中小企業支援における「見えない強みの可視化ツール」の動きと活用
【今日のポイント】
自社の見えない強みの可視化ツールである経営デザインシートやローカルベンチマークは、最近の無形資産重視の傾向から、中小事業の支援など、活用の場が広がることが期待されます。
これらのツールを通して官民の支援事業を自社の見えない強みの可視化の機会として活用することも検討の価値ありと考える次第です。
1.企業や事業の「見えない強み」を可視化・伝達するツール
このブログで取り上げている「企業の見えない強み」は、一般に「無形資産」や「知的資産」とも呼ばれていますが、
その「見えない強み」を可視化し、社内外に伝達するツールとして、「経営デザインシート」や「ローカルベンチマーク」などがあります。
(更に詳細なレポートとしては、中小企業向けの「知的資産経営報告書」や、大手企業で使われている「統合報告書」などがあります。)
経営デザインシートは、企業全体や事業ごとのシートがあり、自社の企業理念などから望ましい将来像を描き、そこからパックキャスト(逆算)して、現在の自社の状況とのギャップをどう埋めていくかの視点から、価値創造ストーリーや必要な知的資産(人材等)の獲得戦略を描くもので、
1枚のシートに記載していくので全体像の俯瞰に向いています。
経営デザインシートの詳細については、知的財産戦略本部の『経営をデザインする』サイト( https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/ )をご参照いただければ、大変幸いに存じます。
ローカルベンチマークは、財務情報と非財務情報をそれぞれ別シートで作成するもので、この非財務情報のシートには、自社の業務フローとその各プロセスごとの他社との差別化ポイント、自社の商流(仕入先や販売先、エンドユーザーなど)とそこで自社が選ばれる理由などを、「4つの視点(経営者、事業、?企業を取り巻く環境・関係者、内部管理体制)」から記載します。
この非財務情報の中に、自社の「見えない強み」が含まれることになります。
ローカルベンチマークについては、経済産業省の『ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)』 ( https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/ )から、作成方法、活用事例、普及・促進関連施策などのリンクが貼られていますので、ご参照いただければ、大変幸いに存じます。
2.経営デザインシートやローカルベンチマークの支援事業での利用場面
上記の「見えない強み」を可視化するツールである経営デザインシートやローカルベンチマークを公的機関や民間の支援事業の中で利用する場面も出てきています。
例えば、経済産業省の『ローカルベンチマーク活用事例』( https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/jirei.html )の中にも、自社の課題をローカルベンチマークで明確にしつつ、IT導入・補助金利用に活用する事例などが紹介されています。
また、経営デザインシートも、補助金申請において必要となる事業計画書の作成に利用され始めています。
この動きは、2023/3/27に知的財産戦略本部から『「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン」(略称:知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver.2.0』( https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/governance_guideline_v2.html )が公表されたように、
知的財産などを含む無形資産の活用が国家施策としても進む中で、更に大きくなっていくものと感じる次第です。
3.支援事業の利用を、「見えない強みの可視化」の機会にも使う
上記のように、経営デザインシートやローカルベンチマークのような「見えない強みを可視化するツール」は、補助金などの支援事業で活用の場が広がることが期待されますが、
東京都よろず支援拠点( https://tokyoyorozu.go.jp/ )のように、経営デザインシートの作成を支援する公的な機関など、これらのツールの作成・利用自体を支援する官民の組織や事業、サービスも出ています。
『未来の経営をデザインする『経営デザインシートを作ろう!』
(2023/3/10の東京都よろず支援拠点の経営者応援ブログの記事。)
https://tokyoyorozu.go.jp/2023-03-10/
また、ローカルベンチマークや経営デザインシートは補助金などの支援事業利用時以外にも、自社の中長期事業計画策定や、自社に必要な人材や経営資源などの課題の発見など、多くの利用方法がありますので、補助金などの支援事業を、これらのツールを通して「自社の見えない強みの可視化と社内外との共有」の機会としても積極的に使って行くことは有益かと考える次第です。
【今日のまとめ】
・自社の「見えない強み」の可視化や社内外との共有のツールとして、ローカルベンチマークや経営デザインシートなどがある
・これらのツールは、官民の支援事業においても活用の場が広がって行くことが予想される
・中長期の事業計画や自社の課題洗い出しにもこれらのツールは活用できるため、補助金等の支援事業を、これらのツールを通して「自社の見えない強み」の可視化と共有の機会として利用することも検討の価値がある
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