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あれから約半年後の物語ーー『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』で描かれる、日本中を股に掛けた青春の延長戦

 今年の3月頃に『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』をクリアして、その興奮が冷めやらない内にと始めた本作をようやくクリアしたのでしたためます。

面白いけど賛否両論もわかる、という感じだった

ネタバレを含む、前作の感想はこちら

『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』は「無印版」の続編

 『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』、略称は『P5S』。本作は2020年2月20日PlayStationNintendoSwitchでリリースされた3DアクションRPG。タイトルの通り、JRPG史上でも最高峰の人気と完成度を誇る『ペルソナ5』に関連した作品で、いわゆる「無印版」の続編となり、基本としては前作のストーリーやキャラクターの関係性をわかった上で話は進む。開発期間の関係で、「ザ・ロイヤル」の要素が含まれない形となっているのが少々残念。私は『ペルソナ5R』はクリアしたものの、「無印版」は知らないのでご了承ください

覚えられた

前作に比べるとクリアまでの時間は短いが、コンプリートまでは長い道のり

 難易度によるストーリーの違いは無いとのことで、難易度は「イージー」でスタート。途中で寝落ちしたり、つけっぱなしで他のことしてたりと、無駄にプレイ時間を積み重ねた部分はあるのですが、クリアまでは約60時間といったところでした。コンプリートに拘らず、メインストーリーをどんどんと進めるようなプレイ方法であれば30~40時間でクリアできるのではないでしょうか。めちゃくちゃに長過ぎず、数日でパッと終わるあっさりさも無い。大きめのタイトルとしては、ちょうどいいのかなと感じた。

通常クリア
コンプリート時

爽快感のある「無双系」アクション

 本作はコーエーのシリーズ作である「無双シリーズ」を中心に開発しているチームであるω-Forceオメガフォースが協力していることもあり、多数の敵との戦闘が魅力の1つだ。序盤のチュートリアルからそれは感じ取れ、RPGでは実現しにくい数十の敵を相手にスキルをぶっ放し蹴散らすというのはコレでしかできない体験だった。また、前作ではパレス探索時に見ることができたジョーカーのスタイリッシュなアクションも頻繁に見ることができ、よりカッコいい怪盗団を表現できている

SHOW TIMEもこの通り

夏休みに全国行脚あんぎゃするという青春感と現代に近しいストーリー展開

 ストーリーとしては「夏休みのタイミングで再び集った怪盗団メンバーが事件に巻き込まれていく」というのがざっくりとしたものになるのだが、個人的に「夏」という季節が好きということもあって、青春感がすごく良かった。また、リリースされたのが2020年になるのだが、私がプレイした2023年というタイミングが非常にタイムリーで、ストーリーにも大きく関わる「AI」という要素が現実リアルに近しいもので、なんだか感動した。また、敵が「完全なる悪意を持った人」ではないのが特徴で、共感してしまう部分も多々あった。

新たな冒険の舞台

 ご都合主義的なところはあったりはするものの、伊達に『ペルソナ5』の名は使ってない。ネタバレになってしまうため詳細は言えないが、随所に目を見張る演出があり、やはりペルソナ覚醒のシーンはシビれた

ギャグっぽいシーンも非常にグッド

 各地の街は無駄に広すぎるようにも思えたが、前作では味わえなかった「街を探索する」という体験を存分に味わえた

It's 仙台

演出の端々にある「ペルソナ5風」という感覚

 『ペルソナ5』はメニュー画面やカメラアングルなど、オシャレな魅せ方をしており、本作もそれらを踏襲した魅せ方をしているのだが、なんだか洗練されきっていないように感じた。そういった部分の演出担当者が変わったのかはわからないが、マネしてる感が否めない

なんか「っぽさ」がにじみ出てるように感じた
ペルソナ5Rのメニュー画面

 メニューの表示の切り替えでは3Dのキャラクターが動いて次のメニューに飛ぶような感じの演出だが、どうしても操作できない空白の時間が発生する。前作ではそんな感覚は覚えなかったので、そういったところでも違和感を抱いてしまった。特別気になったのはジェイルへの潜入時の演出。お馴染みの波紋が広がるような演出から潜入時の初期メニューの表示、初期スタート地点に着地して操作開始になる、という流れだが波紋の演出も着地する演出もスキップできないため、操作開始まで約20秒~30秒ほど時間がかかる仕様になっている他のジェイルに行く場合は現実世界に戻ってジェイルの選択し直しというテンポの悪さも否めない。ロード時間の問題があるのかもしれないが、それぞれの操作がワンテンポ遅れるような感覚で、どうにも目についてしまう部分だった。些細なところだが、こういった部分で「見た目だけそれっぽくして、ゲーム自体のテンポはそんなに考えてないのでは」という不信感を抱いてしまった

