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今更『キングダムハーツ ファイナルミックス』を初めてクリアした話

 初めてプレイしてからクリアするまでに何年かかっただろうか。途中でやめてしまった過去を乗り越えて、クリアまで辿り着いた記念に、今回は『キングダムハーツ』について書こうと思います。
 元々が約20年前の作品ということもあり、ネタバレありで書いていくつもりです。また、個人の感想なので、所属する組織の公式見解ではありません。ご了承ください。

説明不要? 『キングダムハーツ』とは

 2002年3月28日PS2で発売されたアクションRPG。開発はスクウェア。翌年の2003年4月1日にエニックスと合併し、現スクウェア・エニックスとなるとは全く知らない時期だと思います。噂はあったのかな。
 このゲームの最大の特徴といえば、やはりディズニーキャラクターの世界を題材としているところでしょう。まさかの組み合わせに、当時はどんなものになっているのか全く想像できなかったのでは。
 製作陣の話をすると、FF7,8,10のキャラクターデザインをしていた野村哲也さんが初めてディレクターを務めた作品。ネットでは、ノムリッシュなんてあだ名で呼ばれることも多いですね。個人的には野村さんのデザインや絵はとても好きで、惚れ惚れとしてしまう。主題歌は宇多田ヒカルさんの『』。エグゼクティブプロデューサーにはFFの生みの親でもある坂口博信さんが構えている。そんな面々が集まったなら、そら間違いなく面白いものができる、と確信を持つでしょう。
 ……とは言うものの、正直なところ、発売当時は積極的にゲームの情報を集めていたわけでもなく、作ってる人にも詳しくなく、SNSもからっきしだったので、今しがた調べた情報を並べているに過ぎない。そのため、書いてみてから「あ、そうだったんだ」という感じでした。

1.5+2.5のトレーラー

「2度あることは3度ある」……にならず「3度目の正直」でクリア

 私は『キングダムハーツ』を過去に2度やっている。正確にはやっていたと思う、という曖昧な記憶。
 1回目はPS2版無印だっただろうか。確か序盤のターザンのステージで挫折。他にやってたゲームもあった影響だとは思うが、次第に『キングダムハーツ』を起動しなくなってしまった。
 2回目はPS2版ファイナルミックスだったと思う。1回目の記憶と混ざってしまっている可能性が高いので、2回目をやったかどうかも怪しいが、森で迷ってやめたような記憶がある。なので、おそらくアリスのステージでやめたのだと思う。
 そんなこともあって、今回プレイするのは(たぶん)3回目だった。

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1.5+2.52.8、最新作の3がセットになったボックス

ほぼ初見で最高難易度「プラウド」に挑戦!

 ゲーマーのプライドを見せつけて、難易度は「プラウド」でスタート。「プラウド」は最高難易度のモードになっており、敵からの攻撃を2、3回受けただけでゲームオーバーになることも多いモードとなっている。正直、中盤くらいから本格的に後悔することになる……。

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KINGDOM HEARTS用語辞典Wikiより抜粋

無知による、勝手に縛りプレイ

 開始数十分でプラウドの洗礼を受けながら終盤まで進めました。ボスのマレフィセントドラゴンで停滞。あとちょっとで勝てない。悩みつつ、最初の街であるトラヴァースタウンに逃げ込み、アイテムを購入することに。

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 えっ、ドナルドとグーフィーの装備って買えるの!?

 ここまで、アビリティを変えたりアイテムを持たせたりはさせてましたが、ソラ以外の武器についてはずっとこのままなんだろうな、と思って一切気にしていませんでした。気付くと、勝手にドナルド、グーフィー初期装備縛りプレイになっていたのだ。
 縛りを解禁し、装備を整えてからもう一度ボスに挑むも、そこまで大きく戦況は変わらず。悩んでいると、召喚を使えとの声が。

えっ、召喚ってなに!?

 時間を置いてのプレイであること、基本的にドッジロールで転がって避ける癖が災いして、召喚システムというものが全く頭にありませんでした。そのため勝手に召喚禁止縛りプレイにもなっていた。ティンカーベル、愛してる。愛の力でマレフィセントドラゴンを撃破しました。

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 次のリク(アンセム)でも苦戦はしましたが、装備や魔法を整え、レベルを上げて無事突破。それ以降は大きく詰まることはなく、ラスボス戦へ。長い長い連戦を乗り越えて、やっとクリアしました。ラスボス戦は「諦める=数時間を捨ててレベル上げの旅確定」だったので、意地で倒しました。
 コンティニューしすぎ?

