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チャウ・シンチー『新喜劇王』 周星馳のエンタメ業界へのあふれる愛!夢を追いかけ頑張ってる人必見の映画

日本で2020年4月10日から公開されたチャウ・シンチー新喜劇王』(19年)だが、新型コロナ肺炎拡大防止のため劇場が休館を余儀なくされ、公開が遅れているとのこと。

江戸木純(日本のエド・ウッド)さんのツイートでその事を知り、香港では既に配信中のNowTVで鑑賞した。
これはチャウ・シンチー自身が主演の第一作『喜劇王』(09年)をはるかに上回る出来。笑わせて、泣かされる彼の新たな名作であった。

STORY
映画スターを夢見るドリーミー(エ・ジンウェン)は、くる日もくる日も映画のエキストラでチャンスを伺っていた。30歳にもなってまだそんな夢を見てるのかと親に叱責されるが、彼女は諦めない。そんなある日「白雪姫 血のチャイナタウン」という映画の撮影中、昔から憧れていた主演のマーロ( ワン・バオチャン )を怒らせてしまうのだが...

この作品は、香港では2019年の春節(旧正月)に公開された。
チャウ・シンチー/周星馳は、香港では絶大な人気だったが、今は人気が下がっている。理由は『ミラクル7号』(08年)以降、自身が主演せず監督に徹していることと、中国に行き、中国の俳優を使って撮っているから。

香港人はチャウ・シンチーの、いかれたとんでもない笑いが大好きで、彼の出演を願っているのだが。
なぜ主演しないのか?と聞かれて、彼はこう答えている「チャウ・シンチーの出演料が高すぎて俺も払えないんだ」わけわからん😆

香港で大ヒットした第一作『喜劇王』のセルフ・パロディ場面が映画前半にある。ここは、評論家くれい響さんも指摘しているように、広東語吹替版(オリジナルは北京語)では、チャウ・シンチーセシリア・チャンの声になるのが可笑しい。
その第一作は、チャウ・シンチーのTVドラマ時代のエキストラ経験がベースになっている。

喜劇王』でもチャウ・シンチーが持ち歩き、本作でも主人公ドリーミーが持ってるのは「スタニスラフスキーの演技法」である。

それは一言でいうと、フロイト心理学のもと“その役の人物になってしまえ”というものとぼくは理解している。本作でも、足を踏まれて本当に痛い時に声を出すか?という「課題」を笑いにしている(これは第一作でもあった)。

ちなみにアメリカではこの理論に影響を受けた、リー・ストラスバーグがアクターズ・スタジオで「メソッド演技法」として教え、マーロン・ブランドポール・ニューマンアル・パチーノロバート・デ・ニーロなど名優を輩出した。
だが、ヒース・レジャーは『ダークナイト』(08年)でのジョーカー役にハマりすぎて、多量の睡眠薬の服用で命を落としてしまう。
ロバート・ダウニー・JRも、この演技論の猛烈な信者であったが、ある日突然「アイアンマン」になり、なぜ?と聞かれ「もう飽きた」と言ったとか(笑)。

この作品は、役者になりたいとか、芸人やミュージシャンになりたいとか夢を追いかけて頑張っている人にぜひ見てもらいたい映画だ。
主役のエ・ジンウェンは、当時29歳のほぼ無名の役者だった。マルコを演じるワン・バオチャンもエキストラから成り上がった役者である。チャウ・シンチーは、そんな人々を使って「夢」を実現させる術を見せてくれる。人生はオセロのようにある日突然黒が白に変わることもある。
チャウ・シンチーからの人生の応援歌

劇場で観て笑い泣きが出来る日が早く来るよう願ってます。

てなことで。

Reference YouTube

原題:新喜劇之王 The New King Of Comedy


最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!