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香港で映画『新聞記者』を見て考えたこと

昨年(2019年)話題になった映画『新聞記者』。香港で公開されなかったのだが、WOWOWで放送があったのでやっと見る事が出来た。

映画が始まる前に、解説の方も話してたように「WOWOWだから放送出来る」という事が、日本の目に見えない闇だと感じる。

見終わって、やっと日本もこういう現在の政治的なマターを扱う映画が製作されるようになったかという思いがした。

以前書いた三谷幸喜監督の『記憶にございません!』のようなコメディや、『シン・ゴジラ』のような空想科学物でしか、政治風刺が描けない風潮に逆らい、正攻法でポリティカル・サスペンスを作り上げたのは立派だと思う。

原案は望月衣塑子の同名小説。彼女自身、東京新聞社会部の記者として日夜闘ってる女性なので、中身がフィクションとはいえ現実とリンクしてしまう。

WOWOWでは、この『新聞記者』の後、望月衣塑子自身を扱った森達也監督による『i -新聞記者ドキュメント-』も放送されたので続けて見たが、官邸で菅官房長官に食い下がってる姿は、政治家からは嫌われるだろうなぁと思うが、辺野古の人々や、伊藤詩織さんなどに寄り添う姿はジャーナリストとしての姿勢がわかるものだった。
個人的には、途中から森達也監督自身が「官邸記者会見へ行きたいがなぜ入れない!?」の描写や、裁判所内の隠し撮り云々の場面が多くなり、ノレなくなってしまったが(苦笑)

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『新聞記者』の監督 藤井直人は「リアリティを追求したが、内閣官房調査室のことは詳細がわからなかった」と語っているように、ここはベールに包まれた感がある。

映画では調査室のシーンは、ブルーな画面に統一し冷たい印象を与えている。
実際に映画のように、外務省などから出向した優秀な官僚たちが、日々ネット・ニュースやSNSを裏で世論操作しているのかの真偽はともかく、国家に不利と感じたメディアの情報は、握り潰したり、告発した人間を叩くなど、国家が後ろで操っているとしたら、それはそれは恐ろしいことである。

こういう映画を製作してはいけない「空気」が今まであったが、この作品の高評価と興行成績の良さから、今後このような社会的な作品がもっと製作されることを期待する。

フィクションなのだから、言論・表現の自由がある日本という国では、何を作っても構わないはず。「忖度」しすぎて、がんじがらめになり、作り手が「自己検閲の沼」にはまっていたかもしれない。

以上、「国家安全法」が施行された香港で見た人間の感想でした。(書きたいことはあっても書けない。これが今現在の香港のリアルである。もう言論の自由はなくなった)

てなことで。

追記・Netflixでも


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