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こういうデータ表示ぐうすき

最高のディズニーワールド

 各ディズニー作品ごとにワールドが形成され、その作品の世界を歩き回れるというのがキングダムハーツの魅力の1つだ。正直、ディズニー作品はそんなに観たことないものの、それぞれの世界がしっかりと形作られており、作品の空気感や世界観は非常に伝わってきた。各ワールドの名前やロゴもしっかりとデザインされており、出し方も凝っていて良い

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こういうのに凝っている作品は良い

最高の音楽と演出

 主題歌である宇多田ヒカルさんの『光』を始め、音楽面でも強いのがキングダムハーツ。ゲーム中の音楽を担当しているのが下村陽子さん。これはもう間違いない
 下村陽子さんは『ストリートファイターⅡ』や『スーパーマリオRPG』『ライブ・ア・ライブ』『聖剣伝説LoM』などなど、多数の作品に関わってきた超有名なお方。最近では『FF15』とかもかな? 色々書きたいが、とにかくとてもすごい人。
 各ワールドごとにディズニーの主題歌や雰囲気をベースとした楽曲が流れ、自然と気持ちが高揚します。ディズニーの世界観も守りつつ、RPGの楽曲として仕上げているのは、さすがプロのお仕事と感じさせられる。全体的に安定して良い曲が多いが、個人的には「ネバーランド」の戦闘曲や「ホロウバスティオン」のマップ、戦闘曲が好きでした。
  現在、AppleMusicやSpotifyなどではサウンドトラックの配信はされていないようなので、大人しく待とう。
 また、演出面でも光る部分が多くあり、色使いや魅せ方、音楽のタイミングなどは「スクウェア・エニックス」にはない「スクウェア」らしさを見たような気がした。隠しボスや野村さんの特権とも言えるようなキャラクターの使い方は素晴らしかった

タイトル画面で流れる『Dearly Beloved』も間違いなく良い

最悪なカメラワーク

 3DアクションRPGということで、マップを自由に動き回れるのが良いところだが、このときのカメラが最悪。めちゃくちゃ見辛い位置にカメラが来たり、場所によってはカメラ操作を一切受け付けないところもあった。位置的にプレイヤーが上、敵が下である場合なんか見れたもんじゃない。フルパワー、最悪中の最悪

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敵、どこにいるんじゃ

最悪なUI

 ゲームをやる上で目にするコマンドや操作をなんかをユーザーインターフェース、UIと呼びます。もっとちゃんと説明すると違うかもしれないけど、気になったら調べてみてください。
 最悪なUIの1つは、アイテムの設定方法。各キャラクターにアイテムを持たせるのに手順やカーソルの操作が多く、手間がかかります。以下の手順を、10個アイテムを持たせたい場合には10回繰り返さなければならないのは、控えめに言ってツラい。

1つの項目を選択
 →どこにあるアイテムを持たせるのかを選択
 →アイテムの一覧から装備させたいアイテムを選択

 うまいことまとめて持たせたり、パッパッと持たせたりできたらよかった。雑い希望。コマンド位置が記憶されてるのが唯一の救い。「とりだす」を使って、同じアイテムを簡単に持たせる方法を書いたあとに発見しました。それでもボタン連打しないといけないので、やっぱダメだな……。
 他の箇所ではグミシップ。自分で乗る飛空艇的なのをパーツを組み合わせて作るシステムですが、これのUIが最悪。ビジュアル面を重視しているのか、画面が動くのは楽しげです。しかし、パーツを選んだり、実際にパーツを装着する操作は複雑になってしまっています。各パーツの性能やステータスは曖昧な表記で不親切自由度が高いのは良いが、もっと手軽に作れると良かったですね。

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惜しい感じがするグミシップのUI

最悪なテンポ

 基本的にイベントシーンはスキップすることができます。それは良いです。しかし、マップ中の移動シーンやギミックが駆動するようなシーンは飛ばせません。終盤にリフトに乗るような場面がありますが、飛ばせないのでジッと待たないといけない。間違えて乗ってしまったら最後、それだけで何十秒も待たないといけない。ツラい。せっかち?
 また、序盤限定ですがワールド間をグミシップで移動しなければならないのがツライ。やたらと長い、謎のシューティングをやらされてる間、「自分はRPGをやっていたのでは?」と自問自答してしまい、モチベーションを下げてしまう要素となっている。グミシップ中の会話のメッセージ表示も遅く、最悪
 1回の戦闘で、やたらと敵が湧いてくるので、宝箱1つ開けるのに多くの時間が必要になったりするのも最悪

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このシーンでは片道33.60秒ほどかかる(測った)