サブキャラクターの存在感の薄さ

 ペルソナシリーズの特徴に「コープ」と呼ばれるNPCと関係性を深めてスキルを得たり、強いペルソナを作れるようになったりする行動があるが、本作では完全に撤廃され、前作に「コープ」の対象として登場していたキャラクターは何かしら理由をつけて姿も出てこない。あのイゴールすら姿をくらまし、ベルベットルームの存在価値も薄れている。ここはしょうがない感はありますが……。本作は怪盗団メンバーや新キャラクターとの友情や絆をメインとしているため、そのあたりを期待していると肩透かしをくらうかもしれない

良くも悪くも、コープを気にしないでいいのはでかい

単調なバトルとストレスが溜まるジェイル探索の仕様と似非エセステルスアクション

 先に書いた潜入時の演出の問題は置いておいて、それ以外の部分に注目する。
 まずは戦闘部分。私は快適に進めるために難易度を「イージー」としていたこともあり、適当にボタンを連打しているだけで概ね問題なく勝てた。敵からの攻撃も自動で回避してくれたり、弱点をつくスキルを連発してボコボコにすることも可能。ただ、戦略性があまりにも無い、ボタン連打するだけの戦闘が多いと「ペルソナを強くする意味」を感じることができなかった。流石に最高難易度になるとそうはいかないようだけど……。

とりあえず□と△を押しておこう

 もう1つはジェイル探索の仕様。ちょっと文句が多いかも。
 本作は凝ったマップになっており、アクション性を高めるために高低差があったりする場所が多いのが特徴なのだが、そんな中で動くオブジェクトにつかまる必要があるために、それが来るまで待たないといけないような仕掛けがあり、しかもそのオブジェクトの移動速度が遅いというのがしんどかったアクションのテンポを落とすような仕掛けはどうなんだ
 他には3Dアクションの途中で急に横スクロールアクションのような見た目になったりするシーンが有り、それがどうにも見にくかった。似たようなものとしては『ニーアオートマタ』でそんな見せ方を経験したことがあったけど、そこまで変には感じなかった記憶があるのだが、本作は一部を除いて必要性を感じなかった
 ハッキング中のナビを守るイベントも1度のジェイルで複数回やらされ、微妙に拘束時間が長いのもテンポを悪くしている
 入り口から目的地まで、警戒度を上げずに進めるという、ステルスアクションもどきのリクエストなんかも「怪盗らしさ」の演出としては悪くないけど、何回もやらされるのがしんどかった。

必要性が不明

全体的に安定はしているが、突出したものがないBGM

 本作の音楽担当はペルソナシリーズの目黒将司めぐろしょうじではなく、コーエー側の方がメインとなっている。もちろん「ペルソナシリーズ」に恥じない、世界観に沿った音楽になっており、各地方やジェイルに合ったBGM作りは流石といったところ。好みの問題にはなってしまいますが、個人的には「『ペルソナ5S』といえばコレ!」と言えるものがあまりなく、その辺りが残念でした。前作のアレンジ系を除いて好きだったのは、一番聴いたであろう大阪のBGM『Freedom Buzz Dance』やラスボス戦のBGMあたりですかね。

名作RPGを上手くアクションに仕上げきった良作

 元々RPGだったものを、ジャンルを変えて新しいものに仕上げるのは大変だったかと思うが、前作や完全版とも言える「ザ・ロイヤル」のすごさを超えることは非常に難しい中で「これが見たかった、やりたかった」と言えるようなシーンをちゃんと組み込んでくれた開発者の方々には感謝しかない。残念だったのは、やはり「ザ・ロイヤル」をプレイ後だったので芳澤かすみちゃんの姿かたちが一切なかったことと、所々で顔を出すアクションのテンポを妨げる仕様ですかね。

登場ペルソナのネタバレあり。
無駄に揃えてみた。

 新キャラの長谷川善吉ソフィアなんかはとても良いキャラで、最後の最後までメインパーティに組み込んで側にいてもらったくらい好きだった。いろいろと文句のつけどころがあり、手放しで褒めるというのは憚れるのですが、『ペルソナ5』の世界の延長戦を味わいたいという人にはおすすめの一作だった。

 あと、これは私のPS4が老朽化していることに起因する部分が大きいが、ゲームの強制終了マップ移動のローディングが終わらないという事象に遭遇した。PS4 Proを購入して早5年で、型番は「CUH-7100」となっているため、駆動音もなかなかにでかい。同じような報告は見かけないので、環境的な問題が原因と思っているが、プレイする際にはこまめなセーブを忘れずにしてもらいたい。いつの時代やねん。

PS1時代に、ディスクに傷が付きすぎててこうなったのを思い出した。

 それでは。

 おわり。

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