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BONDプロジェクトの事業報告書から見る、東京都の問題点① 「そもそも書類がおかしい」編。

はじめに

Colabo問題にで注目を集める東京都議会にて「都民ファーストの会が『補助によるスキーム(仕組み)を検討すべきだ』などと指摘した。」と報道されました。

これが、元々予定されていたものなのか、colabo問題も絡めての起案なのか意図は不明ですが、同会のおじま紘平議員のツイートによれば「経費の使途がより明確になり、公金支出の透明性が高まる」とあるので、colabo問題も包括した内容なのだとも思われます。

ただ、個人的にはここのスキームを変える以前の所で、東京都は躓いていることに目を向けていただきたいと思い、このnoteを投稿しています。

BONDプロジェクトの事業報告書から

今回のColabo問題の中で登場するWBPCの一角、BONDプロジェクトの事業報告書からその一端を見ることができます。
この事業報告書は東京都のNPOのサイトに公開されている文書なので、誰でも目に触れることができますので、機会があればダウンロードして現実を眺めてみてください。

グダグダな事業報告書

まず、制度云々の話以前に、東京都がBONDプロジェクトから提出された事業報告書をちゃんとチェックしていないことが確定的な内容を2件取り上げます。

バランスしていないバランスシート

貸借対照表はバランスシートと呼ばれますが、資産と負債+正味財産(資本)は同額になる、つまりバランスするからバランスシートと言われます。
なので「資産=負債+正味財産」はバランスシート(貸借対照表)の根幹をなすものなのですが、以下第9期のBONDプロジェクトの貸借対照表。

BONDプロジェクト 第9期 貸借対照表

資産:16,347,581-     負債+正味財産:15,570,827-
見事にバランスしていません。
単純にやり直し、再提出です。
これは特段会計の専門的な話でもなく、各地方自治体の発行する事業報告書の「記載例」に「資産と負債+正味財産の合計は必ず一致すること」とわざわざ記載しています。
しかし、あろうことか東京都はこれを受領し、承認し、東京都のサイトにアップロードして公開しているわけです。
そして、この第9期の事業報告書が2019年の春先にBONDプロジェクトから東京都に提出されているなら。既に4年近いの年月が流れています。

様式のなっていない事業報告書

また、第12期のBONDプロジェクトの「計算書類の注記」の2枚目です。

第12期 BONDプロジェクト 計算書類の注記

パッと見、何が起きたんだというほどの空白ですが、赤く記載したものが本来あるはずのものです。

第12期 BONDプロジェクト 計算書類の注記 本来書かれているもの

これは、子供でもおかしいと気付くレベルのものですね。
通常、こちらも「修正して提出しなおしてください」が、正しい対処法だと思いますが、東京都は受領し、承認し、東京都のサイトにアップロードしていて、こちらも1年近くこのままでした。

しかも、矢印の所を見ていただけると分かりますが、

第12期 BONDプロジェクト 計算書類の注記の下 差替

次ページの財産目録が2023年1月6日に差し替えられていますね。
これは暇空さんのツイートでも話されていた、短期借入金などの氏名を黒塗りまたは点線の表記等に差し替えたのがこの差替日のようです。
つまり、おそらくはBONDプロジェクトからの要請での差し替えは行っているにもかかわらず、肝心のミスの修正などは一切していないというのも窺い知れます。

他にもたくさん・・・。

ここまでは第9期から第12期までの間で、インパクトのあったミスを2件取り上げたというだけで、他にもたくさん間違いはあります。
どのくらいあるかというと
ツイッター:1期分で平均10ツイート分の指摘
note:1期分で平均3000文字サイズの指摘
ができるほどです、件数でいえば7-8件/期 位でしょうか。
noteで各々指摘していますので、もしよろしければどうぞ。

それぞれ、読み応えがあります。
いや、本来こんな内容で読み応えがあっちゃいけないんですけどね・・・。

最後に

いかがでしたでしょうか?
東京都のNPOに対するチェック状況が、如何に制度以前の話になっているかということがお分かりいただけましたでしょうか?
そもそも「チェックをする」という行為を東京都がしていない訳ですから、委託事業から補助金に制度を変えたところで結果は同じになります。
必要なのは、「何故今までチェックできていないのか?」これを深堀して、「どうやったらチェックができるようになるか」を考えなければ意味がありません。スキームはその先のツールに過ぎません。
ではなぜできていないのか、
・担当者の能力の問題なのか
・やりたくてもリソースが足りずチェックが塩漬けになっているのか
・特定の団体からの圧力が怖くて内容に触れたくないのか
・上の者からの圧力でアンタッチャブルになってしまっているのか
など「なぜなぜ分析」をしっかりした上で、対処するべきポイントをまず洗い出すことが先決と思われます。

そして、しっかりとチェックが行われた上で、評価・分析(C)、対策・改善(A)につながり、今東京都議会で言われている計画(P)・実行(D)につなげて初めてPDCAサイクルが完成する訳ですが、そもそも文書のチェックですらできていないのですから、C・Aはできていないということになりますね。
では、それができていなかった結果、BONDプロジェクトがどうなっていったのか、次回noteでその続きを見るということで、今回のお話はここまでにしたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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