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『ヴィーナス&ブレイブス』で100年間戦い続けなさい、電卓と共に。

生きて、そして死んでいけるあんた達を何度羨ましく思ったか

 人は1度くらい、不老不死になりたいか、もしくは不老不死だったらどうするかということを考えたことはあるでしょう。私はあります。不老不死になったら、ずっとゲームをする。
 今回紹介するゲームは、不老不死の青年が主人公のお話。最後にプレイしたのは8年以上前なので、曖昧な記憶とネットで得た情報を駆使して書かせていただきます

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📃|『ヴィーナス&ブレイブス』について

 『ヴィーナス&ブレイブス〜魔女と女神と滅びの予言〜』は2003年2月13日PS2用ソフトとしてナムコから発売されたシミュレーションRPG2011年1月20日には、PSP用ソフトとして待望の移植がされました。たぶん『V&B』と略されることが多い。

 絵本のような暖かみのあるグラフィックと、独特な戦闘システムが特徴的で、前作にあたる『7〜モールモースの騎兵隊〜』と同じ世界観となっている。『7』が好きだった私は、今作を非常に楽しみにしていました。

 この作品を知ったきっかけがPS2『テイルズオブディスティニー2』で見ることができた販売促進用ムービーである方も多いのではないでしょうか。私も、そのうちの1人です。個人的には、生涯を通してトップクラスに印象に残っている一作となっています

▲今でも定期的に見てしまうほど、美しく、完成された映像

💬|詳しく語る前に! PSP版よりPS2版を推す! いや、PSPのDL版か!?

 上記で書いたように、このゲームにはPS2版とPSP版が存在します。そのうちどちらかを選べと言うなら、私はPS2版を推します
 PSP版には追加要素がありますが、戦闘開始時に入るロードのせいで、非常にテンポが悪くなっているため、PS2版をおすすめします。私はこのローディングが辛すぎて、序盤でプレイをやめてしまいました。
 ちょっと調べると、DL版ならそんなにローディングが気にならないとかって噂があるらしい。よし、UMDを憎もう
 今でもPSPやPSVitaでプレイ可能なようですね。買いましょう。ストアはこちら

📕|魅力的な世界観

 ストーリーをWikipediaから抜粋させていただきます。

 アクラル世紀999年

 災厄が予言されたこの年、人々が暮れの忙しさに“予言の魔物”のことなど忘れていたその時、突如現れた魔物が街を襲う。その混乱を治め、戦う術などもたぬ人々を救ったのは、団長ブラッド率いる“ゴーレム山賊団”であった。

 その勝利に酔いしれる彼らの前に、謎の女が現れる。「すべての災いは回避されたわけではない」と警告した女の言葉通り“二つ目の予言”に記された魔物に襲われた街は壊滅し、ブラッドは長年連れ添った戦友をも失う。女の言葉を信じなかった己を悔やむ団長ブラッドの前に、彼女はその手に次なる災厄が訪れる地を記した“預言書”をたずさえて再び姿をあらわす。

これは世界の危機に立ち向かった女神と不死なる男、そして、名も無き勇者たちの戦いの記録である

 999年から1099年に続く“大災厄の予言”を回避するため、不死なる男ブラッドが仲間を引き連れ、予言された災厄の化身・ナグゾスサールを倒すべく戦う物語。

 万感の思いを胸に、すべては最後にして最大の災厄が予言された「1099年」のために、彼らは歩き続ける。

 プレイヤーは主人公は不老不死のブラッドとなり、「ゴーレム山賊団」を率いて魔物を倒していくことになる。たしか、団の名前は変えられたはずで、私は「ジャスティス騎士団」にしていた記憶があります。かっこいいでしょ?
 「預言書」に記されたとおりにイベントが発生し、その「災厄」を退けていくのがメインとして行っていくことになる。ストーリーにも書いてあるとおり、これを999年〜1099年までやり続けるのです。不死だからできる、100年の旅
 もちろん、仲間が全員不老不死ではありません。主人公のブラッドのみが不老不死。他の仲間はみな年を取り、やがて寿命を迎えます。固有グラフィックのキャラも、使い回されているようなグラフィックのキャラも、全てに名前と年齢が設定されており、等しく寿命があります。そのため、ずっと同じ仲間で旅する、という今までのRPGとはまた違った出会いと別れがあり、それが本作の魅力であると思います。

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魔物を放っておくと、色んな場所が壊滅してしまう

🧮|電卓必須!? ローテーションバトル

 本作は「ローテーションバトル」を採用しています。他のゲームでは無いシステムじゃないでしょうか。

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ローテーション 意味」で検索

 プレイヤーは戦闘前に「3✕4」のマス目にキャラクターを配置し、戦闘に挑みます。配置するキャラクターはイベントや酒場などで仲間にしたキャラクターたち。各キャラクターには職種があり、それぞれ特徴のある職種が17種類存在する。後方支援、攻撃特攻、遠距離攻撃が可能などなど、職種の個性を活かせるように、どうやって配置しようかと考えるのが楽しい。
 「各職種の特徴なんて覚えてられないよ……」という方もいると思うが、キャラクターを配置する編成画面はかなり親切に作られているから安心してもらいたい。回復量やダメージ量、後方支援ができるキャラにはカーソルを合わせたときに支援先の矢印が表示されるなど、頭の良くない私でも理解できるようになっているので問題ないでしょう。