最悪な敵配置

 移動中、多くの場面で敵が出現する。その出現場所がイヤらしい。まるでファミコン時代の嫌がらせのような配置
 例えば、段差になったマップで、遠回りして上の部分に辿り着いたと思ったら敵と遭遇。そこで戦ってるうちに下に落下してしまい、再び遠回りして同じ場所に行かないといけなくなる。しかも、そこで敵とまた戦うことになってしまうのが辛い。多くの場合、敵は空中、こっちは地上という状況。敵への攻撃は自由にできず、欲張って攻撃して失敗したら大きく戻ることになってしまう状態となる。平面であったり、段差の下で戦う場合は問題はないが、これはかなりストレス
 また、戦闘時にロックオンする際に宝箱やスイッチなどの戦闘と関係のない部分をロックオンしてしまうのも地味に超不親切

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戦闘中、落ちないようにしないといけない

最悪で超不親切なマップ

 どのワールドもしっかりと作られてる反動か、めちゃくちゃ迷いやすい。でも、ゲーム中にマップは用意されていないので、完全にプレイヤーの記憶力に頼ってしまうようになってしまっている。一応、マップ移動する前に次のマップの名前が出たりする良心が少しあるようだが、逆にイラつく
 ドギツいのがターザンのワールドである「ディープジャングル」とピノキオのワールドである「モンストロ」だろう。
 「ディープジャングル」はツタを飛び移りながら進んでいく部分があるが、ゲーム慣れしていてもツラい移動。最悪。一部、ジャンプで飛び移るような部分もシビアな距離であること、水に落ちた際に復帰できる部分がかなり制限があることなど、ファミコン時代かと思わされる調整が超不親切
 「モンストロ」は単純に迷路のようなマップで複雑怪奇。同じような風景が続き、戦闘が終わったらどっちから来たのかわからなくなってしまう。シンプルに嫌い

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ここで迷子になった方も多いのでは?

最高のアクション

 なんだかんだ言っても、アクション部分に関してはとても良いです。高難易度でなければ、基本は「○」と「✕」くらいのシンプルな操作で楽しむことができる。中盤からはジャンプ力が上がったり、滑空できたりと楽になっていくのがありがたい。
 敵との戦闘も「ザ・アクションRPG」といった王道のようなもので楽しいし、低難易度なら「○」連打でだいたい勝てる気がする。マップ移動では、街中の屋根の上によじ登ったりするのも楽しい。
 個人的な好みになってしまうが、水中や空を飛ぶ際の動きが操作しづらく苦痛だった。地に足ついたアクションが好きなので、ラスボス戦でもやらされたときはげんなりした。

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ちょっとした出っ張りに乗れるの、良い

最高に地味に親切

 『キングダムハーツ』の良心。ジミニーメモ。ピノキオに出てくるキャラクター、ジミニー・クリケットがゲーム中の記録をつけてくれるのですが、完璧ではないものの親切。
 取り逃しがわかるように「101匹わんちゃん」の番号や「トリニティの発見数」が記録されており、時間を置いてプレイした人向けにも「ここまでのおはなし」という項目で優しく解説をしてくれる。
 欲を言うと、見つけた分だけでいいので各ワールドの「トリニティ」の数を書いてもらうと超親切だった。強欲。

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コンプリートしたらマークがつくのも親切

いろいろ言ったけど、『キングダムハーツ』を作り上げた名作の1つ

 正直、不満点は多いものの、間違いなく面白いは面白いです。最初は「これを面白いって言ってる人は、思い出補正かかりまくってるんじゃね……?」と思うくらい悪い点に目が行ってしまい、途中で挫折するところでしたが、ストーリーや演出によってプレイヤーを引き込んでいく力が非常に強く、だんだんと面白さが理解できるようになっていました。人には好き嫌いがあるので合わない人も多いと思いますが、自分には割と刺さるような部分が多く、その面白さが不満点を上回っていった結果だと思います。
 上記で最悪な点を挙げまくりましたが、そもそもこれは20年近く前のゲーム。こういうのを経て改善されたゲームが世に溢れているので、不便なところが目についてしまうのはしょうがないことなのかもしれないですね。演出やゲームのバランスは「スクウェアだ!」と思うようなところが多く、今だからこそ感じられる要素もあり、おそらく当時とはまた違った視点で楽しめたと思います。
 憶測になってしまいますが、野村さんにとって初めてのディレクション作品であることと、ディズニーとのコラボ作品ということで、やれることを詰め込みまくった感が出ており、ちょっとやりすぎじゃない? と所々で思ってしまいました。
 『FF7 REMAKE』のように、今後『キングダムハーツ REMAKE』が発売することになったら、再びやってみたいですね。実現するとしたら、何十年後だろう。

 それでは。

 おわり。

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こつこつトロフィーコンプさんに大変お世話になりました。

【2023/2/11 追記】サントラサブスク解禁!

 なんと、ついにサントラがサブスク解禁しました! あんな曲からこんな曲まで、未プレイの作品も入っているので怯えながら聴いてます。下村女史、やっぱ最高ですわ。


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