアルレポートで、1団体分混じってしまったのか、助成金支給実績の記載漏れなのか・・・。そんな所でしょうか。

ここまで見てきましたが、いかがでしょう?
次項からまとめます。

助成金支給実績とアニュアルレポートとのズレ

前項までの内容をすべて一覧にすると下表の通り。

助成金支給実績とアニュアルレポートの差額

前項までで見た来たものだけでも、アニュアルレポートの金額よりも助成金支給実績が約836万円不足して報告しています。
11/2に団体が発表した使途不明金の総額が802万7603円だったわけですが、上記までに述べてきた金額で既に上回っています。
また、11/2に発表した使途不明金の総額は「2019年度~2022年度」に発生したものと発表されていますので、2021年度の1年だけで既に上回っているということもできます。

もうね・・・。

アニュアルレポートを作成するときに、事業報告書とか会計資料を確認しないんですかね。
金額などの数字は会計資料から普通は持ってくると思うので、こんなにズレることはないんじゃないかなと思うのですが、どうなんでしょうね。
個人的にはここまで来ると、会計担当者一人に任せていたという次元のズレではないと思うのですが・・・。

さいごに

いかがでしたでしょうか?
助成金支給実績の数字を書き起こしている時には「徒労で終わりそうだな」と思いながら進めていたくらいなので、ここまで、そしてこんなに判り易い形で数字がズレているとは正直思っていませんでした。

また、前回も記載しましたが、この助成金支給実績は助成金と支援費がごっちゃになっているのも変な話なんですよね。
何で助成金と支援費が混ぜ込まれているのかは理由は解りませんが、差替えの際に1億9千万円が丸々「支援費」に追加されていたのも、何か意図があったのかもしれませんね。
実際はどうなんでしょうかね。

今回は助成金支給実績をアニュアルレポートと比較したわけです。
既にツイート(Xのポスト)していますが、今回の結果を今度は事業報告書と比較すると、新たなことも見えてきたので、次回は助成金支給実績を事業計画書記載の支払助成金と比較した内容を投稿したいと思います。

という所で、今回の記事はここまでにしたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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