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編成画面。洗練されたUI。

 さて、配置が終わったら戦闘開始。基本的には素早さの順番に行動していき、動けるキャラクターがいなくなったらターン終了。ターンが終了すると「ローテーション」するかしないかの選択が表示されます。決定までの制限時間は3秒。「ローテーション」を選択すると1列目のキャラが3列目に、2列目が1列目に、3列目が2列目に「ローテーション」します。これを繰り返して敵を倒していきます。独特ですが、非常に面白い

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「ローテーション」の図

▲『7〜モールモースの騎兵隊〜』のCMで、
ローテーションバトルを見た記憶がある人もいるかも?
ナムコらしい、ユニークなCM

 「そんな、3秒でとっさに決めろって言われても困るよ……」という方もいると思うが、戦闘に関してもかなり親切に作られているので安心してもらいたい
 なんと戦闘に関しては、相手の行動パターンが全てわかるようになっているのです。なので、操作さえ間違えなければ戦闘前から戦闘結果がわかってしまうのがポイント。
 このヒルジャイアントは、基本的に1ターン毎に怒りの一撃を放ってきます。これは通常攻撃の倍のダメージを与える特殊技のようなものになります。なので、2,4,6ターン目には最前列にHPの高い職種が来るようにする。もしくは1つ前の列のキャラにバリアを張れる後方支援の職種を2列目に配置して、大ダメージを避けるようにするのが正しい対処方法。戦闘前に頭でシミュレーションして、その通りにローテーションしてあげれば、誰も死ぬことなく敵を倒すことが可能です。
 ちなみに、能力特徴のページに通常攻撃のダメージ量や怒りの一撃の説明もあるので、敵の情報をしっかり読んでから敵に挑もう
 記事のタイトルで書いてある電卓はここで活躍するのです。ダメージ量を電卓でポチポチと叩き、敵を倒せるのがわかったら実戦! まぁ、そこまで電卓が必要な場面は多くない記憶がありますが、後半になるとやや複雑になってたかなぁ。

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プレイしていくうちに、攻略情報が身についてくる

⚰️|生きて、そして死んでいく仲間たち

 最初の方に書いたとおり、長い長い戦いの中で寿命や戦闘中の攻撃で命を落とす仲間も多く出てきます。ブラッド以外の人物には、等しく死が訪れるようになっています。もう戦えない、老体になってしまった仲間は入れ換えていかないといけないのですが、団から外した仲間の訃報までもがブラッドの元へ届きます「死」「別れ」とは、切っても切り離せないのです

👶|芽生える友情、誕生する生命たち

 あるのは「別れ」ばかりではありません。苦楽を共にした仲間たちは、もちろん心の距離も近づいて行きます。そこで芽生えていく友情。友情が芽生えた2人を編成しておくと、ターン終わりに特殊な行動「精霊召喚」ができるようになります。これぞ友情パワー! 精霊召喚が見たい方はこちら
 芽生えるのは友情だけではありません。男女が長い間共に過ごせば、芽生えるものは愛情。プロポーズをし、2人はやがて結婚をします。そして誕生する生命。愛の結晶は、十数年後、大きく成長し、ブラッドの前に現れます。

俺を入団させてくれ!

 あの2人の子供が成長して、そして入団まで……。本当に人生を感じるゲームです。……とは言うものの、正直、自分は子供を入団させるイベントを体験したのか定かではないです。なんも考えずにプレイしていたので、友情や結婚といったシステムをほぼ理解してなかった気がします……

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見えづらいが、親友関係とプロポーズ済みである人たち

🎨|美しいアートワークと音楽

 本作のアートワークは、川口忠彦さん。とても素敵な雰囲気の絵を描いてくれる方で、前作から心をガッチリ掴まれています。ゲーム中の文字のフォントまでも手掛けており、全てが素敵で、もう素敵祭り開催中って感じです。

 音楽は小林啓樹さん。他の作品では『エースコンバット』シリーズや『鉄拳』シリーズに関わっていたようです。川口さんの絵の雰囲気とよくマッチしている美しいメロディが多く、特に「Waltz for Ariah」は美しく、儚げな、切ないメロディがグッときます。

▲ゲーム音楽の中でもトップクラスに良い

⭐|登場人物に愛を注げる人ほど刺さる、不朽の名作

 他にあまりない、絵本のような絵柄であることから、今でも古臭さは感じず、スッとプレイができるかと思いますすべてのキャラクターに情が湧いてしまうようなシステムなので、プレイヤー自身を含めた全員で世界を救うという目標に向かっていけるような、没入感の高い作品です。仲間が亡くなったら涙を流し、友情が芽生えれば喜び、魔物を倒して声を上げる。そんなことが本当にできてしまうゲームは非常に珍しいと思います。キャラ愛を強く持てる人ほど刺さり、深く楽しめる作品
 同様のシステムらしい、スマホゲーム『セブン サウザンドウォーズ』を知ったときにはサービスが終了していて、残念な気持ちになりました……。
 PS2版が発売してから、まもなく20年を迎えます。今更感もありますが、現行機でできるようなリマスター版的なものの発売を期待しつつ、締めさせていただきます。

ヴィーナス&ブレイブス
〜魔女と女神と滅びの予言〜
公式ページ / PSStore

 それでは。

 おわり。

🙇‍♂️|ゲーム画像を使わせていただいた動画様

 記事内の画像は、9割をゲーム道場恐山さんの実況動画から拝借させて頂いています。プレイリストはこちら。問題があれば、すぐさま削除させていただきます。

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